A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

A Written Oath
マンション管理建築・不動産関連

エレベーターのブレーキにおける適切な維持管理について

1週間ほど前(2018.4.4)になりますが、所属しているマンション管理士会より、国土交通省からの周知協力依頼に基づき、「エレベーターのブレーキにおける適切な維持管理について」というメール連絡がありました。

これは、先月(2018.3.28)国土交通省より発表された「昇降機に係る事故調査報告書について」のうち、2017年2月1日に発生した神奈川県横浜市内で起こった事故に関連して行われたものでした。

報道発表資料

 

それでも事故は起こった

人身事故ではありませんでしたので、世間をお騒がせするようなニュースにはなっていません。

事故は、横浜市青葉区役所で発生しました。

公の建物ですから、メンテナンスをしていなかったわけではなく、メーカー系保守会社がフルメンテナンス契約で保守していました。

しかし、それでも事故は発生しました。

 

事故といっても大音響鳴り響くような大事故ではありません

その場に居合わせた当人であれば驚いたでしょうが、事故といっても他人が聞いてビックリするようなことではありません。

事故概要としては、エレベーターかごが最上階に到着した際、戸が開いた直後、かごが低速で上昇し始め、床上30センチほどで停止したというものでした。

調査報告書では、事故原因を1年11カ月前に行われたブレーキの分解清掃時に塗布した油の量が十分ではなかったことによるものと推定しています。

その他にも、使用部材が耐摩耗性に劣る部材を使用しているなどの影響も推定されていますが、6年を目安に行うこととされている分解清掃は、1年11カ月前でしたので基準内での保守は十分行われていました。

意見として、報告書では、目視困難な部位に有効な点検方法を定めて維持管理に必要な情報を所有者や管理者、保守点検業者に提供することを提言しています。

また、そもそも論として、製造業者に対しては、保守及び点検を容易に行える構造にすることも意見しています。

 

見えるところよりも見えないところ

今回、この件をあえて記事にしたのは、分譲マンションの維持・保守を検討する際に、見えないところよりも、見えるところや分かりやすいところが優先される傾向を感じているからです。

今回の事故では、幸いなことに人身事故には至っていません。

ただし、エレベーターのブレーキ事故ですから、死亡事故とまではいかなくとも、けが人がでる可能性はありました。

だからこそ、このような事故調査や周知通知などが行われていると考えます。

分譲マンションの維持・修繕は、資金不足が生じて初めて、周期に基づく一律の修繕実施からリスクに応じた優先度を検討するようになります。

ただし、それでもなお見た目が優先される傾向があります。

その原因の一つに、建築系工事は表面上の工事が多いことから見た目に伝わりやすく同意を得やすいことにあると考えています。

しかし、その裏側で、設備はマンションでの生活を安全に保ち、日常を過ごすために必要な様々な機能を果たしています。

 

まとめ

失ってはじめてわかるありがたさを感じないで済ませるため、リスクや機能などにも配慮した修繕計画を立てることをお勧めします。