マンション管理だけではない住宅全般にかかわる課題意識
いままで私が感じてきた分譲マンションにかかわる課題意識について、数多くの記事化をしてきました。
直近では、管理組合の監査や管理見直しが行うマンション管理士が多くないことなどを記事しています。
私はこれらの問題は、マンション管理だけに限らない、日本における住宅全般にもいえる課題だと考えています。
住宅が「安心・安全」を提供していない
もっとも深刻で、かつ、根本的な課題意識はここにあります。
住まいに安心や安全を求めることは、ごく自然な気持ちではないでしょうか?
しかし、現実の住宅は多くに人にとって安心や安全を提供していないのではないかと考えています。
なぜなら、住宅建築・不動産業界の体質として、プロが素人に売りつける関係性が構築されていると感じるからです。
何度も買い直すことは難しい
資金にゆとりがある方であれば、何度も買い直し、理想的な家にたどり着くこともできるでしょう。
また、専門的な知識があれば、人生に一度しかない買い物であっても失敗することは少ないはずです。
ところが、高騰を続ける住宅価格と、中古住宅が評価されない現状は、何度も買い直すというプロセスを阻みます。
これでは何度も買い直すということは現実的な選択肢とはなりにくい環境です。
一見して見えないところにこそ問題が潜んでいる
もちろん、購入者本人が勉強して対策を身につけることも不可能ではありません。
しかし、一つ一つがユニークで個別性が強い不動産を、テキストベースの理解だけで全て判断するできるとはいいがたいところがあります。
不動産の現場では、経験がものをいう場面が結構あります。
また、供給者側もそんな見え透いた手は使ってはきません。
どうしても、見つけにくいところ、すぐには問題とならないところにそれらを潜ませます。
また、悪意ではなかったとしても、行き届かなかった作業などにより、問題が潜在することもあります。
全てに備えることはできませんが、少なくともポイントを絞ったチェック程度は必要ではないでしょうか?
そして、そのポイントがどこにあるか判断することすら、本人だけでは難しいはずです。
事業者でも同じ
不動産投資を行えば、プロでなかったとしても個人事業者です。
お金は借りられますが、そのリスクは事業者としてのリスクです。
時折、記事にしてきましたが、この不動産投資に対するアパートローンの問題が顕在化しつつあるようです。
以前にはその数的根拠を見つけられませんでしたが、2月9日に日銀が発表した「貸出先別貸出金」によれば、2016年の銀行・信用金庫による不動産融資は対前年比15・2%(約3.7兆円)増とバブル期並みとなり、不動産業向け以外の伸び率は低水準に留まりました。
その貸出先でも特に問題なのは、サラリーマンや相続税対策の土地持ちさんのようなプロ以外への融資です。
このような専門知識を持たない人に購入させては、問題が深刻化する一方です。
購入者の意図は、将来収入への不安感や子や孫に財産を残すためではないでしょうか?
ところが、このような状況では真逆の結果となりかねず、これも安心や安全には程遠いものとなってしまっています。
ズレを補正するのが仕事の一つ
経営判断などでは、専門家の判断と経営者の判断が異なる場合は度々あります。
しかし、これはプロ同士での話であって、素人・プロ間での話ではないと考えています。
一応、生活レベルの判断であれば、その多くは直感的なものでも問題ないと思っています。
もし、その判断が直感で行えないものであれば、それは相当な競争が行なわれている例外的な生活行動でしょう。
また専門家は、仕事レベルの判断において、仮に税務であれば、お金の時間的ズレ等を補正することによって税額をコントロールしていますし、マンション管理であれば、知識的なズレを補正することによって問題解決の手助けをしています。
その意味において、住宅市場には、このズレを補正する専門家が少ないと感じます。
ニーズがないといってしまえば、それまでかもしれません。
これらの問題は、顕在化するまでなかなか気付けないものです。
顧客が気付いていない価値であるからこそ、これを顧客に提供し、気付かせることも専門家の仕事の一部のはずです。
今まさにこれから大学院で講義を受講するマーケティングでこの分野を学びます。
この努力がこの価値を提供しようとする専門家に求められていると感じています。
まとめ
週末からの講義課題に取り組みつつ、このようなことを取り留めもなく、考えていました。
日本の不動産業界においては、今後これらの課題解決に対する顧客ニーズがあると思っています。