A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理管理見直し

フロント担当者から見た業務処理の要領とポイントについて(理事会支援業務)

前回までの3回で「基幹事務」に関する業務処理について、解説しました。

今日からは、事務管理業務のうち、「基幹事務以外の管理事務」とされる3つの業務の一つである「理事会支援業務」について、まとめてみたいと思います。

 

理事会支援業務

理事会支援業務は、次の4つの業務に分けられます。

 

組合員等の名簿の整備

この部分は、ルーチンワーク化しやすく、顧客との接点を持つことも少ないため、大手の管理会社などでは、会計業務担当者が処理していることが、かなりあります。

そのため、フロント担当者自身で更新・整備を行うような中小の管理会社でない限り、それほど携わることはないと思われます。

この名簿、管理組合サイドから見れば、その入手によって、管理会社変更(リプレイス)を実行できる(無いと外部所有者の総会通知ができない)ことから、管理会社が提出を拒む、最後の砦のように見えるかもしれません。

 

理事会の開催、支援

フロント業務マニュアルでは、日程調整、開催通知、資料作成、議事録案作成、理事会への提言、次期役員の就任調整、役員引継ぎ助言などが業務として挙げられていますが、もっとも蔑ろにされがちなのは、「理事会議事録案の作成」です。

理事会議事録は、総会議事録と異なり、その作成・保存に関する罰則規定がありません。(そもそも作成・保存責任は「理事長」にあり、管理会社ではないことも一因と考えます)

そのため、管理会社では後回しにされがちです。

しかし、理事会議事録は、管理組合の活動履歴であると同時に、管理会社の動きを伝えるためのツールとしても活用できることから、習慣的に作成できるようになっておくことをお勧めします。

私の場合は、業界に入って最初の上司が、週明けに「理事会・総会など」議事に関するレポートを提出しないと、その他の業務は何もさせてくれない上司だったため、この習慣を身につけることができました。

 

管理組合の契約事務の処理

この業務で、特に注意すべきポイントは、「駐車場契約」と「重要事項調査」に関わる部分です。

「駐車場契約」においては、区分所有者の変更などに伴って、契約解除になることが原則ですが、管理組合ごとにルールがかなり異なるため、ミスが発生しがちです。

一般論で言えば、ウェイティングルールなどの有無について、存在を確認すべきという話になりますが、忙しい中、必要になってから、全ての資料をひっくり返して見ている暇はありません。

「重要事項調査」はルーチンワーク化されていれば、問題ありませんが、フロント担当者だけが関わる部分が残っている場合などで、前任者不在の時には、トラブルになるような地雷が埋まっていることが、ありえます。

また忙しい中での業務では、単純な記載ミスも発生しがちです。

売買に関わることから、相当大きな額の損害賠償に発展することもあり得るため、ご存知のことだとは思いますが、必要な注意を怠らないよう、お気をつけ下さい。

ポイントは、引継ぎを受けて忙しくなるまでの間に、どこまで過去資料や引継ぎ資料を確認し、整理しておくことができるかどうかにかかっていると思っています。

今時、大手の管理会社では、システム化され、簡単に閲覧できるようになっているかもしれませんが、中小の管理会社では引き継がれておくべき資料ですら、その存否が危ぶまれます。

常駐管理員がいるような物件であれば、ヒアリングするなどして、担当物件に関する理解度を深めておくことをお勧めします。

 

各種専門委員会への運営支援業務

結構見過ごされていますが、専門員会への運営支援業務は、定額依託費に含まれていないケースがほとんどではないでしょうか?(別の形で請求している場合は除きます)

契約書に明記がなければ、「修繕に関する実施の調整」として、依託費に含まれると解釈される場合もありますが、大規模な修繕は10数年の一回しかなく、これを通常の定額依託費に含むとの解釈は、少し無理があるのではないかと思っています。

修繕委員会など、大規模修繕工事の受注欲しさに、結構、当たり前に業務対応していますが、この辺りで支援業務フィーを頂くスキームがあってもいいと考えます(実際、そのような管理会社にも勤務したことがあります)

ノルマや達成報酬といった要素を別にすれば、フロント担当者が工事受注したいと考えているとは思っていません。

むしろ、やりたくないことであったとしても、逆に積極的に関わり、覚えることで、自分自身に付加価値をつけることができるのではないでしょうか?

提供するノウハウやサービスに付加価値をつけられれば、それだけ次につながる可能性があると考えています。

(そんなことを考えていられないぐらい忙しいということであれば、一般論としては、既に業務は破綻目前だと考えます)

 

まとめ

業務上のポイントというよりは、業務に対する姿勢的な話となってしまいました。

前向きにやれない理由は、個人的な意思の問題だけではなく、会社の状況など、皆さんそれぞれにあると思います。

今回述べたような個人的な考えはありますが、異なる選択をした人を否定したいわけではありません。

むしろ、私は前向きにやればやるほど、毎回、業務過多という墓穴に向かって一直線に転がり落ちていきました。

管理会社内にいるのであれば、私のような選択をしない方が、正解なのかもしれません。

それぞれに立場や環境があり、その結果としての選択ということなのだと思います。

後ろ向きに業務に取り組んでみたこともありましたが、私はそれから得られるリターンには納得ができませんでした。

私も自分自身の選択の中で、最善を尽くしたいと考えます。