分譲マンションの管理組合と法人格について

現在、社会人大学院生として修士論文のテーマ検討を行う中、ゼミの担当教授である山田先生からのご指導を受けつつ、色々学んでいます、

その中で、分譲マンションの管理組合に関する税務についても学んでいます。

 

分譲マンションの管理組合の納税義務について

通常、分譲マンションの管理組合については、税法関係では、「人格のない社団等」に区分され、法人税法に規定のある「収益事業」に該当する事業を行った場合に、その収益事業に関する部分だけ税金を納める義務があります。

そして、一般の分譲マンションの管理組合は、管理組合としてマンションの維持・修繕などを行う団体であり、収益事業を行いませんので、納税義務はないのです。

ただ、共用部分である駐車場を区分所有者以外の第三者に管理組合が貸し出した場合など、一定の場合には、その貸し出しの実態に応じて、収益事業として税金を納める義務が生じます。

 

通常、管理組合は法人ではありません

このように分譲マンションの管理組合に法人税の納付義務が生じるケースがあるにもかかわらず、分譲マンションの管理組合は、民法上は「権利能力なき社団」とも呼ばれ、法人としての権利義務はありません。

しかし、通常の管理組合が該当する「人格のない社団等」については、法人税法第三条において、法人とみなして、法人税法の規定を適用することとされています。

また、収益事業を行った場合に限られますが、法人税法第四条の規定に基づいて、納税義務者となります。

 

また民法上の組合でもありません

民法には単に「組合(「匿名組合」と区別するため、「任意組合」とも呼ばれる)」と呼ばれる団体の規定があります。

同じ「組合」と名が付いてはいますが、別のものです。

「任意組合」も法人ではありませんが、こちらは法人税法上、法人とはみなされず、法人税の納税義務はありません。

ただし、詳しいことは割愛しますが、「パス・スルー課税」と呼ばれる別の方法での納税義務が生じます。

また、商法にある「匿名組合」はさらに別のものです。

匿名組合に至っては、匿名組合契約によるそれぞれ個別の契約であり、管理組合と異なり、団体ですらありません。

なお、これらは法人税法基本通達1−1−1(法人でない社団の範囲)で、次のように示されています。

1-1-1 法第2条第8号《人格のない社団等の意義》に規定する「法人でない社団」とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含まれない。(昭56年直法2-16「二」、「六」により改正)

(1) 民法第667条《組合契約》の規定による組合

(2) 商法第535条《匿名組合契約》の規定による匿名組合

 

管理組合は区分所有法をその根拠法としています

分譲マンションの管理組合は、区分所有法に定められている団体です。

正確に言うと、区分所有法には「区分所有者の団体」とされており、「管理組合」とは明記されていません。

「管理組合」という用語は、法律上では「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)の第二条の定義で規定されています。

マンション管理適正化法が制定される以前は、いまの「マンション標準管理規約(以前は、「中高層共同住宅標準管理規約」。)」の第六条(管理組合)の規定に由来していました。

 

必ず「人格のない社団等」に該当するわけではありません

法人税法基本通達1−1−3(人格のない社団等についての代表者又は管理人の定め)で、次のように示されています。

1-1-3 法人でない社団又は財団について代表者又は管理人の定めがあるとは、当該社団又は財団の定款、寄附行為、規約等によって代表者又は管理人が定められている場合のほか、当該社団又は財団の業務に係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理する等の業務を主宰する者が事実上あることをいうものとする。したがって、法人でない社団又は財団で収益事業を行うものには、代表者又は管理人の定めのないものは通常あり得ないことに留意する。

一般の分譲マンションにおいては、管理規約を制定し、代表者である理事長を選出しますので、「人格のない社団等」に該当しないということは、まず考えられません。

しかし、古い区分所有建物においては、相当のレアケースながらも、管理組合を結成していないことがあります。

区分所有法上は、区分所有建物の団体の存在を確認しているに過ぎず、代表者を定め、管理組合を設立するかどうかは「任意」です。

そのため、管理規約を定めていない場合などの特殊な事例に限り、区分所有建物の団体は、「人格のない社団等」に該当しない場合がありえます。

 

分譲マンションの管理組合は法人にすることもできます

区分所有法には、一定の要件を満たせば、分譲マンションの管理組合を法人とすることができる規定があり、管理組合法人(団地の場合は、「団地管理組合法人」。)を設立することが可能です。

登記費用や申告・納税費用などの費用面の課題をクリアした上で、4分の3を超える特別決議を議決できるだけのコンセンサスが得られるのであれば、管理組合を「管理組合法人(または、団地管理組合)」として登記できます。

管理組合を法人化した場合には、法人として管理組合が不動産を所有できるようになるメリットと、法人税法上「みなし公益法人等」に該当するメリットがあります。

ただ、登記費用他のコストがかかりますので、コストメリットが出るほどの必要性や規模があるかどうかを見極める必要があります。

 

まとめ

今日は、管理組合の法人格(組織)について、少し掘り下げてみました。

分譲マンションの管理組合は、相当なレアケースながらも、法人税法上の「人格のない社団等」に該当しない「組合(任意組合)」や「管理組合法人や団地管理組合」であるケースがありえます。

そして、それぞれに法人税法など税法上での取扱いが異なりますので、注意が必要です。