「既存住宅状況調査技術者講習制度」が創設されます

※アイキャッチの画像は『マンション管理新聞(2017年2月15日、第1030号)』

 

国土交通省から2月3日に報道発表が行われました。

中古住宅流通に関しては、以前から少しずつ記事にしてきましたが、インスペクションが重要事項説明義務となったことにより、この制度を創設し、国家資格としてのお墨付きを与えるようです。

 

この講習受講対象者は建築士

この講習受講により取得できる資格制度ですが、受講対象は建築士のみです。

したがって、建築士でない方は、どうやら取得できない資格となったようです。

また、建築士であったとしても、建築士の資格区分である「一級」「二級」「木造」ごとに、調査対象とできる建築物が異なっています。

 

この制限は制度的には妥当

新築が減少する中、建築士の新たな仕事として位置付けられたところは業界の思惑を感じないではありません。

しかし、中古とはいえ、建築物である以上、建物を建てるための資格である建築士資格の区分に従って、その調査資格を制限することは、制度的には妥当だと考えます。

建築士であるということは、「建てられる」ということです。

そして、それはその建物を計画できるということであり、その建物のことを基礎から理解し、全体像を把握しているいるということでもあるはずだからです。

 

反面、現実とはかなり乖離がある

制度としての建て付けは理解できますが、建築士という資格の現実を考えると、諸手を挙げて賛成とはいいがたい部分もあります。

なぜなら、私が目指す税理士も全ての税目を理解できている人がまずいないように、建築士だからといって、都市計画・確認申請・施工管理・修繕までを一貫して全て理解できている建築士もまずいないと考えているからです。

これは建築士の方の能力を貶したいのではありません。

資格をお持ちの方は十分にご理解いただけると思いますが、最上位の国家資格は、その資格がカバーしている範囲がとても広いのです。

もしかしたら、中には全ての範囲に詳しい方がいらっしゃるかもしれませんが、それは一般的ではないでしょう。

私もマンション管理士を取得する前後において、かなり幅広く学んできたつもりですが、電気関係の分野に関しては得意とはいません。

建築士もかなりの範囲をカバーする国家資格です。

特に建築は新築が最もお金になりますので、修繕は建築ではマイナーどころから、軽んじられる分野の仕事です。

「修繕をやるぐらいなら、建築士としての仕事は辞める」といわれたこともあります。

そのため、新築以外の修繕や点検に詳しい建築士の方には、なかなかお会いできません。

 

まとめ

不動産の中古市場が整備されていくことに関しては、基本的に良い方向だと考えます。

中古不動産が適正に評価される可能性が高まるからです。

ただし、この資格制度だけではなく、この中古不動産市場流通にかかわる制度全体としては、不整備な部分が見られ、これらの制度が順調に軌道に乗るかどうかは、まだまだ未知数だとも考えています。

海外先進国では、それなりに普及してる制度ではありますが、その普及には紆余曲折があったはずです。

日本においても、これら不動産流通にかかわる諸制度も、簡単には軌道に乗らないかもしれません。

ただ、人口が増える一方であった過去の大前提が崩れた以上、新たな前提に基づいた制度がしっかりと普及することが望ましいと考えています。