A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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消費税税理士試験

消費税について(取引分類)

消費税について(概要)』『消費税について(国内取引の課税の対象)』と書いてきました。

今回はその対象として取り扱われることが判明したあとの分類について、まとめてみたいと思います。

なお、条文はそのまま転記すると長いため適宜省略しています。

 

Tax exemption

 

非課税

まず第1段階として、前回は、そもそも消費税法の対象となる取引かどうかの判定でした。

次に第2段階の判定として、「国内取引の非課税」の規定に該当するかどうかの判定を行います。

「国内取引の非課税」は、消費税法第6条1項に次の通り規定されています。

国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第1に掲げるものには、消費税を課さない。

 

そして、別表第1は、省略しても長いのですが、「消費税という税の性格になじまないもの」や「社会政策上の配慮」から非課税とされた次の13項目となります。

一 土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
二 有価証券その他これに類するものとして政令で定めるもの(ゴルフ場利用株式等を除く。)及び支払手段(収集品その他の政令で定めるものを除く。)その他これに類するものとして政令で定めるものの譲渡
三 利子を対価とする貸付金その他の政令で定める資産の貸付け、信用の保証としての役務の提供、公社債等運用投資信託等に係る信託報酬を対価とする役務の提供及び保険料を対価とする役務の提供その他これらに類するものとして政令で定めるもの
四 次に掲げる資産の譲渡
イ 日本郵便株式会社が行う郵便切手類の譲渡又は印紙の譲渡
ロ 地方公共団体又は売りさばき人が行う証紙の譲渡
ハ 物品切手その他これに類するものとして政令で定めるものの譲渡
五 次に掲げる役務の提供
イ 国等が法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供で、その手数料、特許料、申立料その他の料金の徴収が法令に基づくもの(政令で定めるものを除く。)
(1)登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定
(2)検査、検定、試験、審査、証明及び講習
(3)公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写
(4)裁判その他の紛争の処理
ロ イに掲げる役務の提供に類するものとして政令で定めるもの
ハ 執行官又は公証人の手数料を対価とする役務の提供
ニ 外国為替に係る役務の提供
六 一定の療養、若しくは医療又はこれらに類するものとしての資産の譲渡等
七 次に掲げる資産の譲渡等(前号の規定に該当するものを除く。)
イ 介護保険法に基づく居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス、施設サービスその他これらに類するものとして政令で定めるもの
ロ 社会福祉事業及び更生保護事業として行われる資産の譲渡等(生産活動としての作業に基づき行われるもの及び政令で定めるものを除く。)
ハ ロに掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの
八 医師、助産師その他医療に関する施設の開設者による助産に係る資産の譲渡等
九 埋葬料又は火葬料を対価とする役務の提供
十 身体障害者用物品の譲渡、貸付けその他の政令で定める資産の譲渡等
十一 一定の教育に関する役務の提供(授業料、入学金、施設設備費その他の政令で定める料金を対価として行われる部分に限る。)
十二 学校教育法等に規定する教科用図書の譲渡
十三 住宅の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

 

 

輸出免税取引

非課税取引でもないと判定された取引は、「国内において行う課税資産の譲渡等」と表現され、第3段階の判定として免税取引に該当するかどうかについて、消費税法上は次の2つの規定により判定します。なお、細かく言うと、消費税法の免税ではない「外国公館等(いわゆる「大使館」など)に対する免税」その他租税特別措置法などによる免税もあります。

詳しくは、税額控除の解説の際に記事化予定ですが、消費税には輸出促進税制の意味合いがあります。

国内には税金をかけて、国外にはかけない税金なのですから、同じ製品が国外では安く買えますよね。

 

duty free

 

輸出免税等

消費税法第7条(輸出免税等)では、次の通り規定されています。

事業者(消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。

 

条文中に「次に掲げるもの」と表現されている部分が「輸出取引等」に当たるのですが、次の通り規定されています。

一 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
二 外国貨物の譲渡又は貸付け
三 国内及び国内以外の地域にわたつて行われる旅客若しくは貨物の輸送又は通信
四 専ら前号に規定する輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡若しくは貸付け又は修理で政令で定めるもの
五 前各号に掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの

 

輸出許可書などの書類を保存することにより、「輸出取引等」に該当することを証明できた取引については、消費税が免除されるのです。

 

Export goods retailer

 

輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税

輸出物品販売場とは、いわゆる「免税店」のことです。

所轄の税務署へ所定の申請を行った上で許可を得る必要がありますが、国内で譲渡などを行わずに国外で消費することを前提に、所定の手続きを行うことで消費税が免除されます。

昨今の外国人旅行客への販売促進の意味から、使いやすくなる方向で改正が行われています。

消費税法上は、第8条1項において次の通り規定されています。

輸出物品販売場を経営する事業者が、非居住者に対し、政令で定める物品で輸出するため政令で定める方法により購入されるものの譲渡(非課税されるものを除く。)を行つた場合(一定の金額を超える場合に限る。)には、当該物品の譲渡については、消費税を免除する

 

Subject table of taxation

 

6.3%課税取引

ここまで来て初めて、納税が必要となる6.3%課税取引となります。

いままではこれでよかったのですが、Amazonなどの国外に本店を置いてインターネット取引する事業者に対して、消費税の課税対象外となっていた一部の電子取引などが、課税の対象となりました。

いまはそのような取引については、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について(国内事業者の皆様へ)」という形で、今月1日から「リバースチャージ方式」により課税されています。

(ある程度、消費税の解説が進まないと詳しく書きにくい部分もあるので、この辺りも後日改めて記事化したいと思います。)