永続を前提としない分譲マンションをどのように考えるか?

昨日(2017.2.7)は、マンション管理組合を永続させる前提で事業継続性という視点から、コミュニティの必要性について記事にしました。

長文な上に、専門用語も満載の記事としたことから、予想通りほとんど読まれませんでしたが、書きたいと思ったことが書けるのがブログの良いところです。

熱く主張したいということでもないのですが、今後問題になると考えられることに関して、現在のまとめとして書いておきたい内容でした。

ただ、まだ書き足りないことがいくつかありましたので、今日は逆パターンの永続を前提としない分譲マンションをどう考えるのかという切り口から書いてみたいと思います。

 

まずは「ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)」について

昨日の記事でいきなり書いてしまった会計上の専門用語「ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)」とは、企業が永続することを前提に、毎年期間を区切って損益を計算し、会計報告を作成していることを意味しています。

企業が継続継続すると考えているからこそ、期間(通常1年)を区切って、会計報告(企業の成績報告)をしているわけです。

しかし、その前提が崩れる(「倒産しそう!」などという危機的状況になる)と、そこには「注意書き」が書かれることになります。

もちろん、企業にお金を出している人(投資家)やお金を貸している人(金融機関)からすれば、通常、企業が永続すること前提にお金を出しているのですから、そんな事態になっては困ります。

そして、企業の経営を任されている役員からすれば、そんな注意書きをされては、投資家などからの評価は最悪です。

そんな事態に陥らないように経営者は経営を行っているはずです。

 

分譲マンションは継続企業か?

株式会社など企業は、基本、継続企業を前提としていますが、分譲マンションは継続企業なのでしょうか?

短期的(数年から10数年レベル)にみれば、継続企業を前提としてもいいように思えます。

しかし、長期的に考えると、異なる考え方もあるのではないかと思っています。

それは、分譲マンションの管理組合は、資金を出資して株を持つことにより株主となって、投資のリターンを得ようとする株式会社とは異なり、マンションという「建物」をある種の出資資本として管理組合を構成する組織だからです。

資金や株式は、朽ちたりすることになく、権利として永続的に保持し続けることが可能ですが、分譲マンションという「建物」は、そうではありません。

土地に関しては、朽ちることや消費することはないといえますが、建物や設備などに関しては、減価償却という制度があるように、その価値は時間とともに減価し、将来的に価値がなくなることを前提とする資産です。

価値がなくなってしまうことが前提の資産を資本として組織が結成されていますので、追加の出資や付加価値を生み出さなければ、時間の経過とともに物理的には劣化し、経済的には陳腐化するため、元の価値を維持することができません。

また管理組合は、基本的には営利組織ではありませんので、所有にプライスレスな価値を生み出すことはあるとは考えますが、原則的には、組織を維持するための資金を稼ぎ出しません。

所有者が入れ替わらない限り、その価値を維持するためには、所有者自身が管理費・修繕積立金などとして、管理組合の維持費を支出しつづけることが必要となります。

そして、高齢化が進むにしたがって、所有者自身の収入獲得機会が減ることが一般的であることから、その維持費用を出し続けることが難しくなります。

そのため、管理組合を継続企業と考えるためには、その維持費を負担できる所有者が常に入れ替わる組織である必要があると考えます。

 

「清算企業の前提」という考え方もある

管理組合を継続企業として維持していくことは、相当ハードルが高そうです。

もし、仮に継続企業の前提に立って考えることができないとすれば、逆の前提をおいて組織運営を組み立てるべきだと考えます。

具体的には、企業が永続するという前提に立つ継続企業の前提とは逆に、企業は永続せず、一定期間のみしか存続しないという前提に立って会計報告を行う「清算企業の前提」という考え方もあります。

分譲マンションの管理組合においては、特に定期借地権マンションの管理組合が、この考え方にそって組織運営されるべきではないかと考えています。

 

定期借地権マンションの管理組合

通常の土地賃借権(土地をかりる権利)は、借りている人の権利が強すぎて、なかなか返還されません。

そこで、期間をあらかじめ区切って、定めた期間でかならず返却されるようにする契約が「定期借地権契約」です。

メジャーな分譲方式ではありませんが、税制上もある程度の優遇があり、土地を手放したくない地主さんが不動産デベロッパーからの提案を受けて、この方式が採用されることがあります。

返還の際には、一部の例外的なケースを除き、建物を取り壊して更地で変換する契約が原則ですので、この場合、そのマンションはその期間で清算されることが前提となっているといえます。

さらに、もう一歩踏み込んでいえば、将来、必ず更地に戻して返却されることを担保するために、分譲時に解体費用を見込んだ保証金を預けさせたり、返還時に建物がまだ使用できる状態であれば、無償譲渡を条件として更地にせずに返還を認める契約もあったりしますが、いずれのパターンにせよ、期限がくればマンション購入者の所有権はなくなってしまいます。

 

原則は「使い切る」ことが前提となります

定期借地権の残存期間を評価して、売買されることもありますが、期限が迫れば、それだけ使える期間が短くなるため、不動産としての価値は限りなく低く評価されてしまいます。

元々土地の所有権を持っていないこともあり、分譲時からその価値分低い価額で取引されますので、使用期限があることに問題がなければ、これはこれでとても合理的な契約です。

使い終わりが見えている建物ですから、永続的にメンテナンスする必要はありません。

もちろん、期間終了まで普通に使える程度にはメンテナンスする必要はあります。

しかし、その目標値は、通常の分譲マンションと比べれば、かなり低く設定することが可能です。

仮に30年と年限を区切れば、トラブルがない限り、大規模修繕工事は15年目ぐらいに一度行えば、十分でしょう。

エレベーターも更新する必要はありませんし、給排水設備も更新する必要はありません。

ただし、最後更地にして返還するのであれば、建物解体費用を見込む必要はあります。

資源の有効活用からみれば、とても不合理なのですが、それ以外に関していえば、多額の費用をかけてまで修繕する必要はありませんので、それを支える出資者(区分所有者)視点からみると、かなりの経済合理性がある選択肢になりえます。

 

まとめ

現在の建物評価手法は、償却期間の短さと、修繕などにより実際の使用価値が上がったとしても一律に築年数で評価される部分などから、特に中古不動産に関して、適正な資産評価ができているとはいえないと感じています。

しかし、日本経済はこの評価システムを前提に全てが回っています。

いままさにこのシステムを変えようという動きもありますが、今日・明日にこのシステムが抜本から変わるわけではありません。

そのため、万人に通用する話ではないとは考えますが、一定期間しか使用できないことを前提とした不動産売買にも十分な経済的合理性があると考えています。