マンション管理組合の複層構造

昨日(2016.10.16)は、人格のない社団等に対する課税の歴史的経緯について記事にしました。

この考え方に従えば、マンション管理組合が人格のない社団等に該当する場合、疑いの余地なく税金がかかることになります。

そのため、マンション管理組合の人格のない社団等への該当性について、議論になっています。

今回、訴訟となった管理組合も、マンション管理新聞の記事から見ると、この部分に関して、訴えを起こしているようです。

これは、人格のない社団等への課税と、組合に対する課税の具体的な違いが、結果として税金の額に違いを生むからです。

今日は、その部分に関して記事にしたいと思います。

 

「人格のない社団等」は法人(事業体)課税

現在の税制では、人格のない社団等は法人とみなされ、収益事業に関する部分のみが対象ですが、その収益に対して税金がかかります。

マンション管理組合にとって、この収益事業課税が行われた場合、多くの管理組合では、必要経費として計上できる金額がほとんどないことから、収入のほとんどに税金がかかるという結果になります。

このため、税金がかかること自体に疑いがなかったとしても、マンション管理組合が人格ない社団等に該当しないものとして取り扱われるように訴えを起こします。

訴訟は現在進行中ですが、以前にも解説した国税不服審判所での裁決事例においても、この点が争点となっています。

仮に法人課税された場合、必要経費は無視して、500万円の利益が出ていたと仮定すると、800万以下の中小企業の実効税率は約23%ですので、115万円ほどの納税が必要となります。

 

「組合(任意組合)」は構成員課税

これに対し、マンション管理組合が主張するのは、マンション管理組合は「組合(任意組合)」であるということです。

これはマンション共用部分が区分所有者の共有に属することを根拠としています。

このため、人格のない社団等として法人課税された場合、所有していない資産(共用部分)を収益事業のために使用していたとしても、必要経費として減価償却費を計上できないという結果になります。

また、組合として構成員課税(団体を素通りして、その先の構成員に直接課税されることから、「パススルー課税」ともいわれます)された場合、マンション管理組合は課税されず、その収益の額は、持分割合に応じて区分所有者に帰属することとなり、納税義務者は各区分所有者になります。

組合に対する計算方式は、非常に複雑なためここでは割愛しますが、たとえば仮に、管理組合全体として、収益事業で500万円の利益を上げたとしても、区分所有者の頭数が50人だとすれば、単純計算で一人当たりの収益の額は、平均10万円ほどにしかなりません。

すると、その収益事業が携帯基地局収入であったとすると、その所得は不動産賃貸収入ですから、所得税の不動産所得として課税されます。

青色申告すれば、事業的規模ではなかったとしても10万円の特別控除がありますから、マンション管理組合から以外の不動産所得がなかった場合、所有者のその年の収入による部分はあるものの結果として、この所得から納税額が出ないケースも普通に考えられます。

実際には、利益配分がなかったとしても課税されるなどのデメリットもあることから、一概に得だと言い切れない部分もないわけではありません。

しかし、結果としてこのマンションの区分所有者全体で収める納税額は、管理組合に法人課税された場合と比べれば、少なくなるはずです。

 

管理組合の複層構造

管理組合の複層構造

細かいところを省いて、大雑把にまとめると、本質的には上図の通りです。

この構造の違いから、所有からアプローチすると、「組合(任意組合)」ですが、外部との権利関係からアプローチすると、通常は管理組合が窓口になっているはずですので、「社団(人格のない社団等≒権利能力なき社団)」に該当すると考えられます。

実際には、もう少し複雑な話なのですが、説明の都合上、ここでは単純化しておきます。

このような形態となっていることから、マンション管理組合は、区分所有者共有している共用部分に関して、管理組合という組織が覆いかぶさるように乗っかっており、通常は、共有財産であることが意識されることはありません。

しかし、今回の訴訟のように、納税額に違いがある上に、かつ、その収益の源泉が共用部分である場合には、この本質について問われることになります。

 

まとめ

マンション管理組合に対する課税に関して、少しは分かりやすく説明できたでしょうか?

正直、普段から接しすぎていて、説明が難しいと思うものの、どこまで説明すれば伝わるのか、まだまだ手探りです。

しかし、修士論文審査会では、税法はともかく、民法や区分所有法に関する予備知識があまり無い方にも、しっかりと伝わる内容にする必要があります。

まだ少し時間がありますので、もう少しいろいろ揉みながら、厚みのある論文にできればと考えています。