中古住宅購入視点から見た分譲マンションについて

最近、周囲で修繕積立金を値上げするという話をよく聞きます。

以前よりブログで記事にしていると通り、世の多くのマンションは適切な額の修繕積立が行われておらず、将来的に必要な修繕費用を集められなくなり、スラム化するマンションが増加することを私も懸念しています。

その意味においては、修繕積立金の値上げは歓迎すべきことです。

反面、日々の生活もあり、実際に生活する上では、あまりに高い修繕積立金は歓迎できない部分もあります。

この視点とは別に、私は現在所有しているマンションを新築ではなく、中古物件として購入しています。

体験として、後から購入する区分所有者には、すでにマンションを所有している区分所有者とは、また異なる視点があると感じています。

 

高くても安くても不安

中古マンションの購入者に限りませんが、マンションの管理費・修繕積立金の適正額はわからないはずです。

正直、私もその金額だけ聴いても適正額かどうかは判断できません。

なぜなら、マンションの管理費や修繕積立金を決めている要素は、とても複雑だからです。

もちろん、傾向はあります。

平均値も出せます。

しかし、それらは、現在の設定額がそのマンションにとっての適正額であるかどうかと確実にはリンクしていません。

既存・流通分譲マンションにおける設定に関しては、以前も記事にした通り、マンション管理新聞の調査が参考になります。

ただ、この調査においても建物の規模・構造・設備などが反映されておらず、物件個別にその妥当性を検証することができません。

したがって、適正額を正確に分析するには不十分です。

加えて、もし参考になるとしても管理費しか参考になりません。

なぜなら、世の多くの分譲マンションの修繕積立金は段階値上げ案を採用しており、その積立額が当初の設定額に過ぎず、修繕費のトータル額とはリンクしていないからです。

結論、適正に判断するためには、管理仕様と長期修繕計画の精査が必要です。

ところがその分析を行うために必要な資料は、多くの場合、中古マンション売買においては、契約の直前まで入手することは難しいのです。

これでは不安を解消できるはずがありません。

 

金額面だけではなく建物の状態確認も重要

金額だけ確認しても、その建物の状態が悪ければ、多くの修繕費が今後必要になることは明らかです。

しかし、素人の購入者では、その建築物の状態を正確に把握することは簡単ではありません。

そのため、ホームインスペクションという仕組みの導入が本格化しつつあります。

宅地建物取引業法の一部を改正する法律案

これは、売買時に主として建築物として建物状態調査を行い、安心して取引できる環境を整備しようというものです。

従来、不動産業界は、売買仲介の依頼者である開発会社や売主サイドに立った仲介を行う慣習があり、購入者保護観点の制度は、瑕疵担保責任やアフターサービス規準ぐらいしかありませんでした。

ところが、これらの保証は新築住宅に偏っており、既存物件への適用は極めて限定的でした。

今まで通りの新築重視の不動産市場形成であれば、変革の必要はありませんが、今後のストック重視の市場へとシフトさせていていくのであれば、この制度は必須です。

しかし、この制度もこれからの制度であり、まだ周知も十分ではありませんし、円滑な運営が行われるようになるまでには少なくない時間が必要と考えています。

 

ハード・ソフト両面から見たトータルとしてのリスク判断が必要

実は、ハード面(インスペクション)だけではなく、ソフト(管理)面においても、現状を改善するための制度改革が進んでいます。

今回の標準管理規約の改正とともに、管理会社との契約の標準であるマンション標準委託契約書の改正にもその制度改革がもりこまれています。

 

この改正は、主として、情報開示が進んでいなかった管理組合に対して、情報開示を促す改正です。

改正案の主なポイント

既存の管理組合では、今までその情報開示がほとんど進んでいませんでした。

さらにいえば、資産価値への影響を懸念し、都合の悪いことは開示したくないという姿勢も見られます。

しかし、ハード・ソフト両面の情報がなければ、その購入リスクを適正に判断することは難しくなります。

購入者から見れば、購入のハードルは高くなり、中古マンション購入に対する明確なディスインセンティブなります。

結果として、マンションが売りにくくなり、巡り巡って、現所有者に不利益を与えていると考えます。

 

まとめ

分譲マンションの売買についても、市場化が着々と進められています。

従来は、都合の悪いことを隠しておくことには一定のメリットがあったかもしれません。

ただ、今後はそのような方向ではなくなる可能性があります。

市場価値を高めるとまでいうと大げさな気がしていますが、情報非開示によるデメリットがメリットを上回る時代が到来しつつあるとは考えています。