分譲マンションにおける駐車場外部賃貸について
一昨日(2016.3.16)、『マンション標準管理規約』改正点のポイントについて解説した際にも、「駐車場の使用方法」として、少し言及しました駐車場外部賃貸。
国税庁のリンクをご紹介しただけでしたので、その内容や考え方について、もう少し解説したいと思います。
区分所有者に賃貸することが基本です
大原則は、ここです。
管理組合は、組合員である区分所有者の共同の利益のために活動する団体であり、非営利活動する団体とみなされていることから、通常、税金がかかっていません。
私の経験上、ほとんどの管理組合で、管理費以外にも専用庭使用料やルーフバルコニー使用料等、何らかの使用料を徴収していますが、その徴収で税金がかかるようなものはありません。
これらは、その相手が管理組合の組合員のみに限定され、不特定多数の相手から営利目的で集めているわけではないからです。
駐車場を組合員に賃貸し、使用料を徴収している場合は、これらと同じ考え方で非営利の目的で徴収していると考えることができ、納税義務はないと考えることができます。
一部の例外を除き、外部の第三者に賃貸すると、納税義務が生じると考えるのが基本です
区分所有者がその所有住戸を賃貸に出している場合に、まれにその住戸を賃貸している賃借人がマンション内の駐車場を使用していることがあります。
このパターンにおいても、管理組合は、直接にはその住戸賃借人に駐車場を賃貸しておらず、区分所有者に賃貸しているものを第三者使用させているという形態をとっているはずです。
逆にそうでないと管理組合に納税義務が生じる可能性があります。
このパターンは、転貸している区分所有者に納税義務があり、私が所有マンションで行っている駐車場の賃貸はこのパターンに該当します。
このような例外を除けば、管理組合が直接、外部の第三者に駐車場を賃貸すれば、それは駐車場業として立派な営利活動であり、事業収益とみなされます。
国税庁の見解では、もう一歩踏み込んで例外パターンを紹介しています
たまたま空いている駐車場に相手から使用申し込みがあり、有料で短期間賃貸した場合などです。
具体的には、大規模修繕工事などの工事期間中、工事を受注した施工業者から申し入れがあった場合などに貸し出すことはあります(工事費と相殺されることが多いので、金銭の授受が生じることは少ないですが)
このような場合には、そもそも不特定多数相手に商売として行った行為ではありませんので外部者に対する賃貸ではありますが、事業収益とはみなされず、非課税となります。
駐車場使用料のすべてが事業収益になる場合と、ならない場合
国税庁の見解では、「区分所有者を優先しているかどうか」により、外部の第三者に賃貸している部分だけを収益事業と考えるケースが紹介されています。
具体的には、「区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部使用を行うこととし、外部使用により空き駐車場が解消している状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があったときには、一定の期間(例えば3か月)以内に、外部使用を受けている者は明け渡さなければならないという条件」を挙げています。
この場合には、駐車場使用料のうち、外部者に賃貸している部分だけを事業収益と考えるとされています。
まとめ
長らく管理業界では収益事業になるとは考えつつも、具体例や目安となるようなものがなかったのですが、この見解が平成24年2月に出されました。
さすがに「知らなかった」では済まされない時期を過ぎていると思います。
税務署からお尋ねが届いてから慌てて申告するのではなく、納税義務が有りそうな収入がある場合には、早めに税理士に相談することをお勧めします。
また逆に、空き駐車場が問題になる昨今、積極的な駐車場活用の検討のため、相談するという方向性もあると考えます。