『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』を読了しました
本日(2018.4.3)は、久しぶりに書評です。
私は分譲マンション管理の専門職ですが、税務も学んだことから、アパート購入や売却に関する簡単な相談も受けることが多くなってきました。
現状、投資物件に関する相談の方が多いのですが、自宅購入に関する相談も受けています。
資金が有り余っているような方は対象外なのですが、実はこの購入判断に関する究極的な本質は、投資物件にも自宅購入にも違いはないと考えています。
もちろん、同じ不動産とはいえ用途が違いますので、物件選択に関する知識や購入実務に関するテクニカルな部分では違いがあります。
投資物件の選定は、レッドオーシャン化している市場特性や物件ごとの個別性の強さなどから一般論化しくいのですが、自宅購入に関しては、ある程度の一般化が可能と考えます。
その意味で、今回読了しました『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』はとても素晴らしい本でしたので、自宅購入を検討されている方にぜひ読んでいただきたいと考え、お勧めさせていただきます。
キャッチーなタイトルですが、中身はとても真面目な本です。
著者である千日太郎さん(ペンネーム)は、本を出版される以前から、鋭い記事を書かれるそのブログで注目していました。
不動産購入動機の主体は老後の生活資金の確保
投資物件購入の場合は老後の収入を増やす面での動機ですが、自宅購入の場合は老後の支出を下げる面での動機です。
千日さんは、この本のおわりにで「家を買うことの意味」を、次の2点に絞られています。
・長期間の住宅ローンを完済できる可能性とそのスピードを上げる
・少子高齢化社会での老後の生活資金をより多く残すことができる
この本は、1点目の「ローン完済可能性とそのスピードを上げる」ために大変役に立ちます。
その結果として、2点目の生活資金をより多く残す結果に繋がります。
前半3章は物件選び
中古関連の物件選定に関する部分に浅い部分はありますが、それでも一般論化しすぎず、個別の物件選定にお役に立つのではないかと思われるポイントがかなりありました。
特に不動産営業マンの考え方や行動など「その通り!」と同意できる内容になっています。
予算に対する考え方から具体的な物件選択までの大枠をとらえる上で、参考になるはずです。
後半3章は住宅ローン選び
この本のキモはこの部分だと考えます。
ここまで住宅ローンを選ぶ人目線で詳細に解説している本は、なかなか見られません。
特に千日さんは公認会計士であり、会計知識を備えた上で、住宅ローン、保険などの商品提案されていることから、とても実践的な内容になっています。
まとめ
不動産は、生活費収支のリスクコントロールのために活用されています。
しかし、リスクを避けるためにコストをかけ過ぎてしまっては、老後資金が枯渇するリスクを負うこととなり、元も子もありません。
そこにしっかりとしたバランス感覚を保つために、本書は有用だと考えます。