A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理管理見直し

フロント担当者から見た業務処理の要領とポイントについて(その他の基幹事務以外の管理事務)

前回(2015.12.18)までで、3つある「基幹事務以外の管理事務」のうち、2つは解説が終わりましたので、今日は最後の1つである「その他の基幹事務以外の管理事務」について、まとめてみたいと思います。

 

各種点検、検査等に基づく助言

フロント担当者に不得手とする方が多い部分だと感じています。

実際の点検に立ち会ったことがない方も多く、ここはご本人の勉強する意識と担当物件の数や規模、築年数などにより、スキルにばらつきが見られます。

ただ、すべての種類の点検や設備を知ることは不可能ですから、自らが担当することとなった物件ごとに、その内容を把握し、理解することができるようになれるかどうかを問われていると考えています。

 

これは、日々点検報告書を読み込み、不明点を確認し、提案にまとめていく作業を繰り返すことで伸ばすことができるもののため、知識面では「意識」が重要と言えると思います。

具体的には、報告書記載項目の意味や内容を、協力業者に直接問い合わせ、不明点を一つ一つ確認していくだけでも変わりますし、設備機械は、メーカーに直接問い合わせたり、メーカーカタログや取扱説明書などにも、知っておくべき事項が記載されているケースが多いですので、折を見て、それらを確認したりすることが有用と考えています。

「一気に、まとめて」は大変ですし、ほぼ無理ですから、「少しずつ、気づいた時に」がポイントです。

 

提案能力に関しては、正直、お客様から受けた質問によって鍛えられる部分がありますが、上司やバックアップしてくれる専門職スタッフからレクチャーを受けることによっても伸ばすことができると考えています。

この他、『マンション管理標準委託契約書』において、「報告」だけなく、「助言」も「書面をもって行う」と記載されているにもかかわらず、報告書と見積書のみの提出で済ませる担当者が多い気がしています。

自社の見積書内に、提案理由などを付記する方法なども、問題ないと考えますが、協力業者からの点検報告書と見積書だけ出して、口頭で説明して済ませてしまうことは、契約書に則った対応とは言い難いと考えています。

 

各種点検等の報告、届出の補助

特に法定点検などに関して、管理組合に代わって、所管行政庁へ届けを行うことですが、「3年に1回」届出義務がある「非特定防火対象物である共同住宅」の「消防設備点検報告書」の提出が漏れているケースが散見されます。

これは、「理事長(防火権原者)」と「防火管理者(非特定防火対象物で、収容人員50名未満の場合は、不要)」の確認を受けた上で、所轄消防署の予防課に提出するのですが、管理会社に報告書が眠ったまま、届出されていないことがあります。

報告書自体は、点検協力業者が作成しているはずですので、特に難しい作業ではないはずですが、例年のスケジュールが決まっている点検などと違い、組織的な管理がなされていないことが多いため、他の業務に押し流されて、結果的に放置してしまっていると考えられます。

 

この他、通帳の代表者名義変更に関しても、普段の出納に使用する通帳はまだしも、普段入出金があまり行われない保管口座の通帳は、名義変更を行わず、放置しているケースが散見されます(賛否はありますが、敢えて「名義変更しない」旨を総会にて決議しておくことも一案です)

 

図書の保管等

とても大切な資料ですが、保管場所に関して、契約書に記載が「管理事務所」保管とされていても、管理会社に保管されていたり、預り証を発行していなかったりすることから、「もらった」「もらっていない」というトラブルが普通に起こっています。

もう普段の業務で手一杯な担当者も多く、このようなところまで手をつけられる方は、ほとんどいません。

担当した時点でわかっても、今更、整理したり、あるものをないものを、理事会役員まで巻きこんで、確認したりするのは、不可能に近い作業ですので、問題が起こらないことを祈りつつ、放置されているケースがほとんどではないでしょうか?

 

逆に管理組合側でも、管理会社からしっかりと預り証を受け取り、輪番などで毎年のように変わってしまう理事の間でも、しっかりと引き継ぎが行われていますでしょうか?

 

しかし、本当に必要になった時に、「無い」とわかっても、時すでに遅く、図面の作り直しなど不可能な場合もあります。

特に『マンション管理適正化法施行規則第102条に規定する図書』に関しては、竣工後、できる限り早い段階で、お互いに確認をしておくことができれば、施工会社に図書の控えが残っていることがありますので、復元できる可能性が高まります。

 

まとめ

フロント担当者にとって、会社から追い立てられている売上などとは違い、契約書に書かれている業務は当然やっているものとして取り扱われ、その実施の履行に関して普段から確認されることは、あまりないと思います。

また、しっかりやっていても、たいていの上司は、業務の細部を理解していないので、それを喜ばれることも、まずありません。

営利組織である以上、「売上」と「利益」が最重要課題であり、それら以外のものは、かなり「丸投げ」され、実施されていて当たり前のものとされています。

しかし、現実には、社内で行われているだけで、先般の「杭」工事などと同様に、下請への丸投げと同じ構造なのです(下請けにする場合と違い、責任の転嫁はできないはずなのですが・・・)

 

フロント担当者がやっていないと責められるべきところが、無いとは言えません。

また、人によっては、同じ環境でもやれてしまう場合もあります。

ただ、大手の管理会社では、随時、転職サイトを利用しての募集が行われています。

これが適正な業務負荷であると言えるかどうかは、難しいところではないでしょうか?

少なくとも、おおむね定時に帰れて、有給もしっかりと消化できるという環境ではなさそうです。