分譲マンション管理会社の繁忙期
5月に入り、大手の分譲マンションの管理会社は、そろそろ定期理事会・総会の開催繁忙期に突入しているのではないでしょうか?
税理士業界も3月決算法人が多い場合には5月末までが繁忙期になるかと思われますが、分譲マンションの管理会社の繁忙期は、4月頃から6月、場合によっては7月半ばぐらいまでが繁忙期になりがちです。
分譲マンション業界も企業の決算期の影響を受けています
大手の不動産デベロッパーや大手建設会社の多くは3月決算です。
すると、その開発・建設物件の引渡し時期は3月前に集中します。
そのため、管理規約の附則などで初年度決算について、調整を行っていないと、その決算は自然と3月頃の決算となってしまいます。
また、分譲マンションの管理組合の決算後、総会を開催するまでの期間については、企業のような会社法や税法による規制がないことから、私の経験上、決算後3ヶ月程度としていることが多かったように思います。
したがって、3月末日決算の6月開催が定期総会開催の最繁忙期でした。
管理会社の業務はむしろ総会が終わってから始まる部分も多い
税務であれば、申告・納付が終わる段階では、書類の引渡しなどはあれど、そこで一旦落ち着きますが、分譲マンション管理組合の定期総会後には、議事録の作成から総会決議事項の履行補助など、業務の執行に関して終わってからが本番な部分が多々あります。
そのため、6月に定期総会が終わった後も、7月半ばぐらいまでは業務が切れ間なく続き、管理組合の状況によってお盆ごろまで落ち着かないというフロント担当者もいらっしゃいました。
総会前の準備が良ければ、その後の対応が楽になるとはいえども、数が重なると簡単にはいきません。
心掛けとして「段取り8分」などとは言われますが、事件や事故、災害などはいつ発生するかわかりませんし、管理職は別として、一般社員のフロント担当者にバックアップ要員がいるわけでもありません。
多くの方は、そうこうしているうちに繁忙期に限らず、業務を常に抱えるようになります。
業務を抱えることに慣れてしまう
この弊害は、早めに手をつけ、仕事を片付けるほど、新しい仕事を振られ、仕事をやるほど仕事が増えるという循環になりがちなことです。
個人的な体験としては、サラリーマンは、新しいことをやり遂げることよりも大過なく過ごすことを良しとされる面が多かった気がしています。
そのため、やったことがない難しい仕事を振られ、できる見込みが全く立たなくなるぐらいなら、難易度が低い仕事で常に忙しくしている方が無難にこなせるという、ものすごく後ろ向きな仕事循環を生み出したりもします。
さらには、上司が部下の仕事をコントロールすることを放棄している場合には、担当者自身が、お客様から約束不履行などで怒られていても、契約が切られるところまでいかなれば、社内ではほとんどわからないということもあります。
顧客である管理組合サイドでも大きな変化を望むことは少ないことから、大過なく(何もせず)時を経過させてくれる管理会社を有難がったりすることもあります。
まとめ
ネガティブな業界体験を書きましたが、管理会社を否定したいのではなく、自然とこの繁忙期には管理会社の動きは鈍くなるということを知っておいていただきたいのです(もちろん、それでいいとは思っていません)
そのため、本人のやる気の問題などに全く関係なく、総会シーズンにはフロント担当者の動きは重くなりがちです。
契約をしているのは管理組合と管理会社であり、フロント担当者はその一社員に過ぎず、何らの決定権もありません。
何かご要望がある場合には、担当者を吊るし上げ、責めても前進することはほとんどありませんので、担当者ではなく、特に決裁権のある方を対象として交渉を進められることをおすすめします。