管理組合と個人情報保護法の改正
ちょうど大学院の講義内容が該当していることもあり、ここで取り上げておきたいと思います。
昨年9月に「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」の改正が行われました。
この時、同じく個人情報に関連する法令として、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」も改正されています。
マイナンバー法に関しては、この改正以降年明けにかけて、税理士業界などを始め、かなり世間を賑わせていましたが、個人情報保護法の改正は、かなり大きな問題だと思われる割には、専門にデータを扱う人を除き、世間の話題というには少し弱い感じがします。
そもそも個人情報保護法の改正に関しては、改正はされていても、一部を除いて、原則の施行は改正後2年以内の政令で定める日となっており、実はまだほとんどが施行されていません。
しかし、管理組合も該当する小規模事業者にとっては、大きな影響がある改正でした。
管理組合における個人情報保護法
まず、制定当時から管理組合も個人情報取扱事業者としてこの法律の対象になる可能性があるとの話があり、業界としては少し話題となっていました。
ただ、結果としては、多くの管理組合が、適用除外要件(5,000人以下の取扱い)に該当し、個人情報取扱事業者としての規制を受けませんでした。
なお、管理組合から業務委託を受ける管理会社は、そのほとんどが適用対象となったことから、主として管理会社がその対応を行っている状況にあります。
マンション管理業界としては、国土交通省よりガイドラインが出されており、マンション管理業界としてもガイドラインを策定しています。
改正による影響
今回の改正は多岐に渡りますが、管理組合に対して最も大きな影響があるのは、適用除外要件がなくなったことです。
施行されれば、基本、すべての管理組合にこの法律が適用されます。
次に、自主管理のマンションは除かれますが、多くの管理組合は管理会社にその管理を委託していることになります。
この場合、管理組合は委託先への監督義務も負います。
マンション管理組合を対象とした改正に関する詳細資料はまだ見たことがありませんが、経済産業省が中小企業を対象とした改正に関する次の資料を公開しており、一つの参考になると思われます。
過剰反応をしてはいけない
法律の改正に伴うガイドラインの改正や制定は、この法律を所管する個人情報保護員会より、この秋以降に出される予定となっており、現段階ではその詳細は不明です。
しかし、この法律制定当時にもあったような、法令の改正に過剰に反応する必要はありません。
この改正の詳細などはガイドラインが出た段階などで、ブログ上で情報提供する予定ですが、この法律の目的は、「個人情報の有用性」に配慮しながら、「個人情報の権利利益」を保護することにあり、管理組合でいえば、組合活動や災害時の安否確認などにも必要となる組合員名簿の作成を妨げるものではないのです。
まとめ
今回、管理組合を対象にブログを書きましたが、これは今まで適用除外を受けていた中小事業者にとっても同様です。
マンション管理士としても、税理士としてもフォローしておくべき、法令の改正だと考えていることから、今後の動きを注視していきたいと考えています。