A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理

「マンション標準管理委託契約書」の改正(案)についてパブリックコメントが募集されています

先日より、マンション管理新聞やマンション管理士会の研究会でも記事・話題になっていたのですが、国土交通省から出されています「マンション標準管理委託契約書」及び「マンション標準管理委託契約書コメント」の改正案について、先月からパブリックコメント募集が行われています。

応募締切は5月31日となっていますので、ご意見ある方はまだ間に合います。

 

マンション標準管理委託契約書

独自の契約書を作成している一部の管理会社を除き、国土交通省から出されているこの契約書は、業界のデファクトスタンダードです。

あくまで「標準」であることから、個々の具体例に当てはめるといろいろ適合しない部分などもあるのですが、この契約書ベースに入札なども行われますので、この契約書を無視して実務を考えることはできません。

以前に集中連載的に書いたフロント業務に関する記事も、この契約書をベースに解説しています。

先日、管理組合サイドの標準である「マンション標準管理規約」が改正されたことに併せ、この契約書の改正案についてもパブリックコメントが募集されている状況です。

 

改正の内容

別表なども併せて改正されていますが、そのポイントは一点に絞られています。

「第14条 管理規約の提供等」に関連する部分です。

今までは管理規約の他、次の各号に掲げる事項を書面で開示することしか契約書には明記されていませんでした。

一 当該組合員の負担に係る管理費及び修繕積立金等の月額並びに滞納があるときはその金額
二 甲の修繕積立金積立総額並びに管理費及び修繕積立金等に滞納があるときはその金額
三 本マンション(専有部分を除く。)の修繕の実施状況
四 本マンションの石綿使用調査結果の記録の有無とその内容
五 本マンションの耐震診断の記録の有無とその内容(当該マンションが昭和56年6月1日以降 に新築の工事に着手した場合を除く。)

詳しくはリンク先のパブリックコメントのページからご確認頂ければと思いますが、改正案では、この情報開示の範囲が大きく拡大されています。

 

狙いは流通市場の活性化

この改正は、住生活基本法に基づき、3月に閣議決定されました『新たな「住生活基本計画(全国計画)」(計画期間:平成28年度~平成37年度)』のポイント2にある「住宅ストック活用型市場への転換」を狙う施策の一環だと考えています。

各分譲マンションの情報は、今まで積極的には開示されてきませんでした。

そのため、簡単には情報が手に入らなかったのです。

これでは、適正に比較することができません。

また、土地はともかく建物に関する評価もろくに行われてきませんでした。

築年数で一律に評価され、状態を適正にチェック・比較する方法もありませんでした。

しかし、近年は住宅インスペクションなどが導入され、この部分も少しずつ改善されつつあります。

これらに加え、分譲マンションには「管理」があります。

今回の改正は、この「管理」に関して必要な情報開示を促しています。

 

まとめ

現状、良い管理をしているとしても、その評価が価格に反映される事例は、超特殊例です。

しかし、今回のような法整備や市場が整えば、この現状が変わる可能性は十分にあります。

現段階では理想論に過ぎませんが、情報開示が進むことにより、適正な管理を行っている管理組合が評価される市場になって欲しいと願っています。