所得税法について

先週末、今週末と社会人大学院で、「Income Tax Law(所得税法の)」の講義を受講しています。

所得税法は、原則、所得のある個人すべてに課税される税金であることから、ほぼすべての国民に何からの課税がある関わりが深い税金です。

そのため、皆さんも関わりのある部分に関してだけでも知っていて不思議はない税法なはずです。

しかし、現実はそうではありません。

なぜなら、「源泉徴収制度」があり、特にサラリーマンは、年末調整はあったとしても確定申告をしている方は少数だからです。

また、確定申告していたとしても、年に1度、ほぼ申告時にしか使用しない知識であることから、そこを詳しく覚えておくことはなかなか難しいという実情もあると思います。

おそらく、サラリーマンであれば、住宅に購入に関連して勉強し、住宅ローン控除などぐらい辺りから接点が生まれるのではないでしょうか?

私は4年前から所有マンションを賃貸しはじめ、個人事業者として不動産所得を申告していますので、個人的に所得税は関わりの深い税金であるといえますが、今回講義を受けるまでは、この全体像について把握できていませんでした。

もちろん、自分が申告するために必要なことや税理士法人の業務で行っている確定申告のお手伝いぐらいは理解しているつもりです。

ただ、「所得税法」という法律の全体像は分かっていませんでした。

このブログで繰り返し発信していますが、何かに取り組む際、全体像を把握しておくことはとても大切です。

まずは、やってみる、行動してみることも大切ですが、継続した事業や計画として行うことに関しては、全体像を把握しないままに大きく進んでしまっては、事業や計画の見直しが難しくなります。

今回は、所得税法と法人税という「所得」に対して課されている税金の全体像について、簡単に解説してみたいと思います。

 

租税法律主義

以前にもご紹介した通り、税金は「公的サービスへの対価」と「義務」という二つの面からのみ比較すると、いまのところ税金は最高裁判所の判例からは「義務」と考えられています。

この義務の負担の仕方が税法には規定されています。

税金は憲法に規定される租税法律主義という考え方から、新たな税金を課したり、その内容を変えたりするときは法律で定める必要があります。

したがって、所得税法などの各種税法が立法され、毎年法律を改正して、その内容を変更しています。

 

租税公平主義

ただ、法律で決めれば、どんな税金でも肯定されるのでしょうか?

もちろん、そうではないと考えられています。

これは直接関連する考え方に、憲法14条ほかに基づく「租税公平主義」というものがあり、税金は公平でなければならないとされています。

しかし、この「公平」が曲者です。

文字には書けますが。現実問題として、個人には様々な状況が想定されることから、すべてを法律で完璧に「公平」に定めることは不可能に等しいはずです。

そのため、所得税は、この税金を負担できる力(一般に「担税力」と呼ばれます)は「所得の質や量の応じて異なっている」との考え方に基づいて制度化されています。

そして、その前提から所得を10種類に分類し、その区分に応じた方法で税金を計算しています。

この10種類の区分が妥当であるかどうか、その区分の仕方が妥当であるかどうかについては、常に議論があります。

ただ、現状はこの制度・法律によって、所得税が課税されていることは間違いありません。

 

包括所得概念

次に10種類の所得区分に移りたいところですが、その前に「所得とは何か?」という前提が問題になります。

これが分からなければ、「所得」税をかけようがないわけですが、税法は「包括所得概念」と呼ばれる「新たな経済的価値(所得)」を得ることのすべてを「所得」と考えています。

そうすると、物の価値は時々刻々と変わりますので、随時その「新たな価値」が生まれている可能性があることになってしまいます。

そのため、その「経済的価値」を認識するタイミング(譲渡した時、贈与した時など)を定め、その時に税金を計算する仕組みになっています。

ただし、何にでも税金をかけているわけではなく、実際には「非課税所得」の規定があり、一部の所得(当座預金の利子、恩給、通勤交通費など)に関しては、それぞれの事情に応じて税金をかける対象から除いています。

 

所得区分

私は、ここに最も大きな違和感があります。

なぜなら、深く知れば知るほど、10種類の所得区分の妥当性には様々な疑問点や問題点が浮かぶからです。

その意味において、1つのバスケット(英語でもこのように表現するようです)しかない、法人税は、シンプルでとてもわかりやすいと感じています。

まぁ、実際にはこの営利企業における「利益」も、勉強すれば、会計制度などの度重なる変更により、深い論点がたくさんあるのですが、とりあえずここでは気にしないことにします。

ここで前段での説明に戻りますが、完璧に「公平」なシステムなど不可能にも等しい存在のはずです。

そのため、私は、税法は「不完全ながらもメンテナンスしながら形作られてきた先人の遺産」だと考えています。

一応、現状としては、「利子、配当、不動産、事業、給与、退職、山林、譲渡、一時、雑」の10種のいずれかに所得は分類され、その区分に応じた計算方法により税金が課されることになっています。

 

まとめ

消費税ほどではないものの、身近な税金のはずながら勉強してみて思いますが、所得を10種類に区分するなど、とっつきにくい税法でもあります。

しかし、毎年確定申告する以上、避けて通れるものではありませんので、しっかり勉強し、活用したいと考えます。