萬有製薬事件
週末に予習したケースの一つで、名古屋商科大学大学院の講義「Tax Accounting」で与えられた10ある課題ケース中、これで4つ目の予習になります。
このケースでは、萬有製薬が若手研究者を支援するために行っていた医学論文の英文添削サービス(無償ではなく、国内業者の平均的な料金を受け取り、専門家に依頼したことによる差額分を負担)が、寄付金に当たるのか、交際費に当たるのかで争われました。
それぞれ損金として収益(益金)から差し引くことができる額に様々な制限(当時、交際費は全額損金不算入)があるのですが、このケースでは寄付金として申告し、損金として税額が減る申告をしています。
ところが、それを課税当局から否認され、訴訟に至っています。
※キャッチアップ画像は「TAINS(日税連検索データベース)」の検索結果を引用しています。
与えられた課題は共通しています
教科書をもとに概要・意義などの説明を求められる部分だけはケースごとに違いますが、それ以外は、基本的に「簡易に図示すること」、「納税者と課税当局それぞれの主張」、「裁判所の結論とそれに対する意見」、「自分が税理士だと仮定して学んだこと」の4つです。
今回は、教科書をもとにケースでも争われた「寄付金」と「交際費」の意義を問われました。
基本的には、交際費も企業会計上の「費用」に当たるため、本来は利益から差し引き、税額が減るもののはずです。
しかし、交際費はそれが乱用されることなどの問題から、損金不算入の制度が昭和29年に制定され、その制度が長らく維持されてきました。
現在では逆に交際費を使わせるために一部緩和されましたが、それでも無制限には使えないものになっています。
寄付金は基本的には儲かった利益を使って行うべきことのはずですので、こちらも無制限に費用としては問題があります。
そのため寄付金にも一定の制限が設けられています。
TAINSを利用させてもらいました
(一社)日税連税法データサービスが運営しているサービスです。
「Tax Accountant Information Network System」の略称で、税務に関する判決・裁決・通達・事例そして雑誌目次等を検索することができます。
有料のサービスなのですが、勤務している事務所で契約しており、先生に相談したところ使わせて頂けることになりました。
大学院サイドからの資料にも判例そのものは載っているのですが、原判決にさかのぼったり、上告や控訴理由などの部分までは資料に詳細に記載されていないケースがほとんどのため、その辺りを調べるために利用しています。
また大学院サイドから提供されたPDF資料にはパスワードが掛けられており、単純なコピペができません。
部分抜粋したい時に、とても困りました。
全部手打ちでは時間がかかりすぎます。
TAINSのデータであれば、フォントなどの体裁修正は必要なもののコピペできますので、抜粋がかなり楽になりました。
わかりやすい資料ってすごいですね
図示する参考になるようなものを探していたら、ズバリそのもののサイトを発見してしまいました。
税理士 飯田真之先生の『税務・会計本の感想』サイトで、『第63回 交際費総点検!(7) 「萬有製薬事件」を簡単に説明すると…「50選」「53選」の判例評釈に「図表」を付けてみました!』という記事の中にありました。
自分で描くならもっと手軽に描くのですが、必要事項がバッチリと網羅されていて相関関係がよくわかります。
もともと図示は苦手なのですが、ハードルがさらに高くなってしまった気がします(苦笑)
保留タスクとし、もう少しシンプルなものを後日考えます。
まとめ
今のところは、こんな感じで予習を進めています。
もっと良い方法などお勧めがありましたら、ご意見いただけますと助かります。