2月度のマンションコミュニティ研究会に行ってきました

昨晩(2017.2.23)、先月に続きマンションコミュニティ研究会の勉強会に出席してきました。

会場の月島区民館は、まだ修繕工事中でした。

今月のテーマは、「地域ブランドづくりでマンションの価値を上げる」とのことで、まちづくりなどの仕事もされている一級建築士の花牟禮幸隆先生が講師でした。

先生からのご発表は、成果が出た事例の発表ではなく、現在、先生が取り組まれている内容のお話で、その取り組みのポイントについてご解説いただけました。

今回の花牟禮先生のお話は、先生ご自身が規模の大きい団地型のマンションにお住まいであることから、まちづくりサイドからみたマンションのお話で、建築面からみて、マンションのブランド価値を上げるためにどのような取り組みができると考えるのかがわかり、とても参考になりました。

 

「まちづくり」からマンションはかなり取り残されていると感じています

この言葉に対する明確な定義はなさそうなのですが、「まちづくり」とは、あたらに「まち(町・街)」を造るのではなく、すでにある「まち」を活性化させること(地域活性化・地域再生)を意味して使われています。

この「まちづくり」ですが、よく聞く話は、商店街の活性化や自然環境破壊に伴う保護活動などです。

しかし、その守るべき・活性化させるべき対象にマンションが含まれていることは、あまりありません。

むしろ、新しいマンションが建つことを反対される側であるように思われます。

マンションは、商店や戸建て住宅に比べれば歴史が浅いため、その枠組みに組み込まれていないことは、ある意味自然でも

あるのですが、その過程で行政のサポートからもこぼれ落ちている部分があると感じています。

なぜなら、町内会や自治会は地縁団体と行政との接点があるのですが、管理組合は、その町内会や自治会を通じてしか行政との接点を持てていないからです。

加えて、マンション開発はデベロッパーが行うため、地域の建築士などとのつながりもありません。

そのため、ニュータウン開発や大規模団地プロジェクトのような、自治会や町内会を管理組合が包摂するようなエリアでない限り、マンションが行政の網に直接かかることはまずありません。

加えて、団地型でないマンションは、個々のマンションで分断されており、横のネットワークが限りなく希薄です。

そもそも自らの持つマンションの自治にも無関心な層が多いわけですから、まさかその枠を超えて、地域で横のつながりを持つなんてイメージは全くないはずです。

これらの事情が複合して、結果として、概して「まちづくり」と呼ばれるような、地域活性化策のプログラムやプロジェクトにマンション管理組合が名をつらねることが、ほぼないという実態が生まれています。

 

資産価値を上げるにはその地域全体を活性化させるしかない

将来はともかく、現時点において不動産の価値を左右するもっとも大きな要素は、立地と築年数です。

建築的な様々な工夫や投資を行っていても、その価値が価格に反映されることは、ほぼありません。

今回の勉強会でもそのことが話題になっていました。

昨日、話題にした「既存住宅状況調査技術者講習制度」により、建築士が中古物件に対するインスペクションを行うようになります。

制度としては、建築技術面から建物価値が評価される方向に進んでいます。

ただ、仮に建築的なハード面の価値が評価されるようになったとしても、ソフト面が評価されるようになるわけではありません。

そもそも無形の価値を、価格に置き換えることには様々な課題があります。

客観的にソフト面を価格に織り込むような評価を、現在あるマンションに適用できるような形で実現することは簡単ではないでしょう。

個別のマンションの評価(資産価値)を上げることが難しいのだとすれば、地域全体のブランディング(特に人の流れを生み出す駅前の価値)を上げることが、そのエリアの不動産価値を左右すると考えられえます。

 

わかりやすいのは地元「湘南ブランド」

たまたま妻の実家があったから住んでいるだけなのですが、地域のブランディングでわかりやすいのは、現在住んでいる藤沢も属している「湘南ブランド」です。

実際にどんなブランド価値かを説明するまでもなく、首都圏の皆さんには浸透しています。

駅前にショッピングモールが開発され、周辺地価が勢い良く上がった辻堂などは、藤沢でも飛び抜けた資産価値の上昇を起こしています。

テラスモール湘南

 

個別の努力を否定しているわけではありません

マンションそれぞれの努力を否定したいわけではありませんし、他力本願になって欲しいわけでもありません。

ただ、売買価格にまで影響を与えるようなブランディングには、このレベルの付加価値が必要です。

個別のマンションの努力で、その価値が生まれるとはとても思えません。

加えて、その行為は、日本全体で考えれば人口というパイの奪いあいを行うということです。

資産価値が上昇するのは、その土地にお金を生み出す力があることが基本です。

ブログと同じく、ただ情報発信すれば見てもらえて、その価値が生まれるわけではありません。

したがって、地域ブランディングをしたいという希望があるのであれば、地域ブランドのマーケティングも必要ですし、広告戦略や営業戦略も必要でしょう。

 

そのような活動を成果に結びつけるのであれば、できるところから積み上げるプランではなく、ゴールから考えたプランが必要です。

さらにいえば、そのゴールを地域で共有するためには、地域の将来像(ビジョン)が必要です。

それがないのであれば、絵に描いた餅どころから、絵にすらならない正体不明の何かを追いかける作業になりかねません。

 

小括

資産価値を上げようとすることは、一つの理想ではありますが、マンションの建替えに似て、その実現可能性は限りなく低いと考えています。

それと同時に、この検討なしに、この理想を諦めることも難しいとも思っています。