マンション管理組合もキャッシュ・フローが重要

以前にマンション管理組合には、法定の会計基準がないことについて記事にしています。

管理会社ごとにそれぞれのフォーマットを作り、会計報告を行っていますが、企業会計ほど厳密には運用されていません。

そのため、発生主義と現金主義が混在していたり、資産計上するべき長期前払費用などを一括費用計上したりしてしまうなど、時々、目に余る会計処理が散見されます。

また年度によって処理方法が違うなどといった一貫性のない処理などが見られることもあります。

このようなことを無くすためには、一定の基準を設けて処理することが大切ですが、実はそれほど神経質になる必要はないと考えています。

 

収支計算はある程度ざっくりでも問題ありません

長期性のものを一括費用計上などされると困りますが、発生主義を企業会計ほど厳密に適用する必要はないと考えています。

あまり都合よく使ってしまってはあれですが、重要性の原則もありますので、毎年経常的に発生する水道料金などを現金主義で処理してしまっているからといって、それほど大勢に影響は出ないはずです。

会計の内容を理解もせずに放置されている状況は論外ですが、収益事業を行っていない限り、納税額に影響が出るようなこともありません。

正直、そこに手間暇をかけるよりは、手をかけるべき部分が他にあると考えます。

収支計算でのポイントは、管理費会計の収支が赤字であるかどうかです。

 

重要なのは負債計上されるべきもの

管理組合の会計処理で気をつけるべきことは、負債計上されるべきものが計上されていないケースです。

具体例としては、一つリース債務が挙げられます。

防犯カメラなどで行われていますが、契約内容をよくよく確認すると、そのほとんどは、レンタルではなく、ファイナンス・リース契約です。

繰り返しになりますが、管理組合には会計基準がありませんので、リース債務を計上する義務はありません。

賃貸借処理でも何ら間違ってはいません。

しかし、債務をどれぐらい背負っているかについては、把握しておくべきではないでしょうか?

特に管理組合の場合、金銭債権を資産計上することは別として、固定資産を計上しても、それらの資産は収益を基本生みませんので、そこにはあまり意味はありません。

減価償却も対応する収益がないのですから、ほぼ無意味です。

したがって、管理組合の会計上、注意すべきは金銭債務なのです。

債務は将来の収入(管理費など)の先食いです。

将来の支出が多くなる時期に備えて積み立てるべきところを、先に借金で賄ってしまった上に、それを会計報告に載せないのであれば、会計報告はただのお小遣い帳になってしまいます。

 

さらに重要なのは資金需要管理

もう一歩踏み込んでいえば、重要なのはキャッシュ・フロー管理です。

原則、管理組合は長期的な視点でのファイナンシャルプランニングが欠かせません。

なぜなら、ファイナンシャルプラニングでいうところのライフイベント(結婚や出産、自宅購入、車購入、退職など)に代わって、修繕計画という支出プランがあるからです。

マンションの修繕計画は、人生でいうライフプランのようなものです。

建物のライフサイクルコストを平準化し、必要な時に必要なお金が手元にあるようにすることは、結果として生涯収支をプラスにします。

無計画では、必要な時に必要なお金が用意できず、借金による利息の支払いなど、結果として高くつくことになってしまいます。

もちろん、現金にゆとりのある区分所有者ばかりだというのであれば、一時金徴収することも可能ですので、何の問題もありません。

しかし、現実にはマンションの修繕でお金がかかるのは、築30年を越えるあたりからです。

入居時区分所有者の平均年齢が30代半ばだと仮定すると、修繕でお金がかかるのは60代半ば以降ということになり、ほとんどの人が年金生活に入ってしまっているはずです。

こんな時に予定外の支出が増えてしまっては、対処できないということにもなりかねません。

 

まとめ

管理組合のキャッシュ・フロー計算のポイントは、FPと同じく、単年度ではなく、30年を超える超長期計画であるということです。

そんな先のことまで考えられないとおっしゃるかもしれませんが、マンションを手放さない限り、確実に訪れる未来です。

ご自身のライフプランとマンションの修繕計画はしっかりとリンクし、マッチングしていますでしょうか?

そこがリンクしていないと、どちらも絵に描いた餅になってしまうかもしれません。