「マンションすまい・る債」の募集が始まります
昨日(2016.4.8)、住宅金融支援機構からのプレスリリースがマンション管理士会を通じ、メールで届きました。
応募受付期間は、4月25日(月)から9月21日(水)までです。
修繕積立金の保管・運用については、それほど選択肢がないと思われますが、この「マンションすまい・る債」は、数少ない運用先の一つに挙げられると思います。
マンションすまい・る債
独立行政法人住宅金融支援機構が発行する10年利付債券です。
10年間連続して購入し、積み立てしていく形が基本形で、10年満期年平均利回りは0.08%(税引き前)とのこと。
日銀のマイナス金利も影響しているようですが、100万円預けても800円/年の利息です。
それでも銀行の定期預金金利を考えれば、債券には違いないのですが、運用先というよりも、一つの保管先として考えるべき時代になったのかもしれません。
現在、多くの管理組合が修繕積立金保管口座として活用している都銀などの1年の定期預金は、金利が0.01%(税引き前)程度です。
しかし、1000万円を超えての預金は保護されないことから、ペイオフ対策のため、小規模のマンションではあちこちの銀行に口座開設して保管しています。
大規模の管理組合では、修繕積立金が多額となりすぎ、そんな対策では追いつきませんので、ペイオフの対象とならない決済性預金口座(当座預金など)を利用して対策しています。
このような状況であることから、こんな超低金利でも市中銀行の金利と比べれば、運用・保管先として考えられる状況といえます。
またこの他にも、住宅金融支援機構から修繕工事費用を借り入れするような事態となってしまった場合には、借り入れ利息の優遇を受けられるメリットもあります。
これを機会に決済性預金口座に変更しては?
管理会社に勤務していて煩雑な処理だと感じていたのは、管理組合設立総会後の新規口座開設です。
中小の管理組合では、前述の通り預金残高が1000万円を越えるごとに新規口座を開設していました。
末端のフロント担当者や会計担当者が大変になるだけなので、業務改善されずまだ放置されていると思いますが、大手の管理会社であれば、もうこんなことはしていないはずです。
この新規口座開設、マネーロンダリング防止などのため、年々手続きが煩雑になっていき、本人確認の問題などがあり、理事長ご本人に同行していただくこともありました。
市中銀行の1年定期の金利はもう0.01%(税引き前)です。
1000万円預けても、年1000円程度の利息で、さらに税金が控除されます。
一般的な対応をしていれば、残高証明書を手配しているはずですから、この発行手数料に加え、工事費出金などがあると差額はほぼない、もしくはマイナスの状態で、毎年の理事長名義変更手続きなどの手間暇を考えるとほぼメリットはありません。
もちろん、多少は利息益がでる場合もあると思います。
しかし、ペイオフ対策というのであれば、決済性預金口座にしてまとめた方がお互いに管理しやすいはずです。
人の手間はサービス(無料)だと思っているのような不合理はそろそろ止めてしまったほうがいいと思っています。
人に預けておいて状況が改善することはほとんど無い
人任せにできないと、なんでも自分でやろうとすることも良いとは言えないのですが、将来に向けて考えると、現状維持は、ほとんどの場合は状況悪化を招くと感じています。
人任せにしておいて状況が改善するものでしょうか?
預金もそうですし、管理もそうです。
昨今の社会情勢の中、そんな暇は無いのかもしれません。
また、信頼できる相手を見つけることも難しいと感じます。
悪化することはあれど、良くなることはほとんどないと思っています。
今あることで手いっぱいであれば、何を止めるかを考えるしかない
よく言われることですが、手に何かを持っている状態では、新しいものを掴むことはできません。
物理的に手に何かを持っている状態ですので、これはハッキリと持てないという事実がわかります。
しかし、状況を改善しようとするときには、なぜか改善することだけがクローズアップされて、新しいことをするための時間を確保する話に、なかなかなりません。
1日は24時間しかないのですから、状況を改善するためには、現状やっていることの何かをやめないと、新しいことに取り組む時間を作ることは難しいはずです。
まとめ
特にこのすまい・る債がオススメだと思っているわけではありませんが、管理組合の修繕積立金の運用先については、選択肢が少ない状況です。
そのため、マンションの状況により、この「マンションすまい・る債」を活用することも十分あると考えます。
ただ、この「すまい・る債」の手続きを管理会社に依頼されるに当たって、管理組合の預金口座が何口もあるような状態になっているのであれば、決済性預金口座の活用についても、ご一考いただければと考えます。