マンション管理組合への課税が訴訟となっています

私の社会人大学院での研究テーマ、人格のない社団等に含まれるマンション管理組合ですが、その課税に関して、ついに訴訟になりました。

その件について、私が購読しているマンション管理新聞(第1018号、2016年10月5日)で、記事になっていました。

 

収益事業を行っている場合に限り税金がかかる

この件は、以前にも記事にしていますが、マンション管理組合は、法人税法の規定にある34業種の事業を行った場合にのみ、税金を納める義務があり、逆にいえば、これらの収益事業を行っていない管理組合には、法人税がかかりません。

この訴訟となっている管理組合は、マンションの屋上に設置された携帯基地局による賃料収入があり、その収入に対する管理組合への課税に対して、訴訟を起こしています。

 

通達があります

まず、この件にはしては、国税庁ホームページにある質疑応答事例に、管理組合に法人税が課税されることが明確に記載されています。

一応、断っておくと、よくいわれることでもありますが、通達は法律ではありません。

通達は、国税庁が税務職員に対して出した命令です。

税務職員はその命令にしたがう必要がありますが、法律ではないため、国民に対する直接の拘束力はありません。

しかし、実務上は、通達通りの法令解釈と運用が行われるのが通例ですから、間接的には、とても大きな拘束力があります。

法律ではなくとも、実務においては限りなく法律に近いものです。

 

管理組合は共用部分を所有していない

マンション管理新聞の記事によれば、管理組合が共用部分の所有者でないことを主張して、訴訟に及んだようです。

確かに、マンション自体の所有者は、専有部分、共用部分ともに、区分所有者です。

ひるがえって、管理組合は、共用部分を管理するための団体ではありますが、共用部分自体を直接所有しているわけではありません。

また、マンション共用部分は、「区分所有者全員の共有に属する(区分所有法第11条1項)」とされていることから、この収益は共有物からの収入とはいえます。

ただし、この区分所有法における「共有」は、詳しいところは割愛しますが、民法の「共有」とは違う取り扱いがされています。

いずれにもして、この収入を得るために利用されているマンションの共用部分の所有者は、区分所有者であって、管理組合ではありません。

この訴えを起こした管理組合は、単純化していえば、所有していないものからの収入が管理組合の収入として課税されるのはおかしいと主張しているのです。

この論点は、まさに私も修士論文に書こうと思っていたことなので、その通りだと考えますが、課税処分が取り消されるほどの理由といえるかは、全くわかりません。

 

裁決事例もあります

この件に関しては、裁決事例もあります。

裁決とは、裁判所による判決ではなく、国税不服審判所が行う審査請求に対するものです。

今年の4月に手続きが改正されたばかりですが、審判所のパンフレットで、次のようにその流れが図解されています。

不服審判の流れ

国税不服審判所には、裁判に至る前段階として、処分に不服があるときには、このような流れで審査請求することができます。

この審判で先例となるような裁決があった場合には、公表されており、その中の一つに管理組合に対する携帯基地局収入に対する課税処分に関する事例があります。

ここでの結論は、管理組合に対する課税処分は適法とされています。

 

まとめ

詳細は、簡単にはまとめきれないため、少しずつ書いていきたいと思っています。

ただ、私の研究テーマでもあり、複雑な論点も絡むため、今日は紹介のみとしましたが、このように訴訟が起こる程度には、この論点には課題があると考えています。