管理費等の請求で困るケースについて

マンション管理組合において管理費などが入ってこないということは、企業にとって売掛金が入金されないことと同様の問題です。

そして、よほど資金的に余裕のある管理組合でもない限り、その滞納を放置してしまうと、その運営上非常に大きな問題に発展します。

ただ、この管理費などの問題が大きくなる原因に、その請求が難しくなるパターンがいくつかあり、それらの問題に対処するためには、管理規約の変更など事前の準備が重要です。

 

各種使用料の滞納には注意

管理費等のうち、駐車場使用料など、おおむねマンションの共用部分を使用することによって生じる使用料金は、管理費や修繕積立金とは異なり特定承継(所有者が変わっても引き継がれる)されるもの(専用庭やルーフバルコニーなど専有部分と一体となっている共用部分に対する使用料)と、されないもの(駐車場や自転車置場など個別の契約において使用が可能となる共用部分に対する使用料)があります。

管理費や修繕積立金は、特定承継される債権であることから、多額の滞納となった場合、払えなくなった区分所有者からではなく、売却などにより次の所有者から回収するという手段を選択することが可能です。

ところが、特定承継されない使用料に関しては、新たな区分所有者に対して請求することができません。

そのため、特定承継されない駐車場使用料などに関しては、管理費などの滞納以上に、使用料の滞納には注意が必要です。

 

駐車場使用料の滞納は高額になりやすい

また、特に都心部の駐車場使用料は高額です。

数ヶ月であっという間に大きな滞納額となり、容易には回収できなくなります。

対策として、駐車場使用料の滞納が一定月続けば、自動的に駐車場使用契約を解除する条項を設ける管理組合が増えてはいますが、解約に伴って駐車場から追い出すことが容易でないケースが散見されます。

また、駐車場が余ってしまっている管理組合では、空けているぐらいならと、安易に滞納額を増額させてしまうケースも見られます。

その結果、過大な滞納額となってしまうと、滞納者は滞納に慣れてしまい「払わなくても良いもの」との認識を強め、さらに回収が難しくなるという悪循環に陥りやすくなりますので、本当にご注意ください。

 

水道使用料は慎重な準備と対応が必要

全国すべての自治体ではありませんが、一部の自治体では、水道使用料を管理組合で一括して支払っているケースがあります。

このケースの水道使用料に関しては注意が必要です。

なぜなら、この使用料の滞納が特定承継されるかどうかは、裁判所の判断が分かれているからです。

さらには、水道はライフラインですので、駐車場のように安易に解約という手段を取りにくいという事情もあります。

水道使用料に関しては、これらの事情に十分配慮した対応が必要ですので、ご注意ください。

 

区分所有者が亡くなられてしまうケース

このケースへの対処法は、本当に多岐に渡ります。

しかも、管理組合単独では対処が難しい相続人の特定も必要となるケースもあります。

事前に、管理組合としてできることは「区分所有者名簿の整備」です。

ただし、今月30日には改正された個人情報保護法も施行されますので、管理組合で個人情報をどのような範囲で収集・保管・運用するのかについて、しっかり議論されることをお勧めします。

また、このような目的があるとしても安易な情報収集はお勧めできません。

便利だからと広範囲な情報を収集することは、「利用目的の特定」が難しくなりますし、同意も得にくくなります。

あまり過剰に心配してもいけませんが、情報開示請求などにより、想定外のところで情報を開示せざるをえなくなるケースも考えられます。

 

まとめ

総会シーズンで、会計報告を見たら、思った以上に滞納管理費があったなどというケースは、往々にしてこのような事情が絡んでいます。

このような事態を防ぐためには、大前提として、管理会社にしっかりと日々チェックさせることは当然として、管理組合にも当事者意識とチェック体制が必要です。

そして、加えて今回の記事のような注意が行き届けば、大きな滞納を未然に防いだり、損失を最小化したりすることができるはずです。