定期借地権の課題を解決するために生み出されたスケルトン定借(つくば方式)

昨日(2017.2.8)は、マンションが永続しないことを前提とする管理組合運営について記事にしました。

ここで定期借地権に関して、定期借地権マンションにも一定の経済的合理性があり、長期的な計画としての判断であれば、その個人としての購入判断をポジティブに捉えていることを書きました。

ただ、契約期間満了時には建物を解体し、更地に戻して返還することが原則であることから、個人の経済的判断だけではなく、国レベルの視点から考えたとき、省エネや省資源、経済性など、定期借地権マンションには課題があることにも触れました。

そして、この課題については、制度的に解決する方法が研究者などのグループによって編み出されました。

それがスケルトン定借(つくば方式)と呼ばれる手法です。

この手法に関しては、コーポラティブハウスについて学んだ際に知り、興味を持ちました。

 

更地に戻す不経済を解決するための中間的手法

鉄筋コンクリートの丈夫で長持ちする優良な建物を、契約期間満了のたびに毎回壊していては確かに不経済です。

この課題を解決するために生み出されたのが、スケルトン定借です。

その手法が生み出され、第一号が建てられたのが筑波大学の隣であることから、「つくば方式」とも呼ばれています。

普及している方法ではありませんし、私はこの道の専門家でもありませんので詳細を割愛しますが、本当にシンプルにいうと、スケルトン定借は、定期借地権終了時に建物を地主に譲渡してしまい、その後は賃貸として居住できるようにする手法です。

したがって、分譲マンションと賃貸マンションの中間的存在だといえます。

この方式のメリットは、地主は、地代を受け取りながら、一定の税制上のメリットを享受でき、土地を手放さずに済み、居住者は、永続的にその建物を維持する義務から解放されます。

また、居住者は、定期借地権終了後、「賃料を払い続けられるのか?」といった問題はあるものの、希望すれば、その建物に住み続ける選択肢が残ります。

賃貸マンションとなりますから、もちろん、退去は自由です。

 

まったく普及していません

定期借地権の不経済性を解決し、優良な建物を普及させるという意味においては、確かに理想的な手法です。

ただ、机上の論理ではそうであっても、関係する各個人にとっての経済性からみると、必ずしも合理的な手法とはいえません。

地価が相当高いところでないと、地主対する経済的メリットや購入者にとっての購入費用低減効果が出ないことから、そもそもニッチなニーズに応える手法であり、メジャーな王道的手法ではありません。

そのため、この手法が開発された直後には、何棟か建てられたものの、私が知らないだけかもしれませんが、近年はさっぱり事例を聞きません。

 

地主が土地を手放さずに済む部分以外のメリットが弱い

30年から60年の定期借地権を想定して計画する手法ですが、そんな長期的未来の計画を正確に描くことはほぼ不可能です。

また、分譲に適した住戸スペースは、賃貸で貸すには大きすぎます。

皆さんご存知の通り、賃貸マンションは一部屋の区画を小さくする方が、土地面積当たりの収益が大きくなります。

そして、これだけ新築住宅がどんどん建てられ、建物が陳腐化する昨今、30年から60年前の建物に価値を見出し、それなりの借り手がつくケースは、本当にビンテージマンションと呼ばれるような特殊な建物だけです。

建築的には経済的なメリットがあっても、不動産的には普及するほどのメリットがありませんでした。

 

もし中古住宅に価値が認められるのであれば、この手法にも価値がある

この手法開発に関して、とても残念に感じるのは、建物の物理的な価値だけではなく、経済的な価値(担保価値や貸して収益を生み出す価値)へのアプローチが弱かったことです。

後世の人間が好き勝手に書いているだけですが、開発当時は、本当に画期的な手法だったと思います。

しかし、経営的な観点からみれば、技術的に優れた商品が売れず、経営が成り立たなくなることは、よくある話です。

この手法に価値が認められるとすれば、中古住宅にも金融機関から一定の担保評価が得られる場合だと考えています。

もちろん、仮に担保価値が適正に認められるようになったとしても、ただ分譲マンションを賃貸マンションに単純に転換するだけのプランでは厳しいでしょう。

ただ、工夫すれば、この手法を有効活用できる余地は十分にあると考えています(証明は難しいですが:苦笑)

 

まとめ

いずれにせよ、相当地価が高い土地でしか実現できない手法です。

また、金融機関からの借り入れできなければ、そもそも計画することすらできません。

しかし、今後中古住宅にも一定の担保価値が認められる方向なのであれば、この手法が生きる余地が出てくるかもしれないと考えています(あくまでニッチなニーズだと思いますが。。。)