消費税について(納税義務者の原則)
昨日の「輸入取引の課税の対象」までで、一部の例外を除き、消費税の課税の対象については、一通り解説が終わりました。
今日からは、消費税を納める義務がある納税義務者について、記事化していきたいと思います。
消費税は、「間接税」と呼ばれる税で、税金を支払っている人(担税者)と税金を納めている人(納税者)が異なる税金です。
したがって、我々一般消費者が商品の購入などを通じて支払った代金に含まれる消費税を、販売した店舗(事業者)が納税まで預かっているという体裁で、事業者は預かった消費税を申告して国に納めます。
ところが、預かっているのに支払わなくてもいいという不思議な事態(益税)が起こります。
これは、消費税を導入する際に、事務負担等の観点から、中小事業者の方には消費税納税に関して免税点(税金が免除される範囲)を設けますよと政治家がアピールして導入した経緯があるからです。
平成元年に消費税が施行されてから27年が経過するわけですが、その範囲(基準期間における課税売上高3,000万円から1,000万円へ)は縮小されつつも、その制度が現在も残っています。
ここまで書いてきてあれですが、益税が生じる原因である「小規模事業者に係る納税義務の免除」の規定については、次回以降の記事とし、今日はその前提である納税義務者の原則について、まとめてみたいと思います。
納税義務者(原則規定)
消費税の納税義務者は、課税の対象と同様に、「国内取引」と「輸入取引」に区分され、消費税法第5条に、それぞれ次の通り規定されています。
課税資産の譲渡等
新たに出てきた用語として、「課税資産の譲渡等」がありますが、消費税法第2条九号に次の通り規定されています。
資産の譲渡等のうち、第6条第1項の規定(国内取引の非課税)により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう。
これは図で表すと次の通りとなります。
「課税資産の譲渡等」という用語には、国内及び国外の意味が含まれていないため、規定中に「国内において行った」という枠がかけられています。
そして、取引分類のところで解説した「国内取引の非課税」の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものという二重否定表現により、課税されるものだけを抜き出して規定されています。
課税貨物
消費税法第2条十一号に次の通り規定されています。
保税地域から引き取られる外国貨物(関税法第3条(課税物件)に規定する信書を除く。第4条において同じ。)のうち、第6条第2項(輸入取引の非課税)の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう。
こちらは、そもそも外国貨物の保税地域(国内)からの引き取りが国内においてしか発生しえないので、規定中に「国内」の縛りがありません。
ゆえに、シンプルに「輸入取引の非課税」の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のもの、すなわち課税されるものだけに納税義務が生じることとなります。