そもそも食べていけるのか?マンション管理士の報酬と対価について

昨日(2016.1.25)の記事をもう少し掘り下げたくなったことから、視点を変えて、本日は我々コンサルタントの立場から報酬と対価について、現在感じていることを書いてみたいと思います。

 

そもそも食べていけるのか?

「国家資格の中で最も食えない士業」とも言われる名称独占業務でしかないマンション管理士。

「マンション管理士」とは?

 

管理会社にいた頃は、この資格で生計を成り立たせられるイメージは全くありませんでした。

しかし、現実には起業してしまっています(笑)

これは別にすごい使命感があるとか、食べていける目算が立ったからとかそういうことではありません。

メインとして「税理士登録」を目指すという目標がある中、「不足している所得を補うこと」と「所得の分散化」を狙って始めました。

 

私がこの分野で独立したのは、「私にとっては」との限定をつけて、事業として最も成功確率が高いと考えたことと、管理業界に入り、諸先輩方から教えていただき、身につけた知識やスキルを活かし、次に伝えたいと考えていたことによるものです。

そのため、この資格で、すぐに生計を成り立たせられるほどの収入となるイメージはありません。

ただし、現時点では、長期的な視点から見れば、マンション管理士としての事業で食べていける可能性もあると考えています。

 

ただし、マンション管理士の資格だけでは食べていけない

もちろん、資格だけでは食べていけません。

10%に満たない合格率であったとしても、マンション管理士の資格合格では、実務に必要なスキルが全く身につきません。

せいぜい「マンション管理士として必要な基礎知識を知っている」レベルに過ぎないからです。

多少法令に関する知識があっても、契約実務、建築・設備などに関する知識やスキル、会計に関する知識等々、不足する知識やスキルは相当あります。

加えて、私自身にとってもまだまだ課題ですが、管理組合運営における各種会議での「ファシリテーション能力」が必要です。

理解してもらい、意識を変えてもらうことが必要なこともあるため、集団での議論に対する論点整理や、出席者から意見を引き出せるような進行補助、ユーモアも交えての雰囲気作りなど、プレゼンテーション能力に近いこの「伝えるための力」は、現実的な知識やスキルが二の次になってしまうほど重要です。

ここでのポイントは、当然のことではありますが、リーダーシップ能力ではないことです。

セカンドオピニオンとしてのアドバイスは重要ですが、管理組合が主体でなければ、管理会社「お任せ」状態となんら変わりがないからです。

 

問題点はその不安定性と投資回収期間の長さ

はっきりと言えるのは、管理組合が外部者であるコンサルタントを導入するには、時間がかかると言うことです。

そして、それは「マンション管理士」という事業投資に対する回収期間を必然的に長くします。

さらに、長期間かかってようやく契約にこぎつけても、費用をなるべく削減したいと考えている管理組合からは、かなりの確率で値切られます。

 

現実、首都圏におけるマンション管理士の成果報酬額は、資格創設当初に聴いていた話からどんどん下がっています。

それにもかかわらず、マンション管理士としてやっていくために身につけなければいけない知識やスキルレベルは高まる一方です。

しかも、管理見直しや大規模修繕工事などのスポット業務から、長期的な顧問契約に必ず移行できるわけでもありません。

これでは、新規参入して、生計を成り立たせることは大変難しいとしか言えません。

 

このため、多くのマンション管理士は「一級建築士」「行政書士」などといった別の国家資格による収入機会の複数化を行っています。

実際、国土交通省の平成25年度アンケート結果を見ても、管理組合が行っている専門家の活用では、「一級建築士(24.4%)」が最も多く、次いで「弁護士(18.7%)」、そして3番目に「マンション管理士(16.4%)」となっています。

 

どのように仕事を取るのか、マーケティングが疎かにされやすい

マンション管理士に限らないことですが、良い「商品」や「サービス」を作ることに注力はしても、それを「どのように売っていくのか?」のイメージまで具体化できている人は少ないように思われます。

これは、販売計画や事業計画をしっかり作らない方も同様です。

 

タスク管理と同様に、事業に対する見通しを「今日」や「今」の行動に落とし込むため、とても重要だと考えています。

販売においてこれを実現するための具体的な処方箋は「マーケティング」です。

私も起業したてであり、特別に得意というわけではありませんが、「これなしに事業を語ることは夢語りに等しい」と考えています。

「商品」や「サービス」は、お客様に届いてこそ、初めて価値が生まれます。

存在しているだけでは不十分なのです。

これだけ言っておいて、私が失敗すれば、お恥ずかしい限りですが、私にとっての方法論が間違っていただけで、「マーケティング」が起業家にとって重要であることは間違いないと思っています。

 

しかも現在、ただでさえ、難しい「マンション管理士」の事業化に関して、玉石混交の中、首都圏では、「マーケティング」がない事業者が事業存続のため、ダンピングを始めているようにも感じています。

流入もそれほど多い業界ではないので、それほど危機的な状態ではないかもしれませんが、先行きが少し心配です。

 

このような状況だけれども、必要とされるものでもある

このような厳しい状況にあると考えてはいますが、一方で、マンション管理業界主導の世界でもあることから、セカンドオピニオンとしてのマンション管理士が必要とされる場合は必ずあるとも考えています。

管理費削減に限らず、修繕、防犯、防災など管理組合が集合住宅を維持・管理していく上で、対処すべき課題は多々あります。

管理会社がこれらに適切に対応していれば、我々は不要です。

しかし、業界の現状からすれば、管理組合に対して必要なスキルを身につけたマンション管理士は不足していると考えています。

『忍び寄るブラックマンション危機とその回避法』を読了しました!

地域で管理士会に登録しているマンション管理士の数を、供給されているマンションの棟数(団地は少ないと仮定)で割ってみれば、ご理解いただけると思いますが、すべてのマンションで必要されるわけではないとしても、確率論から言って、まだまだ不足していると言えると思っています。

 

まとめ

現状、十分以上の「ニーズ」はあるものの、「事業化」に難しさがあり、十分な知識とスキルを持ったマンション管理士は不足しています。

そのため、現時点での結論としては、「食べていける可能性のある資格」であり、「食えない資格」とは思っていません。

結局のところ、「回収期間の長さをどのように補い、長期的な投資として事業化していくのか」が課題です。

私は、「税理士登録」と「不動産賃貸業」を複合化する「所得の分散化」で対応しています。

活躍できるマンション管理士養成塾』でお世話になっている馬渕裕嘉志先生は、住宅関連のコンサルティングから軸を移され、現在では専業化されています。

株式会社シーアイピーの須藤社長は、「一級建築士」です。

他にもユニークな方法でこの課題をクリアされているマンション管理士の先輩がいらっしゃいます。

この資格で独立を目指される方は、自分にとってどのような工夫が最も有効であるかをよくご検討された上で、起業されることをお勧めします。