『管理組合等の取組支援に係る事業の報告 第2集』を読みました
先月、マンション管理士会よりメールにて案内があったことから、購入しました。
「マンション管理適正化・再生推進事業」は、国土交通省が行っている事業です。
この事業は、平成21年度からスタートし、募集がなかった平成23年度、平成24年度を除き、毎年事業化されています。
この書籍は、この事業を通じてモデル事業として採択された取組のうち、平成25年度から平成27年度にかけて実施された取組を取りまとめたものです。
国土交通省のホームページにおいても、この書籍にまとめられた15の取組のうち10の取組ついて公表されています。
相当シビアな事例が多い
管理の適正化や活性化、防災対応など、一般的な管理組合でも同じような取組みが想定されるものもありますが、国からの補助金事業だけあり、次のようなシビアな取組み事例がありました。
・管理組合機能不全に陥っている状態からの正常化
・活動が全くない状態からの管理規約の制定・未収回収対応
・自主管理で担い手不足の上に、外国人所有者が多いマンションの外部専門家起用による管理適正化
これらの取組みは、さすがに外部専門家を起用することなしに適正化することは難しかったと思われます。
補助金は事業者や団体に交付されています
この補助金は、個人ではなく、マンション管理組合の活動を支援し、マンションの管理、修繕・改修等に関する専門的知識やノウハウを擁する等の組織体制を備えている法人や団体がその対象とされています。
そのような団体として、日本マンション管理士会連合会は、この書籍記載の15事例のうち、5つの事業に関して事業者として採択されています。
平成28年3月時の募集要項では、支援の対象となる事業は、次の6つとされていました。
1)外部専門家の役員等としての活用や、管理費の適正徴収等による管理適正化に係る管理組合の活動支援
2)長期修繕計画の適正化、修繕履歴等の情報開示の促進、リフォームの推進に係る管理組合の活動支援
3)耐震改修や、団地型マンションの修繕・改修等に向けた検討に係る管理組合の活動支援
4)外国人居住者が多くを占めるマンション、投資型マンション等の新たなタイプのマンションにおける管理運営の適正化に係る管理組合の活動支援
5)マンションにおける駐車場の空きスペース対策や防災対策等に係る管理組合の活動支援
6)管理不全マンション等の管理組合の活動を支援する専門家の育成や専門家派遣の体制整備
そして、今年は事業を3つに分け、国土交通省から3月13日までの期限で公募されています。
チャンスがあれば活用したい
個人が対象ではありませんし、現状この事業の対象となるような具体的な管理組合がお客様にいるわけではありません。
しかし、いずれチャンスがあれば、このような事業を活用し、管理運営に関するモデル事業を行いたいと考えています。
当然、事業化がいつまで続くかもわかりませんし、将来も同じ内容の事業となるかどうかもわかりません。
ただ、このような事業を活用することができれば、モデル事業化による報告は必要となるものの、補助金によるイニシャルコスト抑制が大きい管理組合にとっては、大きな助けになるはずです。
まとめ
補助金が出ようが出まいが、管理士サイドとしては、管理組合を適正化するために行うことは大きく変わりません。
報告に関する手間の分、大変になるはずですが、補助金分管理組合は助かることになります。
ただ、全国で年に数件しか採択されない事業ですから、選ばれるためのハードルは相当高そうです(笑)