既存・流通分譲マンションの管理費・修繕積立金
2016年6月15日、第1008号のマンション管理新聞にて、2016年1月〜3月に東京都内で流通した分譲マンション(7,717 件)の管理費・修繕積立金などに関する調査結果報告がありました。
「取引があり流通したもの」だけですので、取引価値があり、かつ、流動性が高い物件だけが対象になり、そのフィルターがかかっていることが前提となります。
しかし、一つの目安としてはとても重要で、こういう数値がわかる業界新聞として、とても有難い存在です。
平均額だけ見てもしょうがない
管理費や修繕積立金は、業界にいると自然とわかることなのですが、分譲マンションの立地、築年、規模、設備など、様々な要素から、大きく変動する、とても個別性の強いものなのです。
したがって、平均から見て高い安いを論じても、全く意味がありません。
平米単価で均一化を図っても、同じことです。
ただ、平均額に全く意味がないわけではなく、類似物件などを個別に抽出するなどして、傾向を把握した上で、分析する分には大変重要です。
要素ごとに分析してみると面白い
東京都内の分譲マンションは、ほとんど管理会社に管理を委託しているイメージだったのですが、築年数別でみると、今回調査ではとの限定ながら、築30〜40年のマンションでは、10.7%。
築40年超のマンションでは、19%と驚くべき高確率で存在しています。
ちなみに参考として、築20年未満だと自主管理マンションは、1%未満です。
また、参考掲載されていた東京以外の都市との比較では、もっとも平均管理費が高い東京都(226円/㎡)に対して、もっとも平均管理費が安い福岡(109円/㎡、2012.3.5付データ)は半分以下の管理費になっています。
詳しいデータが掲載されていないため原因まではわかりませんが、人件費が倍以上違うわけではないのですから、やはり平均額だけで判断してはいけないことは、これだけを見てもわかると思います。
管理費だけではなく、取引価額も載っている
管理の面からだけでなく、売買の観点から見て、取引価額の平均が掲載されているところも面白いです。
区ごとに平均値が掲載れており、23区内での最高額は千代田区の8,589万円、最低額は足立区の2,609万円でした。
平均値なのに、これほど違うのですから、これも驚きました。
まとめ
業界にいた時には、それぞれなんとなく目にしていた数字のはずなのですが、改めて数値化されると、新たな発見があります。
このような調査だけに限らず、自分自身のことも、意外とわかっているつもりで、わかっていません。
様々な角度から分析するためには、客観化が必要ですので、一度自分からアウトプットし、折に触れ、機会を作って分析することが大切だと感じます。