マンション管理における外部専門家の活用について

昨日(2016.7.29)、マンションコミュニティ研究会でお世話になっている廣田信子先生が、「管理者であるマンション管理士の使い込みは保険で補填される?」とのブログ記事を書かれました。

前回のマンションコミュニティ研究会の懇親会でも、この件について熱くお話でした。

全くその通りだと思うとともに、この誤解はけっこう世の中に普通にある誤解だと考えています。

 

マンション管理士賠償責任保険

マンション管理士の賠償責任保険に限らないのですが、かなり広範囲に賠償保険が適用されるとの誤解があると思っています。

廣田先生もご指摘の通り、「故意」や「重過失」は免責です。

保険はあくまで、払うべき注意を払った上でなお、起こりうる事故を保険という仕組みを使ってカバーし合うものです。

そして、通常の保険は、偶然な事故により生じた損害を補償することがその目的であり、そこに保険者自身の意思が介在する場合には、「偶然」ではなくなりますので、制度の対象外です。

以前、マンション管理士としての顧問契約を総会上程した際、マンション管理士賠償責任保険を契約しているかどうかを問われたことがあったのですが、まさにこの部分に誤解があっての質問ではなかったのではないかと考えています。

もし、この「故意」や「重過失」による損害をカバーできる可能性を担保したいと考えるのであれば、このような賠償責任が生じた場合に、その損害を賠償できるだけの資力がそのマンション管理士にあるかどうかを判断しなければなりません。

 

過剰な期待は禁物

保険はあくまで、突発的、かつ、偶発的な万一の事故をカバーするためのものです。

そして、保険がカバーしている範囲は意外に狭いものです。

なんでも補償されるわけではありません。

また、保険料には、保険事故をカバーする保険金を支払うための純保険料以外に、付加保険料と呼ばれる事務コストや保険会社の営業コスト(利益含む)が含まれています。

私は、マンション適正化診断サービスを実施したり、無料相談員になったりすることができるように、マンション管理士賠償責任保険を付保しましたが、これはマンション管理士サイドの都合で付保する保険です。

万一の事故があった際、保険が付保されていることにより、結果として管理組合への賠償がスムーズに補償される場合もあるかと思いますが、その確率や範囲をどう考えるのかがこの保険のポイントだと考えています。

 

丸投げでは課題は解決しない

保険にしても、外部専門家活用にしても、課題や問題を丸投げしてしまっては、その解決は危ぶまれます。

これらはあくまで補助的にサポートするものであって、積極的に問題を解決するものではありません。

特に、廣田先生のブログ記事にもありました第三者管理方式は曲者です。

これにも、イメージと実態の乖離があるような気がしてなりません。

その課題や問題点などについて、いろいろ書けますが、その部分よりも、より本質的な問題として、管理組合運営を他者に依存しすぎてしまう可能性があると考えています。

もちろん、この制度は役員候補者がいない場合など、そもそも自律的に活動することができなくなった場合を想定して制度化されたものですので、想定通りの使われ方とも言えます。

 

まとめ

管理会社への丸投げをしないようにお勧めしていますが、それと同様に私自身も含め外部専門家への丸投げもお勧めできません。

第三者管理方式は、その判断すら行えなくなるような、致し方ない場合にのみ、管理者の暴走を食い止める仕組みも含めて導入すべき制度だと考えます。