税理士試験について
本日は、私がチャレンジ中である税理士試験について投稿します。
ただ、税理士試験制度については、数多あるブログや専門サイトで十分に説明されているかと思いますので、その辺りは軽く触れるだけにし、おそらく私の特徴となる別業界のサラリーマンからのキャリアチェンジを目指すこととした理由を中心に書きます。
受験状況
税理士試験にチャレンジを始めて、今年で4回目の受験となりました。
そもそも税理士試験は、科目合格が許されている試験で、選択必須科目を含み合計5科目の合格(または免除)により、税理士登録ができる制度となっています。
現在、私は簿記論と財務諸表論の2科目に科目合格しており、昨年落ちてしまった消費税法を今年再受験している状況です。
試験科目
税理士試験の科目に、大きく分けて次の会計科目と税法科目の2つに分かれます。
《会計科目:2科目とも選択必須科目》
・簿記論
・財務諸表論
《税法科目:法人税法または所得税法のいずれか選択必須》
・法人税法
・所得税法
・消費税法
・相続税法
・酒税法
・国税徴収法
・固定資産税
・住民税又は事業税
会計科目2科目と税法科目3科目(このうちに、法人税法または所得税法のいずれかを含まなければいけない。)の合計5科目に合格(または免除)することによって、晴れて税理登録が可能となります。
国税庁が開示しています科目ごとの平均合格率は13%前後ですが、比較的初期に受験すると考えられる会計科目と、その試験をくぐり抜けた方が受験する税法科目では、体感として合格するために求められる努力の質がまったく異なっているように感じられます。
一度に複数の科目に合格するような方もおり、中には3〜4年で受験を終わられる方もいらっしゃいますが、多くの受験生は1年1科目合格を目指して受験し、平均8年ぐらいかかるとの統計データもあるようです。
税理士登録を目指した理由
30代後半になって税理士登録を目指した一番大きなきっかけは、3.11の震災でした。
もちろん、管理会社はそういった非常時にこそ活躍を求められるべきものだと思いますが、当時勤務していた会社が悪いとかダメだとか、そういうことではなく、業界としての悪弊や私自身の問題なども含め、トータルの問題として心身ともに限界を感じており、メインキャリアのチェンジを決意しました。
(マンション管理業会に関して私が感じていることについては、本旨を外れると思いますので、ここでは割愛します。)
また、税理士を目指したのは、妻が私も現在勤めている税理士法人に勤務していたことから、以前からこういう事務所で働けたらとの想いがあったためです。
(受験を始めてから受験生仲間を中心に、税務・会計業界のブラックさ加減を伺っていますが、事務所によりまったく異なりますので、あくまで私が勤めている事務所限定での感想です。)
そのほか近年、管理組合の納税に関して国税庁より見解が出されるようになり、また訴訟による判決も出ていますが、辞める当時にも、国の財政の傾きに沿うように管理組合の納税について注目が集まっていると感じていたことも税理士受験を後押ししました。
なぜ税理士なのか?
世の中に資格は多数あります。
そもそも資格がなくても転職や起業なども不可能ではないと思いますが、資格として税理士を選択したのは、転職限界とされる年齢的なものを別とすれば、次の理由によるものです。
免許・資格の力:マンション管理適正化法にもあった国家資格の力
これは、過去の成功体験によるもので、今後も通用するわけではなく、一概にいい判断ポイントとは言えないと思うのですが、適正化法の施行により、登録免許業となった「マンション管理業」の排他的独占業務の力を始めとして、独占業務を持つ「管理業務主任者」、名称独占でしかありませんが近頃は認知が高まりその意義が知られつつある「マンション管理士」と、この法律によって業界が得ている力や国から与えられているお墨付きの影響力を感じずにはいられません。
税理士は、まだ施行されて15年ほどの適正化法とは比べものにならないぐらいの歴史があり、知識・経験やスキルなどももちろん重要ですが、起業独立してやっていくための土台の一柱として、さらに重みのある「税理士」としての登録ができればと考えました。
契約更新の力:管理業務委託契約書にも劣らない顧問契約の拘束力
マンション管理業では「管理業務委託契約」、税理士では「顧問契約」にあたりますが、一度結ばれた契約の継続拘束力には、慣性の法則に似て、とても強い継続力があります。
マンション管理業会に入った当初、営繕工事担当者であったことから、技術面よりも毎年売上と利益を追いかける仕事に大きく振り回されました。その力に胡座をかく姿勢となってしまってはあれですが、一定の安定性がないと仕事を取ることばかりに意識が行き、本来の意味でお客様に目が向かないという経営姿勢になりがちです。
もちろん、そうでない方もたくさんいらっしゃいますが、隣接資格であった司法書士の先生方からは、スポット契約で継続的なお付き合いなりにくい仕事についての大変さをかなり伺っていました。そのような恐れを減らすことができる顧問契約によるビジネスモデルがあった税理士業界に魅力を感じていました。
経営耐久力:破綻しにくいビジネスモデル
マンション管理業でも同様ですが、契約が持続しやすいということは、それだけリプレイス(管理を切り替えること)も難しいということになります。昨今、インターネットで検索すればたくさんの同業他社と比較することが可能になるとは言いますが、形のないサービスを専門知識なしに適正に比較することは不可能に近いことだと思います。
やり方にもよるとは思いますが、初期投資が大きくないことも、税理士のビジネスモデルとして強みだと考えます。
会計力:計数や財務など数字に強くなれるアドバンテージ
起業独立する上で、まず必要とされるのは、売上を上げることができる力ですが、会社を長期的に存続させていくためには、良いときも悪いときも破綻なく経営していけるように必要な数字をしっかりと把握できる会計力が必要と考えます。
そんな細かいことは気にならないぐらい売上を上げる力があれば別かもしれませんが、特に数字が安定しない起業初期の段階においては、計数に強いことや金融機関などに強い接点を持つことができる税理士であることは、とても有効なアドバンテージになると思います。
生涯所得に対する選択権:リタイヤメント・プランニング
経営層に参画し、役員になれるようなビジョンがあれば別ですが、一般のサラリーマンでは定年時期を選ぶことはできません。長生きを始め、さまざまなことが長期的に計画できないことに対して、定年時期が固定されてしまうと、終身雇用のようなビジネスモデルでない限り、かなりリスクの高い職業選択となってしまうと考えます。
起業して経営者となり、また歳を重ねても仕事を続けられそうなイメージがあったのが税理士です。
日本税理士会連合会による第6回の税理士実態調査報告書によれば、平成26年1月1日現在での税理士会(税理士は強制加入)会員数は、77,007で、そのうち税理士法人が2,688ありましたので、約74,500人が税理士です。
そのうち、アンケート回答者(33,767)のみの集計ですが、年齢層の中央値は60代(!)で回答者のうち30.1%、私よりも上の年齢層である50代上の方は全体の、約71.5%(未回答0.5%あり)でした。
どれほど稼いでいるのかは別として、税理士業界がたいへんな高齢化社会で、一般企業の定年後も業務に携わっているのかが、よくわかる数字だと思います。
働いていらっしゃる先生方を拝見させていただいて、好き勝手に勤めたり、辞めたりできるとはとても思えませんが、基本的に定年までとなってしまうサラリーマンに比べれば、生涯所得に対する選択権が自分の手元に残る資格だと言えると思います。
逆にこれらのメリットを裏返して言うことも可能だと思います。
ネガティブに捉えれば、資格取得は難しく、顧問契約は切り替えが難しく、新規にも取りにくく、細かい数字も気になってしまい、歳をとっても働かなきゃいけないかもしれません。これから人口減少期を迎える日本独特の資格でしかなく、一時期話題となった今後10年から20年で消えてしまう職種であるのかもしれません。
しかし、私から見える範囲内のことでしかありませんが、自身の年齢その他から描けるビジョンの中ではもっとも費用対効果と可能性のある投資と考えることができたのが税理士資格でした。
最後に
いろいろ書きましたが、税理士登録を目指すこととしたわけについて、ある程度書けたかと思います。
まだ登録できてすらない状況ですが、他業界から見てこう見えるというご参考にして頂ければ幸いです。
明日以降は、この4年間税理士試験を受験してきた中で感じたことについて記事を投稿予定です。
では、また。