マンション管理組合の活動は共済的事業

分譲マンションの管理組合の活動は、基本は非営利事業だと考えられ、分譲マンションを所有する区分所有者による「共済的事業」活動であるとの建て付けとされています。

その辺りの考え方は、どのような活動が税法上の収益事業(営利事業)に該当するかどうかという視点から、外部者に対する駐車場賃貸に関して、国税庁の文章回答事例において明らかにされています。

確かに、「お金を稼ぐ」という意味では、マンション管理組合は、基本、営利事業を行っていません。

そのため、あえて収益事業を行わない限り、法人税を課税されることはありません。

 

マンション管理組合の目的

まず、「共済」といえば、JA(農協)やJF(漁協)などの共同事業組合が行っている「お互いにお金を出し合い、助け合って何かをする」事業です。

具体的には、「共済金を出し合って、組合員やその家族に生じる経済的な損失を補い、生活の安定をはかる相互扶助(助け合い)の保障の仕組み」です。

保険に似ていますが、保険が保険業法を根拠法にすることに対して、共済は各協同組合法に基づいているところに違いがあり、根拠法の違いから、多少の違いがありますが、ここでは割愛します。

ここで重要なのは「お互いにお金を出し合い、助け合って何かをする事業」であり、共済「的」とされるマンション管理組合は、区分所有者(組合員)がお互いに建物を区分所有しあうことによって、共通の目的のために活動する組織であるということです。

その事業の目的は、その規約にマンション標準管理規約を採用すれば、第1条で、次の通り規定されています。

「この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。」

したがって、「良好な住環境を確保すること」が目的です。

ただし、「区分所有者の共同の利益を増進する」必要があります。

 

短期的な意味において「良好な住環境を確保する」とは?

これは一概にいえることではありませんが、少なくとも「良好な住環境を確保すること」はお金を稼ぐことではありません。

確かにその意味では管理組合の事業は、共済的ではありつつも非営利な事業です。

しかし、単純に非営利な事業ではないと考えています。

これは、永続的に住環境を守ろうとすると、その資産価値を守る必要性が出てくるからです。

短期的には、建物の適切な維持管理と経費の抑制が課題となります。

これは、日々のランニングコストを抑えることが、長期的なメンテナンスコストを積み立てていくことに直結するからです。

お金を稼ぐという意味では、収益事業を営んでいませんが、ランニングコストを抑えた上で、良好な住環境を維持できているのであれば、不動産が持つランニングコストを低減した上で、しっかりと建物を活用していることになります。

その意味で、住環境を改善しているいえると考えます。

 

長期的には資産価値の増進が必要だが容易ではない

以前にも記事にしたように、事業継続性の面から管理組合運営を考えると、管理組合には区分所有者や居住者の新陳代謝が必要となります。

良好なコミュニティを維持しながら、新しい居住者を迎えていかないと、建物が存在しても、その維持・管理を支える区分所有者が永続しないからです。

では、居住者や区分所有者の新陳代謝を進めるためには何が必要でしょうか?

これには、シンプルにいえば、建物に資産価値が必要です。

建物に資産価値がなければ、その所有に、固定資産税や管理費など維持管理費がかかる以上、マンションは資産とは名ばかりのマイナス価値の不動産となります。

経費ばかりかかって、何も生み出さないからです。

資産ではなく、むしろ、簡単に手放すことすらできない負債ともいえます。

ただ、残念なことに不動産の資産価値を上げることは容易ではありません。

先日のマンションコミュニティ研究会での勉強会は、その資産価値に対する取り組みの発表でした。

個人的には、駅前再開発のようなその土地に新たな人の流れを生み出すようなエリア的な仕掛けを起こさない限り、一建物単独の努力で、不動産の資産価値を上げることは難しいと考えています。

 

合意形成を図ることができるコミュニティが必要

この他の選択として、建物の価値を使い切る視点も記事にしています。

いずれの選択肢を選ぶにしても、何を「良好な住環境」とするのかを各管理組合の組合員で共有する必要があります。

そうでなければ、実は「共済」的事業といいながら、全くもって「共同」の利益の増進をさせていないということがありえるからです。

人によって、このゴールのビジョンが異なっていては、合意形成はできません。

この合意形成を図っていくために、マンション管理組合にはコミュニティが欠かせません。

コミュニティの形成を図っていないと、この合意形成のための調整機能を管理組合が果たすことができず、区分所有者間で権利のドッチボールが始まってしまいます。

共同事業である以上、個人の権利ばかり主張していては、共同して事業を営むことができませんし、共済「的」事業の行うことが不可能となってしまいます。

究極的には、その管理組合は機能不全に陥ってしまいます。

 

まとめ

マンション管理組合の運営は、その管理組合が持つ長期的ビジョンにもよりますが、資産価値を上げていくような視点を持つ場合、財産価値の向上狙うという意味において、共益を狙うと前提はありつつも、組合員の持つ財産価値を上げるという営利的側面を持ちえます。

そして、これらの事業を運営していく手法には、経営「的」視点が必要と考えています。