A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理

「管理業務主任者証の交付に係る講習」

昨日は、業界資格である「管理業務主任者」について記事投稿しましたが、今日は予告通り、更新の際に必ず必要となる「管理業務主任者証の交付に係る講習」について、まとめてみたいと思います。

私は、先月9月24日に東京会場である「科学技術館 サイエンスホール」で行なわれました講習会(という名のDVD上映会)に出席してきました。

朝9時半から夕方17時までのほぼ1日がかりの講習で、思っていたよりも疲れました。

当日に行われた講習内容は次の通りです。

 

 

 

第1限目 マンション管理適正化法その他関係法令

一方的な講習とならないよう講師の方もできるだけ新規論点や実務に関わることを話す努力をされていましたが、おおむね適正化法の復習でした。

特に目新しい物はなかったように思いますが、今年の4月から管理業務主任者証に記載されていた本人住所の記載がなくなったことが改正論点として挙がっていました。

マンション管理業はほぼ個人でやれるようなものではありませんので、法人で行う業務に対して、住所登録はしても重要事項説明するお客様に必ず本人住所まで提示して説明をする必要があるのか疑問でしたが、個人情報保護の観点から記載項目から削除されたようです。

 

Training text precedent

 

第2限目 管理事務の委託契約及び管理組合の機関と運営等に係る紛争事例

こちらは逆に学びの多い講習論点でした。

最近の判例でマンション管理について特に管理会社にかかわるものを抜粋して事例解説を受ける講習だったのですが、とても有用な知識のブラッシュアップとなりました。

ただ、このような講習などを通じて管理会社の担当者もどんどん学びを深めて行きます。

それで管理の質が上がっていくだけであれば問題はないのですが、知識差を利用した業界主導の横暴がまかり通るようでは、つまらないですので、情報共有として、私も参考となったと感じた判例につき、次に挙げておきます。

 

管理組合は、消費者契約法に定める「消費者」に該当せず、当然に適用はない。

改めて、判例により明確化した論点だと思います。
管理組合は小さくとも法人とみなされる組織ですので、このような適用関係となります。

 

理事長の横領により、管理会社にも責任があるとされた事例について(東京地裁:平成17年9月15日判決)

適正化法前の契約書に基づく判例のため、現在の管理会社に一概に適用できない判例ですが、通帳の保管に関しては管理規約の定めにより、まず会計担当理事のその責務があるとされ、もちろん管理会社に善管注意義務違反があるとしつつも、損害額の6割について管理組合の責任とされていました。

 

管理会社は、管理組合と電力会社間の新たな電気供給契約締結にあたり、電気料金が適切になるように助言する注意義務があるか(東京地裁:平成22年11月9日判決)

結論、管理会社に責任はないとの判決となっています。
配布テキストには詳細が記されていませんでしたが、600kw契約電力が、見直しにより266kwへと下り、半分以下になったのだから、元の契約容量は過大な契約で不当との訴えだったようです。

 

台風による機械式駐車場の浸水事故により廃車せざるを得ない被害を受けた区分所有者が、管理会社に損害請求した事例(東京地裁:平成25年2月28日判決)

この事例は、通常は天災等による免責事項にかかり、管理会社は免責されるとの結論になるかと思うのですが、この事例では、被災事例は過去に何度があったレベルの降雨であり、天災とはまでいえない旨を証明した上で、警備会社の来館が遅かった件につき、責任があったことが認定された事例です。
区分所有者本人の過失割合が1割と軽度の過失のみが認定され、管理会社9割の過失認定でした。
この事例での学びは、駐車場事故は免責との先入観を排して、個別事例に当たらないと、可能性を見落とすことがあることです。

 

Training text accounting

 

第3限目 管理組合の会計の収入及び支出の調停

5年前に行われた適正化法の改正論点など主体に講義が行われましたが、特に目新しい論点はありませんでした。

 

Training text

 

第4限目 マンションの建物及び附属設備の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整

前半は、建物の維持保全で、後半は、長期修繕計画と大規模修繕についてでした。
講義時間はもっとも長かったのですが、こちらも特に目新しい論点はなく、近年のマンションの傾向等について補足されるのみの過去の知識の再確認となりました。

 

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まとめ

事前に配布された非接触型ICカードの「受講票」を講義時間の節目ごとにカードリーダーにかざして出欠確認を取る講習となっており、民間資格であったころからの流れを知る私としては、昔のゆるい感じの講習から随分と様変わりしつつあると感じました。

また、講習内容も改正論点だけではなく、最近の判例も含めた事例解説があり、管理会社の担当者もやる気があれば、レベルアップができるような環境が整備されつつあるようです。

マンション管理を取り巻く環境は、日本経済の変化に歩みをあわせて、厳しさを増していると考えています。

(私が暗く考えすぎているだけで、日本経済が持ち直し、さらに大発展を遂げるかもしれませんが)

 

しかし、直近には現在の流れが変わる兆候はみられません。

私個人の力は微々たるもので直接この世の中の何を動かすようなことはないと思います。

ただ、この環境下の中、ただ危機感を煽るだけではなく、具体的な施作としてマンション管理にかかわる方々に有意な価値提供ができるようになる必要があるとも感じています。

業界内部にもそのように感じて方はいらっしゃると思うのですが、管理会社の合併を利用したスケールメリットによる規模の経済や大量生産的な画一的なサービス提供などの従来の発想では、現状を打破していくことは難しいと考えています。

模索中ではありますが、現在取り組んでいる活動が自分自身の幅を広げ、より有意なものを届けられるようになれればと考え、これからもこのブログでの情報発信を含め取り組んでいきたいと思います。