A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理大家業・不動産投資所有マンション

分譲マンションの賃貸について

昨日(2016.3.18)は、分譲マンションの駐車場を外部の第三者に対して賃貸することについて話題にしました。

国税庁ページ分譲マンションにおける駐車場外部賃貸について
一昨日(2016.3.16)、『マンション標準管理規約』改正点のポイントについて解説した際にも、「駐車場の使用方法」として、少し言及しま...

今日は、その区分所有している住戸などを賃貸することについて記事化したいと思います。

 

当然、区分所有者は貸すこともできる

分譲マンションの区分所有者は、駐車場のように管理組合からその住戸などを借りているわけでありません。

細かい話を除いて言えば、所有権を持って所有していますから、その住戸を使用・収益・処分できるのが大原則です。

この場合、不動産ですからその使用は、住戸においては住むこと。

処分は、売却して換金することになり、そして、収益は、貸して賃料収入を得ることになります。

 

ただし、好き勝手にはできない

しかし、一般的には、その権利に管理規約による一定の枠が課せられています。

分譲マンションは、共同住宅として一棟の建物を区分所有している都合上、その使用に一定のルールがあることを了解して購入することとなっています。

このルールが管理規約であり、先日その標準版である『マンション標準管理規約』の改正が行われました。

国土交通省 報道発表資料ページマンション標準管理規約(単棟型)が改正されました
昨日(2016.3.14)、国交省の報道案内として、マンション管理士会よりメール連絡がありました。 今回、「マンション標準管理規約」の...

 

一般的には賃貸はあまり行われていません

みなさんご存知の通り、幾つか具体的なハードルがあり、あまり賃貸に出すことはありません。

 

そもそも住むために買っている

貸すことを目的として建てられている投資用分譲マンションと呼ばれる例外を除けば、一般の分譲マンションは、実際に住むことを前提に買われているはずです。

このことを業界では「実需」と呼んだりします。

住むために買ったものですから、転勤などのやむを得ない事情がない限りには、わざわざ賃貸に出したりしません。

 

収支が基本的には合わない

「実需」用の分譲マンションは、近隣の不動産価格よりも高い単価で売買される傾向があります。

賃貸用不動産の売買価格には必ず賃料相場が影響しており、その需要以上に高く買ってしまうと破綻してしまうため、基本はそこが上限となります。

これに対し、売買が成立する分譲マンションは、その物件を欲しいと思う人さえいれば、過去の取引・販売事例(特に新築の分譲マンションの価格設定はここを基準にしています)の影響を受け、賃料相場以上の価格となる傾向があります。

そのため、基本的にその価格には「実需プレミア」が乗っているはずです。

それでも経費を考慮しなければ、金利相場の安い昨今、住宅ローンの支払額よりも高い金額で貸し出すことはできると思います。

しかし、分譲マンションには、管理費や修繕積立金があり、さらには仲介手数料なども必要なはずです。

さらに言えば、経年などによる修繕費用も考慮すると、賃貸での収支上限の価格に実需プレミアが乗っているのですから、収支が合わないのが普通です。

 

住宅ローン控除の適用がなくなる

これも一つの要因だと思っていますが、住宅ローン控除は、本人が住むことが前提となっています。

したがって、他人に貸してしまうと、この適用が受けることができなくなります。

収支が合わない上に、控除も受けられないのでは、賃貸する手間暇もあり、賃貸する気にはなりにくいですよね。

 

投資用分譲マンションですら、収支があっているとは思えない

この業界に入ってから、その存在を知った投資用分譲マンション。

外部から見て、その収支を含め、存在そのものが不思議でした。

そこを知りたいと思ったことから、関西から首都圏に住み替えた際、投資用分譲マンションの管理を主体としている管理会社に約1年間勤務しました。

そこで全てを知ったとまでは言えませんが、勤務しつつ学んだ結果としても、やはり収支があっているとは思えませんでした(笑)

ただ、新築からではなく、中古で取得した場合は別です。

中古で取得した場合でも高く買ってしまうとあれですが、現金購入するなどの工夫をすれば、投資が少額で済み、回収期間が短くなることから、収益を生み出せるパターンもあり得ます(それでも不動産に詳しくない方にはあえて勧めたりませんが:苦笑)

 

昨今話題の民泊もこの一形態

以前に対策勉強会に出席したことを話題にしている民泊もこの一形態と言えます。

勉強会レジュメ民泊対応勉強会に行ってきました!
昨日(2016.2.25)、先月も出席しましたマンションコミュニティ研究会の勉強会に行ってきました! 内容は、『迫る民泊、迫られる対応...

民泊の多くはオーナーから賃貸した住戸を転貸(又貸し)することにより、さらに不動産所有リスクすらヘッジして投資回収するスタイルのようです。

管理規約で縛るまでもなく、通常の賃貸借契約では、転貸することは禁止されることが一般的です。

また「居住者の名簿」や「緊急連絡先」などの提出を求められることも一般的な契約ですから、不特定多数に次々と貸し出す、Airbnbなどのようなスタイルの貸し出しはできないはずです。

従って、分譲マンションで行なわれている民泊は、基本、契約を反古にして隠れて行っている「隠れ民泊」と考えられます。

私自身は民泊に反対でも賛成でもありません。

しかし、ルール違反をして、ルールを守っている人たちに迷惑をかける行為に、賛同できるはずもありません。

 

リッチライフプラン

「リッチライフプラン」パンフレット

分譲マンションによる不動産活用を行いたいのであれば、他にも方法はあるはずです。

一つの具体例として、私自身の住戸ではありませんが、所有マンションは、株式会社リッチライフさんが供給している分譲マンションで、「リッチライフプラン」という形態の住戸が販売されています。

これは、一つの分譲住戸を2つに分割して貸せるプランです。

1つの区画として販売されますが、2つの玄関ドア・水まわり設備があり、片方(別に双方でもいい)は賃貸することできるようになっています。

これだと住みながら、賃料収入も合わせて得られるため、生活収支がかなり楽になるはずです。

一昔前に耐震偽装問題で話題となったマンションのうちの1棟である「グランドステージ藤沢」も、「ロワール湘南藤沢」として、この方法により建て替えられています。

 

まとめ

管理上は分譲マンションを賃貸すると、分譲マンション固有のトラブルに加え、賃貸系のトラブルが複合するため、管理担当者や管理員としては歓迎しにくい部分もあります。

しかし、オーナーサイドから考えれば、所有不動産の活用方法として賃貸を検討することは当然です。

ただ、分譲マンションの賃貸化が進むと、その管理組合活動は不活発になりがちです。

この部分への対策が今後の管理組合活動には必要かもしれません。