5月度のマンション管理士会「法務研究会」に出席してきました
昨晩(2016.5.23)は、神奈川県マンション管理士会5月度の法務研究会に参加しました。
今月の研究会も盛況で、先月の30名を超える31名の出席があり、そろそろ参加制限か2部制にしないと厳しいような状況でした。
今月のメインは、マンション標準管理規約改正点の総括
法務研究会ではパプリックコメント募集段階の改正案の時点で3回に分け、その改正内容について研究会を開催していたそうです。
その改正案と、今回発表された改正との相違点などを比較しつつ、今改正に対する総括が発表されました。
改正については、私も記事を投稿しています。
内容はおおむね把握していましたので、研究会出席者の様々なご意見を興味深く聴いていました。
出席者全員マンション管理士ですから、それぞれに一家言お持ちです。
また、現役の管理組合役員の方も多く、机上の理論だけではなく、現実の管理組合運営に照らしてどう感じるかという視点もあり、単純な議論にはならないところも面白く思いました。
この他、私もメインシンポジュウムに出席したマンション学会の千葉大会の報告や判例紹介などが行われました。
監事の理事会出席について
今回の研究会の中で特に印象深かったのは、監事の理事会出席に関する改正です。
改正前までの標準管理規約においては、監事は理事会に出席し、意見を「述べることができる」規定でした。
しかし、今回の改正によって標準管理規約上では、監事は理事会に出席して意見を「述べなければならない」規定となりました。
これは研究会でも意見が出ましたが、管理組合が会社法の組織形態に近づいていることによるものと考えています。
今改正では、理事長(役員含む)の責務が以前より明確化され、責任が重くなっています。
そして、その理事長の責務の明確化に伴い、その監視の役目を担う監事の責務も重要性が増しています。
ただ、責務が明確化され、重くなっただけでは大変です。
そこで今回の改正では、コメントにおいて、第三者管理という形態により、専門家を起用し、外部にその責務を外部化する方法が紹介されています。
大事なことはルールが機能すること
ルールをどれほど立派に作っても、それが機能しなければ意味がありません。
現在、社会人大学院では「Risk Management」の講義を受講していますが、そのコーポレートリスクマネジメントにおいては、まさにその監理・監督機能が機能しなかったことにより問題になったケースが取り上げられています。
そして、その対応について課題が出されています。
企業においてはスチュワードシップコード
企業において経営陣(役員会)が暴走するのは、その監督機能を形骸化させる行動を、経営サイドが行うことによるものです。
経営陣は自らを監理・監督する監視者を面白く思うはずがありません。
マネジメントの世界では、それを有効に機能させるために投資家(株主)も、経営陣の行動に対して意識を持つ必要があると考えられるようになり、近年スチュワードシップコードという考え方が導入されつつあります。
これは、今まで「物言わぬ株主」であった機関投資家(大手損害保険会社などの大株主)に、「責任ある機関投資家」として意識をもって企業経営に意見をするように求めるものです。
管理組合では、各区分所有者がこれに相当すると考えます。
まとめ
課題や問題があるところばかりから相談を受けるため、比較的責任を重たく捉える傾向があると思っていますので、今回の管理規約の改正が全てのマンションに必要だとは考えていません。
しかし、各区分所有者が意識をもって、管理組合運営に取り組み、監視機能を強化しなければ、結果としてその不利益は区分所有者自身に跳ね返ると考えています。
そして、運営をほぼ代行している管理会社にお任せ状態は、まさにこの監視・監督機能が機能していない管理組合の典型だと思っています。