マンション管理組合の監査について

昨日(2017.4.3)は、管理見直しを行うマンション管理士が少ないことを記事にしました。

ある種、自己否定的な発言にもなりますが、ニーズがないから少ないと考えることもできます。

工事に関しては建築士などの専門家に依頼する必要があると考える管理組合もありますが、マンション管理士に依頼するところまで検討されることは少ないように思われます。

そうすると、第三者の専門家に依頼しないのであれば、セルフチェックが重要なはずです。

その時、管理組合運営に関してセルフチェックを行う役目を担うのが管理組合の監事ではないでしょうか?

 

業務監査と会計監査

管理組合の監事は、企業における監査役ですが、その位置付けが問題です。

よく勘違いされているのが、マンション管理組合の監事の仕事は、年に1回、決算書類を確認し、監査報告書に署名捺印することだと思われていることです。

その監査の中身はともかく、これは会計監査です。

マンション標準管理規約(単棟型)の第41条では、監事の職務は次のように規定されています。

第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。

このように監事には、財産の状況だけではなく、業務の執行を監査することが規定されています。

これがなぜ会計監査のみで良いと勘違いされているのか、長らく不思議に思っていました。

社会人大学院に入学し、会社法を勉強してようやく気づきましたが、どうやら平成18年5月1日の会社法が施行される以前は、企業における監査役の権限は、会社の規模により法定されていました。

特に小会社(資本の額が1億円以下で負債の総額が200億円未満の会社)の場合、会計監査のみに限定されていたようです。

世の中のほとんどの企業は、この小会社ですから、上場企業に監査などにかかわる公認会計士を除き、監査役の職務は会計監査のみだと考えたとしても何ら不思議ないですね。

しかし、管理組合監事の職務には、業務監査が含まれています。

あなたのマンション管理組合では、監事は業務執行状況に関する監査まで行われていますでしょうか?

 

監査チェックリスト

管理組合に対する相談窓口である(公財)マンション管理センターではなく、マンション管理業者の団体である(一社)マンション管理業協会が公表しているところに実務上の必要性から検討されたことが伺えますが、管理組合監査資料をホームページで公表しています。

管理会社の業界団体が公表したものですが、この内容自体はマンション標準管理規約や各種ガイドライン、指針などをもとに検討されたものです。

そして、監事という役職の考え方から、主要項目のチェックリスト、監査報告書(案)までが公表されていることから、この資料が管理組合監査における一つの指標と考えています。

 

現実的に業務監査は可能か?

形式的には監事を選任し、チェックリストにしたがって監査を行うことは可能です。

ただ、マンション標準管理規約に規定された監事本来の目的からみて、その役割の全てを果たすことは可能でしょうか?

もちろん、全く不可能といいたいたわけではありません。

しかし、普段からこのような業務に慣れた方はともかく、プロではない監事では、理事の不正や利益相反行為の発見の他、多くの管理組合が管理を委託している管理会社業務の執行状況までも適正に監査することは難しいはずです。

この業務を専門とする管理会社の仕事を、素人である区分所有者が監査するという現状の仕組みには、違和感しか感じられません。

結果として、管理会社フロントマンによって不正行為が行われるという事件が後を絶たない状況が続いていると感じています。

 

まとめ

規模の大きいマンションに関しては、ある程度この分野に知見のある監事を選任し、一定レベルの監査が行われることが望ましいと考えています。

ただ、知識や経験があるからといって、これも一部の人(特に特定者に長期間)に丸投げしてしまうと、これもまた不正の温床となります。

あまり一般化しては誤解を招きますが、実際、高額不正の多くは、長期間就任理事長などに見られる傾向があります。

一概に輪番制の役員選任制度が良いとも言えませんが、監査やチェックの基本は相互牽制です。

これを機能させることが大切です。