A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

A Written Oath
マンション管理

理事会議事録はしっかりと備えていますか?

総会議事録は、管理規約にも明記されていることから、ほとんどの管理組合はしっかりと作成しています。

しかし、その保存となると急に雲行きが怪しくなります。

 

総会議事録ですら、しっかりと整備できていないケースがある

議事録原本から全てきっちりと揃っている管理組合は、築年が浅い管理組合だけで、築年の古いマンションの多くでは、原本は散逸し、コピーが残っていれば、御の字という状態が散見されます。

一応、断っておきますが、管理会社が保管しているから大丈夫と考えられているなら、それは大きな間違いです。

なぜなら、マンション標準管理委託契約書を読めばわかりますが、管理会社が管理組合にその議事録や帳簿書類などを総会終了後、遅滞なく管理組合に引き渡すこととなっているからです。

そのため、引き渡された後の保管義務は、一義的には、管理会社ではなく、管理組合にあることとなります。

ところが、引き渡された後の資料の保管や運用に関するルールが、きっちりとある管理組合は少数派です。

大抵、「管理会社に保管されているはず」「管理組合の倉庫にあるはず」などの回答しかなく、保管場所・保管年限・処分方法など企業であれば、当然備えているべき事項の多くが意識されていません。

ただ、これでも総会議事録はまだマシな整備状況です。

これは、総会議事録には、法律上の規定のみならず、罰則規定もあり、その重要性の認識があるからです。

これが理事会議事録となると、さらにひどい状況となります。

 

区分所有法には総会議事録の保管義務にしか罰則規定がない

マンション標準管理規約には、総会議事録だけではなく、理事会議事録の作成についても定めがあり、マンション標準管理委託契約書には、理事会議事録案の作成は管理会社の業務となっています。

しかし、前段でも書いた通り、規約や総会議事録を保管しなかった場合の罰則については、区分所有法(第71条1項)に定めがあるものの、理事会議事録の保管に関しては法定の義務がありません。

そのため、理事会議事録は、保管どころか、作成すらされていないケースも見られます。

 

理事会議事録なしにどのように運営の適正性を証明するのか?

大規模なマンションでは、かなり意識が高まってきたことから、私などが言うまでもなく、しっかりとした記録が残されるようになってきました。

しかし、中小規模のマンションでは、マンパワーなどの現実的な問題もあり、まだまだこの理事会議事録の保管の重要性に関して意識が低いように感じています。

管理組合は営利企業ではありません。

そのため、管理組合活動は「ボランティア活動への奉仕義務」のように捉えられてしまっているのかもしれません。

ただ、よく考えていただければわかると思うのですが、管理組合は、各住戸から毎月管理費・修繕積立金あわせて2万円から3万円以上のお金を集める団体です。

100戸を超えるマンションの大規模修繕は1億円をゆうに超えます。

そのお金の保管・運用に関する責任が、その管理組合役員にはあります。

細いことをあげつらって理事会役員を萎縮させるような行動はいただけませんが、だからといって、お互い様だからと放漫な事業運営であっていいという話にまではならないはずです。

管理組合監事の業務監査においても、理事会議事録がない場合、その運営が適正であったかどうかの証明をどのように行うのでしょうか?

 

まとめ

記録がしっかりと残っている管理組合と、記録がロクに残っていない管理組合、どちらの管理組合のマンションに住みたいと感じますか?

不動産価格に反映されるとまではいいませんが、どちらのマンションをより欲しいと感じるかは、明白ではないでしょうか?