A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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消費税税理士試験

転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整

今までの投稿をたくさん並べただけのレイアウトだったので、一昨日、トップページのデザインを少しいじってみました。

「マンション管理関連」と「税理士試験関連」の2つのカテゴリーで大きく括り、並べてみましたがいかがでしょうか?

さて、本日は、昨日に続き、「控除の調整」で「転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整」について、まとめてみたいと思います。

 

※下記の参照条文については、分かりやすさを優先し、条文番号の内容への置き換え、一部省略等を行っています。

 

課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用した場合

第34条に次の通り規定されています。

事業者(消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、国内において調整対象固定資産の課税仕入れを行い、又は調整対象固定資産に該当する課税貨物を保税地域から引き取り、かつ、当該課税仕入れ又は当該課税貨物に係る課税仕入れ等の税額(以下「調整対象税額」という。)につき「個別対応方式」により同号に規定する課税資産の譲渡等にのみ要するものとして仕入れに係る消費税額を計算した場合において、当該事業者(相続により当該調整対象固定資産に係る事業を承継した相続人、合併により当該事業を承継した合併法人及び分割により当該調整対象固定資産に係る事業を承継した分割承継法人を含むものとし、消費税を納める義務が免除される者を除く。)が当該調整対象固定資産を当該課税仕入れの日又は当該保税地域からの引取りの日から三年以内にその他の資産の譲渡等に係る業務の用に供したときは、当該業務の用に供した日が次の各号に掲げる期間のいずれに属するかに応じ当該各号に定める消費税額を同日の属する課税期間における仕入れに係る消費税額から控除する。この場合において、当該控除をした後の金額を当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。

 当該調整対象固定資産の課税仕入れの日又は当該調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りの日からこれらの日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額に相当する消費税額
 前号に掲げる期間の末日の翌日から同日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額の三分の二に相当する消費税額
 前号に掲げる期間の末日の翌日から同日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額の三分の一に相当する消費税額

 

これも長い規定ですが、括弧書き部分などを除いて分解して考えると、適用要件として、次の4つを満たす必要があることがわかります。

1)「課税事業者が、調整対象固定資産の課税仕入れを行い、又は調整対象固定資産に該当する課税貨物を保税地域から引取り」

2)「当該課税仕入れ、又は当該課税貨物に係る課税仕入れ等の税額につき、『個別対応方式』により課税資産の譲渡等のみ要するものとして仕入れにかかる消費税額を計算した場合で」

3)「当該課税仕入れの日、又は当該引取りの日から3年以内に、その他の譲渡等に要する業務の用に供したとき」

この規定は、前回の『課税売上割合が著しく変動した場合』とは、下線太字部分と、3年後の保有要件がないところに違いがあります。

当初は「課税資産の譲渡等に要するもの(例:事務所用ビル)」として使用として「建物(調整対象固定資産)」を購入したが、3年以内に、「その他の資産の譲渡等に係る業務の用(賃貸住宅)」に供した時(転用した時)は、仕入れた時から転用した時までの期間に応じて、一定の控除調整を行う内容となっています。

 

一定の調整額については、各号に定められています。

3年を超えてしまえば適用はありませんが、この規定がなければ、仕入れた時だけの用途で計算されてしまうので、その分消費税が取られ損ですよね(笑)

 

控除して控除しきれない金額があるとき

第34条2項に次の通り規定されています。

これも『仕入れに係る対価の返還等を受けた場合』、『課税売上割合が著しく変動した場合』にもあった規定と同様です。

 前項の規定により同項各号に定める消費税額を同項に規定する業務の用に供した日の属する課税期間における仕入れに係る消費税額から控除して控除しきれない金額があるときは、当該控除しきれない金額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして当該業務の用に供した日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。

 

非課税業務用調整対象固定資産を課税業務用に転用した場合

第35条に次の通り規定されています。

事業者(消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、国内において調整対象固定資産の課税仕入れを行い、又は調整対象固定資産に該当する課税貨物を保税地域から引き取り、かつ、当該課税仕入れ又は当該課税貨物に係る課税仕入れ等の税額(以下「調整対象税額」という。)につき「個別対応方式」により同号に規定するその他の資産の譲渡等にのみ要するものとして仕入れに係る消費税額がないこととした場合において、当該事業者(相続により当該事業者の当該調整対象固定資産に係る事業を承継した相続人、合併により当該事業を承継した合併法人及び分割により当該調整対象固定資産に係る事業を承継した分割承継法人を含むものとし、これらの者のうち第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される者を除く。)が当該調整対象固定資産を当該課税仕入れの日又は当該保税地域からの引取りの日から三年以内に課税資産の譲渡等に係る業務の用に供したときは、当該業務の用に供した日が次の各号に掲げる期間のいずれに属するかに応じ当該各号に定める消費税額を同日の属する課税期間における仕入れに係る消費税額に加算する。この場合において、当該加算をした後の金額を当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。

 当該調整対象固定資産の課税仕入れの日又は当該調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りの日からこれらの日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額に相当する消費税額
 前号に掲げる期間の末日の翌日から同日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額の三分の二に相当する消費税額
 前号に掲げる期間の末日の翌日から同日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額の三分の一に相当する消費税額

 

この規定は、先ほどの逆パターンです。

文章は長いですが、意味ごとにブロック化して並べれば、違いはほとんどありません。

先ほどの規定を暗記すれば、こちらはそれほど苦労せずに覚えられます。

なお、こちらか仕入税額に加算する規定のため、「控除して控除しきれないとき」の規定はありません。

 

こちら側の規定がないと、仕入れた時だけの用途で非課税となってしまうため、消費税を払いたくなければ、みんな最初は非課税用途として仕入れて、その後に課税事業用に転用してしまいますね(苦笑)

税務署が取りっぱぐれないための規定だと言えると思います。

 

まとめ

前回の規定に続いて、調整対象固定資産に関する仕入税額控除の調整規定です。

このように関連した規定は、理解するときは個別に取り組み、反復練習で身に付けていくときは、一塊にして、違いをしっかり意識して区別しながら、解答を作成するようにすると、覚えも早くなり、解答作成能力も高くなります。

そこそこボリュームがあるので、大変だと思いますが、年末進行以降の業務が忙しく今この時期に、じっくりと取り組まれることをおすすめします。