A Written Oath

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消費税税理士試験

帳簿及び請求書等の保存

今日は、「仕入れに係る消費税額の控除」の規定のうち、「帳簿及び請求書等の保存」について、まとめてみたいと思います。

この規定は平成9年に「帳簿又は請求書等の保存」から「帳簿及び請求書等の保存」へと改正されています。

消費税法制定直後は、甘く規定されていて「帳簿」か「請求書等」のどちらかを保存しておけば、仕入税額控除を受けられる規定だったのですが、改正後は、厳しく、基本は両方揃っていないと仕入税額控除できない規定となったのです。

 

もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この規定で保存義務があるのは、「領収書等」ではなくて「請求書等」なんです。

一般的なイメージとして「領収書」がないと経費は精算できないと考えますよね。

しかし、消費税法の規定では、「請求書等」の保存をもって適用要件としています。

 

領収書では、お金を受領した事実(受け取った人や日付、金額)の記載はあっても、「何の」支払いだったかまでは記載義務がないため、「お品代」とか書かれちゃうとわからないですよね。

そのため、「課税の対象」であるかどうかの判断が可能となる「何の」請求かが書かれている請求書等の保存を要件としています。

 

※下記の参照条文については、分かりやすさを優先し、条文番号の内容への置き換え、一部省略等を行っています。

 

Save such as books and invoices

 

帳簿及び請求書等の保存

第30条7項に次の通り規定されています。

「仕入れに係る消費税額の控除」の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

 

最後のただし書きは、税法の規定上でちょくちょく出てくる「宥恕(ゆうじょ)規定」と呼ばれるものです。

この「やむを得ない事情」や「正当な理由」、「やむを得ない理由」などにより、要件を満たすことができないような事態となった際には、救済措置がありますよという規定ですが、「罹災証明」などの証明が必要となります。

 

この規定中で解説したい新たな用語の意義は、次の通りです。

 

課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合その他の政令で定める場合

施行令第第49条1項に次の通り規定されています。

「帳簿及び請求書等の保存」に規定する政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

 「仕入れに係る消費税額の控除」に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が三万円未満である場合
 「仕入れに係る消費税額の控除」に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が三万円以上である場合において、「帳簿及び請求書等の保存」に規定する請求書等の交付を受けなかつたことにつきやむを得ない理由があるとき(「帳簿及び請求書等の保存」に規定する帳簿に当該やむを得ない理由及び当該課税仕入れの相手方の住所又は所在地(国税庁長官が指定する者に係るものを除く。)を記載している場合に限る。)。

 

法律は、すべての請求書等を保存しろと要求しているわけではありません。

「3万円未満の請求書」や「やむを得ない理由があって請求書等がもらえなかったとき」なども請求書がなくても良い規定されています。

 

課税仕入れに係る支払い対価の額

第30条6項(一部抜粋)に次の通り規定されています。

課税仕入れに係る支払対価の額とは、課税仕入れの対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、当該課税仕入れに係る資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該課税仕入れに係る役務を提供する事業者に課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額(これらの税額に係る附帯税の額に相当する額を除く。)に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。

 

解説を後回しにしていましたが、いままで出てきた「課税売上高」や「課税標準(額)」などとは異なり、「税込」金額として定義されています。

したがって、先ほどの「3万円未満」、「3万円以上」という判断も「税込」額で判断することとなります。

繰り返しになりますが、「しっかりと区別して用語を読み取れること」が税理士試験対策としてのポイントになりますので、ご留意ください。

 

 

まとめ

「支払った消費税額」を「預かった消費税額」から差し引きするために、本日の規定の他にも要件があります。

税理士試験の理論問題では、要件を絡めて回答が必要となる問題があり、仕入税額控除ではしっかりと理解しておくべき、外せないポイントです。

ただ、計算問題では要件が揃っている前提で問題作成されていますので、受験者向けというよりは、経理実務をされる方向けの内容になったと思います。

これで要件のすべてではないので、次回以降で「保存期間」などについても解説していきます。