築30年目の排水管交換工事について

マンション管理新聞(2018515日、第1071号)で、大阪都島の「ベル・パークシティ画地ⅡG棟」がその排水管改修工事において、マンションクリエイティブリフォーム賞を受賞したことが一面記事になっていました。

ベル・パークシティは、Wikipediaに記事があるほどのマンションで、一般的なマンションとはかなり異なる大規模なマンションです。

私の実家ある都島近辺には、以前にご紹介したトヨクニハウスをはじめとして、かなりユニークな集合住宅が多いと感じています。

その中で、今回受賞したベル・パークシティ画地ⅡG棟は、100m以上の超高層マンションとして日本初のマンションです。

今日は、その超高層マンションが実施した配水管交換に関して記事にしたいと思います。

 

総工事費6648万円

136階建、築31年、329戸のマンションであることを考慮しても多額の工事費です。

戸当たり計算で約184万円ですね。

マンション管理新聞の記事以上の情報をほとんど入手できていませんが記事からすると、超高層マンションである上に、一部メゾネット形式の住戸がある特殊な要因があることに加え、大規模な仮設工事と単純な共用排水管の交換に止まらず、排水システム自体の見直しから専有部分内の枝管交換なども行っています。

これは排水経路が複雑で、改修に伴い排水性能が低下する懸念などがあったことによるものだと思われます。

高額になる要素は十分以上にありますが、建築の大規模修繕は含まれていないようですので、設備改修だけでこの工事費は驚きです。

 

修繕積立金は300/

マンション管理に携わっていると工事費もさることながら、それを支える修繕積立金が気になります。

中古販売している住戸の販売資料から修繕積立金をみつけ、専有面積で割り戻したところ、300/㎡になりました。

広さが85㎡ほどある住戸だったことから、修繕積立金だけで月額が25,000円を超えており、その他に管理費、団地管理組合としての全体管理費、全体積立金、町会費まであり、この住戸は駐車場使用料を借りなかったとしても、月額37,000円ほど管理費等を支払うことになっていました。

単純に平均額を活用することには問題があるとは考えていますが、参考までに国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果〔概要〕」3頁、「月/戸当たりの修繕積立金の額」の平均額11,800円からすると、2倍以上の修繕積立金を毎月集めていることになります。

国土交通省資料より引用

ベル・パークシティ の駐車場は、確か自走式でしたので、それほど高額の維持はかからなかったはずです。

それでも、これだけの積立金になってしまうことにさらに驚きを感じました。

 

全ての管理組合でここまでの積立金が必要なのではありません

今回は30年目以降に多額の費用がかかるケースがあることを知っていただきたいと考え、この新聞記事を引用しましたが、全ての管理組合でここまでの工事費が必要というわけではないのです。

今回のベル・パークシティ の事例は、あくまで超高層で、一部にメゾネット住戸を含み、排水システムを変更した上に、専有部分内の枝管も交換しています。

30年超の分譲マンションでは、漏水リスクを考えれば、専有部分内の枝管も交換すべきと考えています。

そのため、区分所有者間利益の衡平性(すでにリフォームなどで交換してしまっている住戸とそうではない住戸の差など)をしっかりと考慮する必要はありますが、工事費の妥当性は別にして、マンション全体の管理運営上は必要な工事であったと考えます。

一方で、前述の通り、全てのマンションでここまで高額の工事費になるかといえば、そうではありません。

築年から考えると、このマンションの専有部分内の枝管含め、塩ビ鋼管などの鉄管が主体であったものと考えられます。

しかし、昨今の分譲マンションの配管では、部位によって耐火二層管などの塩ビ管が使用されています。

その場合は、経年によって錆びてしまう鋼管よりも長い期間(修繕周期上、40年)使用できる可能性が高いため、コストダウンが見込めます。

排水管に限らず、給水管もその材質によってその寿命が大きく変わります。

逆に、昨今のマンションでは流行りのディスポーザー設置は、浄化槽のメンテが必要だったり、排水管の寿命にどのような影響を与えるかまだまだ未知数な設備であったりすることから、メーカーなどによる目安はあれど、実績ベースで考えるとこちらは長期的な将来予測が難しい設備になります。

 

個別性と平均値をうまく使う

以前にも記事にした通り、長期修繕計画には「実際にその築年に至ったものがない材料や設備がある」という課題があり、容易に答えを出すことができない問題があります。

他方で、長期的な計画であることから、ある程度変動を許容できるのであれば、概算で良いというという側面もあります。

今回の事例でもわかるように、超高層マンションや大規模な商業施設などと共に建設された複合用途マンションでは、平均値や世間相場を使うことには大きな変動リスクがあり、その個別性に応じた調査・計画・検証が必要です。

しかし、平均的な形態(団地型や15階建て程度までの住戸専用単棟型マンションなど)・立地のマンションであれば、(公財)マンション管理センターの「 長期修繕計画作成・修繕積立金算出サービス」が役に立ちます

マンション管理センター登録管理組合であれば、1棟ごとに13,000円(税込)から、登録管理組合でなかったとしても20,000円(税込)程度で、目安となる修繕積立金の額を算出し、長期修繕計画を作成してくれます。

この算出のために必要なデータは管理組合で準備する必要があり、築年が経っているマンションほど大変ですが、修繕積立金の額の妥当性を測る上で、手がかりが全くないような状態の管理組合にとっては、とても有用なサービスではないでしょうか?

 

まとめ

長期修繕計画は、工事実績の少ない設備などの修繕・改修が必要となる築3040年目辺りが一つの分水嶺となります。

前述した通り、全てのマンションにおいて問題になるわけではありません。

しかし、修繕費が平均より掛かる掛からないにかかわらず、築年の浅い期間の積立額が少なすぎれば、結果として高経年化してからそのツケを支払わなければならなくなることに変わりはありませんのでご注意願います。