分譲マンション管理不全の兆候について

先日(2018.4.5)、管理不全マンションに関するNHKの報道について記事を書きました。

記事にも書いた通り、理解が深まって欲しい問題である一方、この問題を煽ることによって利益を得ようとする人々に悪用されたくはない問題でもあります。

業界ではかなり以前からこの問題が顕在化することが指摘されていました。

そして、昨今認知が広まり、行政も取り組み始めています。

しかし、イメージだけが先行していて、一口に「管理不全」といっても、どのような状態を表すのかについては明確な定義はなかったように思われます。

 

東京都マンションの適正管理促進に関する検討会

先月、東京都にて「マンションの適正管理促進に関する検討会」設置され、第1回の会議で、管理不全・管理不全兆候の考え方が例示されました。

【管理不全と判断する状況(例)】

<建物状況(ハード面)>

◯外壁が剥落し、隣家の通路に落下した

◯エレベーターの点検をしておらず、目的階でドアが開かない可能性がある

◯塔屋の高架水槽の劣化が激しく、水質検査もしていないため、居住者は購入した水を使用している

◯強風時に屋上に野ざらし状態のアンテナの落下が懸念される

◯外壁がツタで覆われており、ムカデが発生している

<管理運営状況(ソフト面)>

◯共用部分の電気料金の滞納が発生し、電気供給の停止通告を受けている

◯長期修繕計画がなく、不具合は各区分所有者が自己負担で、自分に関係のある箇所のみ修繕している

◯清掃が十分にされず、居住者の私物放置、たばこの吸い殻散乱、異臭発生など不衛生である

◯敷地内に不法投棄と思われる家具や家電製品等のごみ、郵便ポスト回りにチラシ等が散乱している

【定義(例)】

◯管理不全:維持・管理や修繕が適正に行われておらず、周辺にも悪影響を与えている状況

◯管理不全の兆候:維持・管理が適正に行われていない状態

【管理不全の兆候と判断する事項(例)】

次のいずれか一つ以上がない①管理組合、②管理規約、③総会開催、④管理費、⑤修繕積立金、⑥大規模修繕工事の実施

(東京都マンションポータルサイト:第1回検討会(平成30年3月29日)【資料7】制度化に向けた検討事項より引用)

 

この考え方は、相当に管理不全化が進み、スラム化直前のマンションの例にように思われますが、このようなマンションがすでに存在している、またはその直前状態のマンションが存在しているからこそ、この例示と考えます。

 

管理不全化が進む初期兆候

ただ、管理規約や修繕計画などがないマンションの多くはマンション開発黎明期・初期の管理組合であり、現在の多くのマンションにはそのまま当てはまらないため、少しイメージのピントがずれます。

そこで私見ながら、一般的な分譲マンションにおいて管理不全化する初期兆候は、給排水管の改修(更生・更新)が資金不足で難しくなってくる段階にあると考えています。

特に排水管改修で資金不足に陥りがちです。

排水管改修には、専有部内配管まで工事範囲に含めるか否かで専門家でも意見が別れる難しい問題があるのですが、そこを外して考えたとしても、一般的に3回目の建築大規模修繕時期と重なるこの時期あたりから、管理組合は資金繰りが厳しくなりがちです。

人によっては、2回目の建築大規模修繕あたりから借入を前提としないと工事実施が難しくなるケースなどを指摘されるかもしれません。

しかし、まだその辺りでは入居後25年目辺りですので、管理費の滞納なども大きく顕在化していませんし、居住者の高齢化もそれほど進んでいません。

そのため、管理不全化の最初の兆候が見えるのは、建築と設備の改修時期が重なる築40年目辺りにあると考えています。

 

まとめ

分譲マンションを購入されている方は、購入時点の年齢にプラス40歳してみてください。

平成28年度住宅市場動向調査の資料によれば、新築分譲マンション購入者の世帯主は30代の割合がもっと多い(38.1%)ですが、平均年齢は43.3歳です(平成28年度住宅市場動向調査より引用)。

一定程度の入れ替わりを想定することはできなくもありませんが、よほど中古住宅流通が変化しない限り、大半が入れ替わることを想定するのは難しい状況です。

年齢や人口構成は確定していますが、他方で管理の状態自体はまだ確定した未来ではありません。

多くの分譲マンションが供給されていることから、普通の住まい方のように感じられているかもしれませんが、日本における分譲マンションは、住宅として考えればまだまだ歴史が浅く、制度や環境が整った状況にはない、新しい住まい方であるという認識を共有できればと考えています。