消費税について(輸入取引の課税の対象)
昨日、一昨日とマンション管理業界の国家資格である『管理業務主任者』について記事投稿しましたが、今日からは、また消費税に関する話題として「輸入取引の課税の対象」について、まとめてみたいと思います。
なかなか個人で外国から輸入することはなく、税関が絡むかもしれないのは、せいぜい海外旅行のお土産ぐらいでしょうか?
イメージがしにくい部分であり、また消費税法の試験問題としても、メインで出てくるところではないため、さらっと流されがちな部分ではあるのですが、関税(特定の物品を輸入する際にかかる税金)と同じように、税金をかけて輸入物品を高額にすることにより、外国からの輸入を抑制する効果が消費税にはあります。
(そのため、消費税の導入や税率アップのたびに、報復措置をとると宣言しているアメリカから貿易交渉を持ちかけられています。)
輸入取引の課税の対象
以前の記事でも触れましたように、課税の対象となる取引は大きく「国内取引」と「輸入取引」に区分されており、今回はまだ未解説だった「輸入取引」についてです。
「輸入取引の課税の対象」については、消費税法第4条2項に次のように規定されています。
保税地域から引き取られる外国貨物には、この法律により、消費税を課する。
「国内取引」が、「事業者が行った資産の譲渡等」に限定されていることに対して、輸入取引にはその限定がありません。
そのため、事業者ではなくても、また事業としてではなくとも、一般個人の方が外国貨物を保税地域から引き取れば、消費税が課されることとなります。
そして、この規定の用語一つ一つにも定義があり、次の通りとなっています。
保税地域
消費税法第2条二号に次の通り規定されています。
関税法第29条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。
消費税法の規定にあるこれだけではよくわからないですね。
関税法の規定でも、「保税地域は、指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場及び総合保税地域の五種とする。」と規定されているだけです。
また、それぞれ個別の規定を文章で読んでもわかりにくいと思います。
これでも簡単になっているかわかりませんが、主に空港や港湾などに併設され、外国から輸入されてきた貨物(外国貨物)について、税関を通して、国内に輸入できるようにするため、保管しておく場所のことです。
外国貨物
消費税法第2条十号に次の通り規定されています。
関税法第2条第1項第3号(定義)に規定する外国貨物(同法第73条の2(輸出を許可された貨物とみなすもの)の規定により輸出を許可された貨物とみなされるものを含む。)をいう。
これも関税法の規定をひっぱってきているので、消費税法だけ読んでもサッパリですね。
引用元の関税法では、「輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)で輸入が許可される前のものをいう。」と規定されています。
そもそも、「輸入許可ってなに?」というお話がありますが、通関業務あたりの話までいくと本旨から脱線しすぎだと思いますので、ここでは割愛します。
輸入取引の非課税
保税地域から引き取られる外国貨物は、すべて消費税法の対象となりますが、課税されるかどうかは、次の消費税法第6条2項に該当するかどうかがポイントとなります。
保税地域から引き取られる外国貨物のうち、別表第2に掲げるものには、消費税を課さない。
そして、別表第2には、次の7項目が規定されています。
二 郵便切手類
三 印紙
輸入取引の免税
輸入取引については、消費税法上に免税規定はないのですが、「輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(以下、「輸徴法」)」という法律が別にあり、次のようなものについては、消費税を免除することとなっています。
・船用品又は機用品の積込み等の場合
・外国貨物の積戻し
・保税地域間の運送
・再輸出免税(海外美術品など一定期間輸入しても再輸出が決まっているような物品の特例)
・特定用途免税(学術的なものや博物館等に寄贈されるものなど特定の物品)
・無条件免税(天皇や皇族などに供される物品など規定されている特定の物品)
・外交官用貨物など
保税地域からの引取りとみなす場合
このほか、試験対策として覚えておくべきものに、「外国貨物が保税地域内で消費された場合等(課税貨物の原料または材料として消費される場合等を除く。)」で、保税地域からの引取りとみなすものがあります。
これは、保税地域から引き取っていなかったとしても、その消費等をした人がその消費等を行った時点で、その引取り前の外国貨物を保税地域から引き取ったこととみなすという規定です。
なお、この「みなす」という表現は、法律用語としては、「本来は別のものだけれども、その法律としては同一のものと取り扱います」という感じの意味合いで使われています。
仮に、外国貨物(タバコ)を保税地域内で消費(吸った)した場合には、保税地域から引き取ったわけではありません。
しかし、国内(保税地域内)で消費(吸った)しているわけですから、消費税を課すべきなので、法律上、「みなす」との表現を使用して、同じことと考え、消費税をかけますと規定しているわけです。