マンション管理士が職業専門家として守るべきルール
久しぶりに私の専門分野であるマンション管理に関する記事です。
大学院の講義が始まるとダメですね。
生活リズムが大学院対策モードになってしまい、他のことに眼を向ける余裕が一気になくなってしまいます(苦笑)
名称ほどの専門家ではありません
以前からかなり記事にしていますが、この資格合格率は低いもののその試験内容からすると、試験に合格するだけでは専門家というにはほど遠いのが実情です。
一応、法律に関しては、かなり難しい試験問題が出題されます。
しかし、会計に関する問題もたいした問題ではありませんし、建築技術や関連法規の問題は幅広すぎて、実務レベルにまでは深掘りされていません。
そのため、他の国家資格と同様、試験に合格したことが、実務家として活躍できるレベルの知見を有していることを意味していません。
実は「使命」などが規定されていない
マンション管理士には、制度化された目的に関する条文はありますが、他の士業にある「使命」や「職務」「職責」「業務」などといった士業に当然あると思われるような職業専門家としての根幹となるような理念に関する規定がないのです。
そもそもマンション管理士という資格は、「マンション管理の管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)」という法律の一制度として規定されたものでしかありません。
具体的には、マンション管理士は、第2条(定義)第五項において、次のように規定されています。
五 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。
この規定からすれば、名称独占にしか過ぎませんので、「業務」とする者として、「業」にすらなっていません(苦笑)
比較のため、私に身近な他士業の規定を並べると、次のようになっています。
税理士
(税理士の使命)
第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
公認会計士
(公認会計士の使命)
第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
弁護士
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
ここでのポイントは、マンション管理士という資格は、「使命」のない名称独占に過ぎない資格であるということです。
さらにこの後、他の士業では、各士会に強制的に登録・所属しなければならない規定となっているのですが、マンション管理士にはそれすらもありません。
すると、各士会で定めている倫理規定などの遵守義務もないことになります。
名称独占に過ぎない資格であることとのバランスはあっているのですが、他の士業と比べて、信用失墜行為の禁止や守秘義務程度の規定しかなく、あまりに野放しな状態となっています。
規定があるからといって遵守されているわけでもありませんが
もちろん、規定があるからといって必ず守られるというわけではありません。
しかし、しっかりとした規定があって、さらには各士会一定の監視の目があってすらルールが破られるわけですから、それすらない状態で、より適正な活動が行えるとは到底思えません。
そのため、マンション管理士は、法律によらず独自にマンショ管理士会を立ち上げ、組織化してきました。
そして、倫理規程を定め、会員は入会時時に提出する誓約書に基づいて遵守する必要があります。
したがって、マンション管理士に依頼するのであれば、特段の事情(その地域の管理士会がない等)があって所属していないような場合を除き、管理士会に所属しているマンション管理士であることは最低条件であるという話になります。
まとめ
修繕工事関して、マンション管理組合に対する悪質コンサルが新聞記事になっていましたが、大規模修繕工事だけに限らず管理委託費ほかでこのような行いが後を絶ちません。
私はこういう行為を防止できるコンサルタントして、このマンション管理士という資格をビジネス化したいと考えています。