A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理

管理組合に対する顧問業務の難しさ

管理会社勤務時代から感じていたことでもありますが、先日も管理組合役員の方から相談を受けた際にも感じました。

なお、今日はおおむねマンション管理士視点で記事を書きますが、これは管理会社のフロント担当者など立場を変えたとしても、共通するところがあると考えています。

 

入り口は相談者視点

当然の話ではありますが、その相談者の視点は、相談者個人の視点からみた管理組合活動に関するものがほとんどです。

これは、管理組合役員の方から相談を受けるケースでも同様です。

しっかりと管理組合役員としてのポジションと、個人のポジションとを区別してご相談をいただけるケースもありますが、かなりまれです。

個人のサポートをして欲しいというご相談であれば、これは単純で、その方のポジションからできることをアドバイスすればよく、ある面、弁護士的なポジションに近いと感じます。

この場合、リスクやリターンをその個人の方のポジションからみて、アドバイスすることになります。

しかし、これは管理組合全体に対するアドバイスは違う視点となりますので、顧問業務とは異なるアドバイスになってしまいます。

 

管理組合に対する顧問業務は全体視点

一方、管理組合と契約を結べば、マンション管理士としては、管理組合がその契約相手となります。

これは、管理会社であっても同様です。

管理組合は区分所有者の団体ですが、個々の相談者のポジションからではなく、管理組合全体として最も良い方向性についてアドバイスする視点になります。

 

多くの相談において利害は相反します

その内容に関して、すべての人に賛成してもらえれば、問題ありませんが、得てして賛否が分かれるようなことが起こります。

さらにいえば、相談者の利害と管理組合との利害が相反するものであることなどもよくある話です。

したがって、利害関係者すべてにとっての正解などという対応は、ほとんどありません。

言い切ってしまうことには語弊がありますが、多くの相談事例において、管理組合としての全体の利益を中心に妥当な着地点を探す方向となります。

 

管理士として関わることができる限界

中には、管理規約の見直しなど、共通の目標に向かって、将来を見据えた業務に携わることもありますが、マンション管理士を必要とする管理組合の多くは、何らかの具体的な問題、課題、トラブルを抱えています。

そのため、その対応は主として課題解決型アプローチとなります。

その中で特に問題となるのは、区分所有者間トラブルの相談です。

この相談は、うまく間を取り持つことができれば良いのですが、比較的トラブル初期段階で対応できる管理会社と異なり、マンション管理士が携わることとなる段階では、シンプルな話し合いでは収まりがつかなくなっている段階にまで至っていることが少なくありません。

結局、この手の相談は、実行するかどうかはともかく、訴訟を検討するという方向に進みがちです。

しかし、その分野は弁護士の業務領域です。

したがって、その段階に至ってしまった問題に関しては、早めに弁護士に相談されることをお勧めしています。

 

まとめ

予防的で、前向きな業務であれば、ぜひお手伝いしたいところですが、その段階ではフィーを払ってまで管理士に依頼するというところまでには、なかなか至りません。

念のためお伝えしておくと、この辺りの問題に対して、安請け合いする管理士は論外です。

区分所有者の皆さんは、この手の無償のアドバイスには、十分お気を付けください。

いいように乗せられて、トラブルをエスカレートさせても、その手の管理士は責任を取ってくれるわけではありません。

結局、トラブルや問題が深刻化してから相談されるという傾向と、話し合いでは解決できない段階に至ってしまうと対応できないというジレンマが、マンション管理士の業務にはあります。

おそらく、この辺りのギャップを埋めるべく、現在マンション管理士会において、ADR(裁判外紛争解決手続)という手法の導入が進められているのではないかと感じています。