駐車場の解約申し入れがありました
先日、賃貸している所有マンションの機械式駐車場について解約申し入れがありました。
所有マンションを購入した経緯については、以前記事にしています。
購入後、妻の妊娠・出産に伴い、妻の実家のある藤沢に戻ることとなり、賃貸に出しています。
当初は住戸と駐車場をセットで賃貸していましたが、テナントが入れ替わり、駐車場を利用しない人と住戸を契約したため、駐車場は別のテナントと契約していました。
契約から2年が経過し、仲介会社を通じて契約更新の確認をしてもらったところ、更新日を過ぎてから解約回答があったとの連絡がありました。
早速、仲介会社に現在の賃料相場などとともにテナント募集について相談し、広告を依頼しました。
駐車場転貸可能の分譲マンション
一般的な分譲マンションにおいては、所有している住戸を賃貸することはできても、駐車場を転貸することはできないはずです。
駐車場は共用部分であり、そこを管理組合から区分所有者が借りる形で契約しているのが一般的です。
管理組合が管理する共用部分は、区分所有者全員の共有物であり、相互の利益のために管理・運営されています。
そのため、共用部分である駐車場は、区分所有者本人が使わなければ、他の区分所有者に利用してもらうことが本来のあり方で、通常は転貸できません。
ただ、私の所有しているマンションは、100%以上駐車場附置率で一人1台以上の割り当てがあります。
また、新築分譲段階から転貸が可能である管理規約となっており、第三者に使用させる場合の誓約書提出などのルールが明確化されています。
これらにより、相当数の区分所有者が駐車場を転貸しています。
全く問題や課題がないとは思っていませんし、一般化できるほどの手法ではありませんが、分譲マンションの活用法として面白いと感じています。
管理組合にとって駐車場はかなりの課題
都心に限らず、条例や役所の建築指導などもあり、駐車場があるマンションは一般的です。
共用部分である駐車場を区分所有者から使用料を徴収して使用してもらっているはずです。
そして、その駐車場使用料はかなりの割合で、日常的な運用原資である管理費会計の収入とされています。
ここで問題になることの一つは、駐車場利用者が不足する場合です。
新築分譲段階では利用者がいても、その後、近隣相場が値下がりすると、相場に合わせて使用料を変更せざるを得ないため、収入額も減ります。
また、マンション内の駐車場に利用しにくいなどの問題がある場合には、区分所有者が外部で契約してしまい、契約者自体がいなくなってしまうこともあります。
それどころか、都心のマンションでは、車の所有者が減り、新築分譲の直後から駐車場利用者がおらず、空きが出る事態もありました。
収入を見込んでいた駐車場使用料が減り、結果として、管理費会計が赤字となります。
こうなると管理費を値上げせざるを得なくなってしまいます。
機械式駐車場はさらに深刻な課題
ここまでは分譲マンションの駐車場における一般的な課題ですが、駐車場が機械式であった場合には、さらに深刻な課題になります。
機械式駐車場はメーカーなど専門業者によるメンテナンスが必要で、利用者がいなくても費用がかかります。
また、設置条件や使用状況によっても変わるとは言われていますが、機械式駐車場は驚くほどの修繕費がかかります。
ビジネスとして考えると、かなり割に合わない存在なのです。
しかし、その分譲マンションを新築するためには、駐車場を設置する必要があったはずですから、無ければそのマンションは建たないともいえるのです。
そのため、不足しがちな修繕積立金がより一層不足するという事態になります。
管理組合が外部者に賃貸すると税金がかかる
通常の管理組合運営は、区分所有者相互の利益のために行われる「非収益事業(お金を稼ぐために行ってはいない事業)」であることから、管理費などを徴収していても税金を収める義務はありません。
しかし、収入不足を補おうと、管理組合が区分所有者以外の外部者に賃貸して収入を得ると、国からは「収益事業(お金を稼ぐための事業)」とみなされ、税金を支払う義務が生じます。
管理会社は税務代理できませんので、管理組合に代わって申告はできません。
管理組合自身で申告できるなら別ですが、普通は税理士への依頼が必要となり、そこでも費用が発生します。
また、多少は経費が計上できますが、管理組合自身は、駐車場の取得にお金を支出していませんので、不動産の経費で大きな割合を占める減価償却費が計上できません。
そのため、収入の大部分がそのまま利益となってしまい、納税額が大きくなりがちです。
一部の例外を除き、ビジネスとして割に合うことはあまりなく、収入に対して多額の税金を支払っては、さらに成り立ちません。
所有マンションの外部者への転貸は例外的な方法
翻って、私の所有しているマンションでは管理組合は申告していません。
これは、駐車場を賃貸しているのはあくまで区分所有者に対してであり、組合員相互の利益のための事業であることから、ここでの使用料徴収には、一般のマンションと同様に税金はかかりません。
収益事業を行っているのは管理組合ではなく、リスクを負って事業としてこの駐車場を転貸しているのは私個人だからです。
そのため、その申告義務は私他の転貸している各区分所有者にあります。
まとめ
今後、管理組合の税務に関しても情報発信を行っていくつもりですが、万一、駐車場以外でも収益事業とみなされそうな収入を得ている管理組合の方がいらっしゃいましたら、すぐに税理士に相談してください。
管理会社がするアドバイスは的確とは限りませんし、そもそも税理士以外は税務相談を受けることはできません。
そして、申告してこなかったことを税務署から指摘されて申告する場合のペナルティーは、指摘される前に行われる申告よりも当然厳しいものになります。
ただでさえ、割に合わない事業の収支をさらに悪化させては負担が重すぎます。