分譲マンションの管理組合と法人税について
以前の記事で少し触れましたが、修士論文のテーマは「マンション管理組合(人格ない社団等)」に決めました。
現在、その修士論文の大まかなアウトラインを考えています。
また、こちらも以前に「法人格」というアプローチから記事化していますが、収益事業を行っている管理組合は法人税がかかります。
今回は、法人税法上、分譲マンションの管理組合がどのように取り扱われているかについて、もう少し掘り下げて書きたいと思います。
みなし法人
分譲マンションの管理組合は自ら法人化する手続きを取らない限り、法人ではありません。
しかし、以前の記事の通り、法人税法第3条の規定により、「人格のない社団等」に該当した場合には、法人とみなして、法人税法の規定が適用されることになります。
なお、法律上で使われる「みなす」は、本来は違うものを、その法律では同一のものとして取り扱うことを意味しています。
したがって、「人格のない社団等」は法人ではないけれど、法人税法では「法人」として取り扱われることになります。
(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
ここにいう、「人格のない社団等」は、法人税法基本通達1-1-3で、次のように規定されています。
(人格のない社団等についての代表者又は管理人の定め)
1-1-3 法人でない社団又は財団について代表者又は管理人の定めがあるとは、当該社団又は財団の定款、寄附行為、規約等によって代表者又は管理人が定められている場合のほか、当該社団又は財団の業務に係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理する等の業務を主宰する者が事実上あることをいうものとする。したがって、法人でない社団又は財団で収益事業を行うものには、代表者又は管理人の定めのないものは通常あり得ないことに留意する。(昭56年直法2-16「二」、「六」により改正)
納税義務者に該当
次のステップとして、法人税法第4条1項の規定により、人格のない社団等は収益事業を行う場合に限って、該当することになっています。
第四条 内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合、法人課税信託の引受けを行う場合又は第八十四条第一項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う場合に限る。
収益事業
収益事業とは、法人税法第2条1項13号に次のように定義されています。
十三 収益事業 販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。
そして、政令で定める事業とは、法人税法施行令第5条で、34事業が規定されています。
管理組合においては、不動産貸付業(携帯基地局収入)、駐車場業(駐車場の外部賃貸収入)辺りが、収益事業の典型例となります。
駐車場収入に関して
これも以前に別の切り口からブログ記事にしていますが、マンション管理組合が区分所有者や居住者以外の第三者に、区分所有者と変わらない条件で駐車場を貸し出した場合などには、収益事業に該当します。
もし、収益事業に該当するかどうか微妙な事業を行っている場合には、できれば管理組合の申告をしたことがある税理士さんにご相談されることをお勧めします。
中まとめ
公益法人関連税制の解説までしたかったのですが、以前のおさらい部分だけで結構なボリュームとなってしまいました。
今日はここまでとし、また日を改めて、続きを書きます。