熊本地震でマンションが受けた被害(国総研)

前回までの2回は、熊本地震でマンションが受けた被害について、マンション管理会社の業界団体である(一社)マンション管理業協会が調査したアンケート結果をもとに記事にしてきました。

今回は、マンションだけに限らず、国の機関で行われた調査報告が他にも公開されたので、その調査結果について記事にしたいと思います。

 

国土技術総合研究所

国の研究機関である「国土技術総合研究所(国総研)」が被害調査、二次災害防止及び被災施設の復旧に向けた技術支援をしています。

この国総研が「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」を設置し、調査分析を行っており、第2回目の委員会での配布資料並びに議事の概要(速報)が公開されています。

 

この被害調査(暫定)について

この調査報告も管理会社がアンケート集計していた日本建築学会が定める基準に基づいて、建物被害レベルが分析されています。

そして、今回の報告範囲は、「発災直後(5 月 3 日~8 日)に日本建築学会により実施された、益城町の一部地域にて建築物の被害状況を把握している悉皆調査の情報と、建築確認台帳や航空写真等の情報を用い、構造別・建築 時期別の建築物被害状況を整理」したものです。

なお、この日本建築学会悉皆調査では、益城町大字安永、大字宮園、大字木山、大字辻の城の概ね全ての建築物の2,652棟のうち、用途が倉庫、神社等のものを除いた2,328棟について調査・集計されています。

調査結果は、まだ精査中であることから、今回の報告数値も暫定的なものですので、ご注意願います。

 

鉄筋コンクリート造の被害状況について

この調査は、マンションに限らず全ての建物が対象のため、分譲マンションだけを抽出しての報告になっていません。

そのため、配布資料7の「4.鉄筋コンクリート造の被害状況報告」という括りでの報告があったことから、まず分譲マンションに相当するものとしてこの区分の調査結果について確認しました。

そこでは、調査対象のRC造建物51棟中、管理会社のアンケート報告になかった「崩壊・倒壊」した建物が11棟あったと記載されていました。

しかし、資料4の「構造別・建築時期別の建築物被害状況の集計」では、「崩壊・倒壊」した建物は2棟になっており、どうやら集計の結果と報告対象範囲が異なっている可能性があるように思われました。

結論、あくまで今回の報告は暫定値として捉え、もう少し詳しい分析は9月に予定されている第3回の委員会を待った方が良さそうです。

ただ、どちらの集計・報告においても、今回「崩壊・倒壊」したRC建物は、全て1981年以前、現行耐震基準となる前の建物でした。

 

免震建物の被害状況について

この調査報告を確認して面白かったのは、免震建物被害についての報告があったことです。

免震だからといって全く被害を受けてないわけではなく、熊本地震では、今までの地震被害とは違うタイプの被害(ダンパー取付け基部の被害・外付け階段の被害)が出ていました。

次回の委員会でどのような分析・対策検討が行われるのかが気になっています。

 

まとめ

テレビ報道により、RC造であっても「崩壊・倒壊」レベルの被害を受けた建物があったことは知っていました。

そのため、一部の話ではなく、全体としての震災被害がどの程度であったのかが気になっていました。

まだ暫定値であることから予断は許しませんが、現行の耐震基準を満たす建物では「崩壊・倒壊」したような建物なかったようです。

今のところ、震災から生命を守るという意味において、RC造の建物はその能力を十分に発揮しているようです。