「管理業務主任者」とは?
消費税に関する話題が続きましたので、今日はマンション管理の話題から業界資格である「管理業務主任者」について、まとめてみたいと思います。
この管理業務主任者ですが、資格創設当時は、業界団体主催の民間資格から国家資格への格上げでしたので、一応、効果測定と呼ばれる簡単なミニテストが講義の最後に行われたものの移行講習を受講するだけで国家資格への移行ができました。
そうしないと資格者不足で制度が有名無実になってしまうからです。
私は民間資格であった時代に講習で資格を取得し、移行講習を経て、資格取得しています。
管理業務主任者
「管理業務主任者」という資格は、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、「適正化法」)」に規定されている独占業務のある国家資格です。
以前にも書きましたが、この部分は「宅地建物取引士(旧:宅地建物取引業務主任者)」が規定される宅建業法を参考に制定されたといわれており、とてもよく似ています。
なお、この投稿中にある条文番号はすべて適正化法に関するものです。
市場性
他の国家資格と同様に毎年受験者数は減少傾向が続いていますが、平成26年度で20,899人が受験申し込みし、17,444人が受験。合格者は3,671人で合格率は21%でした。(マンション管理業協会)
平成13年から試験制度がスタートし、累計の合格者数は9万人を超えており、正確な登録者数の数字がネット上からは拾えなかったのですが、一説によると65,000人程度が登録しているようです。
また、分譲マンションは戸数ベースの資料しか見当たらないのですが、平成25年度の調査でストックが約601万戸(国土交通省)であり、棟数別や管理組合別の統計資料はないのですが、1管理組合あたりの平均戸数を50戸と仮定すると、全国に12万もの管理組合が存在すると推定できます。
自主管理(管理会社に管理を委託していない)の管理組合も中にはありますから、管理業務主任者は1人で30管理組合まで契約できますので、もう十分な数の登録者がいる計算になりますね。
ただ、マンション管理の世界はマイナーだと思い込んでいましたが、調べてみると意外に多くの人が関わっている業界のようです。
税理士業界と対比すると、平成26年1月1日時点での税理士会登録者数は77,007(第6回税理士実態調査報告書に基づき、税理士法人含む)であることから、まだ2割ほど税理士業界の方が大きいですね。
一般個人の確定申告は別にして、事業が行われている事業所数から市場規模を推定すると平成24年度時点での個人・法人合わせて545万(統計局)ほどの事業所があり、仮に平均して1.5事業所ごとに申告が必要と仮定するならば、税理士一人当たりの事業所数は約47事業所/人となっています。
法人しかカバーできませんが、法人税の申告数から推定すると、平成26年度における法人税の申告数は、279万4千件(国税庁)であり、税理士に依頼していない法人もそれなりにあるとは思いますが、単純な頭割計算で約36件/人となります。
独占業務
管理業務主任者には、次の独占業務があります。
管理受託契約(法律上の用語で「管理業務委託契約書」のこと)に係る重要事項の説明等(第72条1項)
不動産仲介における重要事項説明と同様に、契約時において重要される次の法定事項につき、管理業務主任者が主任者証を提示した上で契約の締結前に説明を行わなければなりません。また管理業務主任者が記名押印した「重要事項説明書」を交付しなければなりません。
<重要事項:施行規則第84条>
一 マンション管理業者の商号又は名称、住所、登録番号及び登録年月日
二 管理事務の対象となるマンションの所在地に関する事項
三 管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
四 管理事務の内容及び実施方法(法第七十六条 の規定により管理する財産の管理の方法を含む。)
五 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
六 管理事務の一部の再委託に関する事項
七 保証契約に関する事項
八 免責に関する事項
九 契約期間に関する事項
十 契約の更新に関する事項
十一 契約の解除に関する事項
契約の成立時の書面における記名押印(第73条)
管理業務主任者は、記名押印し、次の事項を記載した書面を契約の成立時に交付しなければならないとされています。管理業務委託契約書でなくとも構わないのですが、わざわざ別の書面にすることもないので、業務上は管理業務委託契約書と同一になっていることが多いと思われます。
一 管理事務の対象となるマンションの部分
二 管理事務の内容及び実施方法(第七十六条の規定により管理する財産の管理の方法を含む。)
三 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
四 管理事務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
五 契約期間に関する事項
六 契約の更新に関する定めがあるときは、その内容
七 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
八 その他国土交通省令で定める事項
管理事務の報告(第77条)
事業年度終了後、定期的に、遅滞なく、次の事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして報告を行わなければならないこととなっています。
<管理事務の報告:施行規則第88条>
一 報告の対象となる期間
二 管理組合の会計の収入及び支出の状況
三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項
法定更新
管理業務主任者証の有効期間は5年間で、5年ごとに法定講習を受講しなければ、更新して新たな管理業務主任者証を取得することができません。
私も平成19年に一度法定講習を受けていますが、キャリアチェンジ中だったこともあり、平成24年に受けるべきであった更新講習を受講していないため、現在は管理業務主任者証を返納し、管理業務主任者と名乗ることができません。
ただ、今年から(一社)マンション管理相談センターに所属し、管理に関する相談を受け、また顧問業務の受託を始めましたので、先月9月24日(木)に開催されました「管理業務主任者証の交付に係る講習」を受講しました。この講習については、次回の記事として投稿したいと思います。