フロント担当者から見た業務処理の要領とポイントについて(事務管理業務以外の管理事務)

前回(2015.12.24)までで『マンション標準管理委託契約書』の「別表第1」にある「事務管理業務」については、一通り解説が終わりました。今日は、『マンション標準管理委託契約書』に記載されている「事務管理業務以外の管理事務」の業務要領について、まとめてみたいと思います。

 

管理員業務

管理員がいるような物件であれば、随時連絡を取り合いながら業務を行うため、現場把握は容易になる分、現地へ赴くことが少なくなりがちです。

しかし、建物巡回点検の実施が、フロント担当者の業務とされている管理会社であれば、巡回点検での訪問に合わせて、管理員の業務監査も随時抜きうちで行うことが必要です。

また、業務の履行確認については、「日報」や「業務指示書(作っていない管理会社が多いはず)」などを活用し、日常的な管理員の動きを把握しておくことは重要なポイントです。

居住者からの問い合わせに対して、管理員が「どのように行動しているのかわからない」という回答はないはずですので、内容を把握しつつ、日報で履行確認ができるように努めておくことは有用です(ちゃんと指示しておかないと有効活用できませんが・・・)

 

そして、基本は「契約書」です。

社内に「仕様書」や「要領書」があれば、それを活用しつつ、現場に合わせて、「業務指示書」として、まとめます(この重要性は管理組合からクレームが出るようになれば、わかります)

そして「契約書」と「指示書」に差異があれば、理事会・総会を通してすり合わせを行い、一致させておく必要があります。

書類をしっかりと整備し、統一しておくことによって、管理員ごとの業務のブレや差異をなくしていくことができ、「人が変わったから、別の仕事になる」といった組織としての業務とは言い難い対応とならないように、配慮しておくことは、十分に報われると思っています(もちろん、完璧にはなりませんので、日々の業務巡回監査でフォローします)

 

限られた時間の中、実際は、ここまでしっかりとやることは難しい場合が多いです。

しかし、少なくとも「契約書」の内容と「実施されている業務」に齟齬がないかどうかについて、最初に確認しておくことは、その後の業務を行っていく上で、「知らなかった」という恥ずかしい話を無くせますので、実施されることをお勧めしておきます。

 

清掃業務

こちらも、管理員業務と同様に、「契約書」の内容と「現場で実施されている業務」との齟齬が、かなり見られます。

「契約書」は物件ができる前に作られていますので、少なくないズレがあってもおかしくはないのです。

そして、清掃員の方が日々現場で工夫して行われている業務の方が優れていることも、十分にあります。

したがって、清掃員の方にヒアリングを行った上で、ベターな形にカスタマイズし、それを「契約書」「仕様書」などに反映した上で、最後は「報告書」に落とし込むことができれば、業務はしっかりと一巡し、完結します。

あとは、随時の監査などでメンテナンスしていれば、そうそう問題が起こることは考えにくいと思っています(非常に清掃に厳しい居住者の方がいらっしゃるようなレアケースは除きます)

これは余談ですが、評判の良い清掃員さんの工夫などを勉強し、他の清掃員さんにも再現してもらえるようになれば、担当物件全体のレベルが上がります。

清掃員を統括している協力業者や自社の担当者などにヒアリングし、一度、そういった方の仕事ぶりを勉強されてみてはいかがでしょうか?

 

建物・設備管理業務

建物巡回目視点検も、「契約書」の内容をしっかりチェックせずに実施されているケースが散見されます。

当然、基本は「契約書」記載の内容を実施することですので、まずはそこを確認し、報告書に落とし込むことが必要です。

 

この業務の精度向上は、「数を見ること」です(笑)

しかし、そんな身も蓋もないことを言っても仕方ありませんので、実施のポイントとして、「建物劣化がどのような部分に起こりやすいのか?」と言う視点を忘れずに、チェックしていれば、イレギュラーなものは別として、大枠での見落としはなくなります。

この「建物劣化がどのような部分に起こりやすいのか?」という部分のポイントは、私の経験上では、次の通りです。

 

・建物の構造的に弱い部分(「打ち継ぎ目地周囲」や「建物端部」、「役物周り」、「建物躯体部」と「アスファルト車路」など構造自体が変わる接点など)

・稼働部分で、使用回数が多い出入口付近(勝手口扉のドアクローザー、風除室出入口扉のフロアヒンジ、オートロックのシリンダー錠など)

・最も気候暴露しやすい建物南面、構造的負荷がかかりやすい斜壁付近・振動の影響を受けやすい建物長手方向のパラペット・手すり壁など、劣化事象が最も発生しやすい部分

・バルコニー上げ裏の軒先部分(端部は、かぶり不足が生じがちで、施工精度のムラが出やすく、ひび割れや漏水が発生しやすい)

 

この他、各専門協力業者に委託している業務については、「少しずつ、気づいた時に」勉強することを前回お勧めしましたが、日常点検においても同様です。

各報告書を読みながら、わからないところを少しずつなくしていくことがポイントです。

 

まとめ

やはり、社内でできる「事務管理業務以外の管理業務」の基本は、「現場に行くこと」なのですが、ただ現場に行くだけでは、意味がありません。

しっかりと、勉強し、予備知識を身に付けた上で、それを「現場で活かす」姿勢で臨むことが、レベルアップへの近道だと考えます。

このように正論を書きつつも、フロント担当者にとって、実際には、積極的にやりたい業務ではないかもしれません。

しかし、管理会社で仕事を続けて行かざるをえないのであれば、スキルアップは身を助けます(ただ、やりすぎて心身に不調をきたさないようにお気をつけください)

使用量に注意の上、計画的にご利用いただければと考えます。

 

さて、今回で、『マンション標準管理委託契約書』の「別表第1」から「別表第4」までに記載されている業務について、一通りの解説が終わりました。

この他にも、契約書本文に書かれている業務もありますので、次回からは、その部分について、解説していきたいと思っています。