A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理

機械式駐車場における安全対策について

人身事故や重大事故が重なったことから、平成26年には国土交通省より『機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン(平成26年10月改訂版)』が公表されました。

その時は、かなり世間を騒がせたことから、管理会社を通じてマンション管理組合にも相当の注意喚起がなされたはずです。

しかし、時間が経つにしたがって、その意識が薄れているように感じています。

 

マンション駐車場での事故発生率がもっとも高い

事故例

国土交通省の資料によれば、平成19年以降、機械式駐車装置における死亡・重傷事故は少なくとも 32 件(平成 28 年 6 月末現在)発生しており、そのうち死亡事故は 12 件となっています。

そして、その発生場所の実に半数以上の55%がマンションの駐車場なのです。

また、これら事故の主な発生状況としては、「装置内に人がいないことの確認が不十分なまま装置を 動かしたために起きたと思われる事故」が最も多く 10 件で、次いで、「子どもの予期せぬ行動など により危険源に接触したために起きたと思われる事故」が9件となっています。

なお、誤解がないように申し添えますが、機械式駐車場は全国に301万台も設置されていることから、平成19年から平成28年までの約10年間で32件ということは、決して事故が多いというわけではないとも思っています。

しかし、一度事故が起こってしまうと痛ましい事故につながりやすいとも考えていることから、注意が必要と考えています。

 

対策の多くは製造業者や設置者に対するものですが

機械式駐車場は、工業製品ですから、まず第一には製造物責任など製造業者や設置者がその安全対策への責任を担っています。

ただし、そうであるからといって、その全ての責任を製造業者や設置者が担っているわけではありません。

エレベーターのように、利用者サイドでは安全対策が難しいものは別ですが、機械式駐車場の場合は、その管理者(管理組合≒理事長)や利用者にも一定の利用上の配慮が求められています。

具体的には、これも国土交通省からの資料ですが、『機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドラインの手引き(平成28年)』が公表されており、この資料の「管理者の取組」や「利用者の取組」が参考になります。

 

ずっと気を張っていることは難しいものですが

機械式駐車場は、呼び出しに時間がかかり、毎日利用される方などからすれば、その操作や待ち時間が快適ではないことはよくわかります。

皆さんあの手この手で、この呼び出し待ち時間を短縮しようと頑張られることから、過去にはそれに起因するいくつかのトラブルや故障対応をしました。

手を抜くところまでは気持ちはわかりますが、安全への配慮だけは抜かりなく行ってください。

万が一が起こると本当に大変なことになります。

特にあちこちで散見されるのは、押しボタン昇降式の機械式駐車場に設置されている全面チェーンの不使用です。

毎回プラチェーンを付け外しすることが面倒な上に、その程度の対策にどの程度効果があるのか疑問視されることもわかります。

しかし、そのチェーンはかけておけば、子供の機械式駐車場内への侵入に心理的抵抗を与えます。

そして、前段の死亡事故12件のうち、子供の死亡事故が3件含まれているのです。

 

まとめ

当初から安全対策が施されている機械式駐車場はともかく、フェンスを設置するなど後から多額の費用をかけて安全対策は難しいと思います。

ただ、費用をかけてまで対策しない、もしくはできない場合には、利用者の心がけが非常に重要になりますので、ご留意願います。