修繕履歴は整備されていますか?

昨日(2017.5.25)は、法定ではない書類にも管理組合にとって重要な書類や資料があることを記事にしました。

思い立つままに書いた記事であったことから、そもそも網羅性のある記事とはしていなかったのですが、よく考えてみると、もう一つ法定ではない書類で、かつ、重要であるにもかかわらず、その活用が行われていないものに、修繕履歴があると思い出しました。

 

管理に係る重要事項ではありますが

この修繕履歴、「共用部分等の修繕実施状況」という項目で、管理に係る重要事項として不動産売買における重要事項の一つですが、法律によってその履歴の保存が強制されるものではありません。

そのため、重要事項調査報告書をご覧になられた方はご存知だと思いますが、大したことは書いていません。

例えば、管理会社の業界団体である(一社)マンション管理業協会の報告書式では、工事名の実施日しか項目がなく、実施の事実はわかっても、その内容を把握できるとはいいがたい資料です。

実際、工事の完了報告書ていどは保管していますが、そのすべてをしっかりと整備し、修繕履歴として、一覧表にまで落とし込んでいる管理組合は少数派です。

 

今まではともかく今後は重要な資料の一つ

正直、今までは中古不動産にはあまり価値がありませんでした。

なぜなら、新築至上主義の社会的評価と不動産取引慣行がある上に、マンションの管理組合に情報開示のインセンティブが働くような要素がほとんどなかったからです。

加えて、修繕を実施していることよりも、毎月支払う修繕積立金が安いことの方が、ランニングコストが低いものとして、間接的に売買のしやすさにつながるという皮肉な状況もありました。

しかし、現在ではその風向きが少し変わってきました。

中古不動産市場の流通活性化を国が後押ししている上に、実際に中古マンションの取引件数は増加基調にあります。

さらに、非常に残念なことではあるのですが、修繕を実施しなかった分譲マンションがスラム化する事例増加してきたことにより、修繕を実施しないリスクが目に見えるようになってきたことも影響し始めています。

まだ社会問題化という段階にまでは至っていませんが、中古マンションのスラム化は、将来的には空き家問題と並んで大きな問題となっていくことが予想されています。

そのため、右肩上がりの人口増加が終わり、今後人口縮小の社会が訪れることがわかっている以上、中古マンションの資産価値に関して、しっかりと維持修繕を行っていることは、差別化の一つになるはずです。

 

売買だけではなく日々の維持管理にも活用できる

すでにしっかりと修繕履歴(というよりも過去の修繕データ)を活用されている管理組合もありますが、その多くは大規模マンションであり、中小の分譲マンションでは活用が進んでいません。

過去の工事見積もりがあれば、数量や単価比較なども可能ですし、工事日報などから工種別の出面が読み取れれば、マンションの修繕項目や範囲が変わらないものに関しては、必要人工を実施ベースで検証することができます。

結論、1回目の大規模修繕の資料をしっかりと残し、分析すれば、次の大規模修繕では一から積算する手間もかからなくなること等から相当なコストダウンをできる余地があるはずなのです。

 

まとめ

ところが、10数年前に実施した工事の資料がほとんど残っていないなどということは往々にしてあり、お金をドブに捨てているような残念な状況が散見されます。

分譲マンションにおける修繕工事は、実施すれば終わりではなく、そのマンションが存続する以上、必ず次の修繕工事がいずれ行われます。

資料やデータを残し、しっかりと活用できるように整備する体制づくりが管理組合には必要だと考えています。