マンション管理組合役員の改選について
先日、マンション管理フェア2016で、無料相談員を務めました。
その際、役員の改選に関連して、その負担の衡平を図る方法について相談を受けました。
単純ではない問いです
プロとしての目安や基準めいたものを何度も尋ねられましたが、これにはお答えできませんでした。
これは、この点に関しては本当に管理組合ごとに千差万別であり、一部分だけを切り取って具体例などを挙げることができても、それがその管理組合にとって衡平を図ることができる適切な目安・方法であるということは難しいからです。
完全な公平を実現することは難しい
多くの管理組合では役員選任について、輪番制が取られています。
一般に、管理組合は、役員改選を輪番制にすることによって、その負担の公平を図っています。
順番に一定のサイクルで担当するのであれば、ここに区分所有間の違いは生じません。
したがって、公平な制度とは言えます。
しかし、区分所有には、現に居住する区分所有者と、賃貸などして外部居住する区分所有者がおり、古いマンション標準管理規約においては、役員の要件として「現に居住する」という条件があったことから、外部居住者は輪番役員から外されていました。
また、現在においては標準管理規約が改正されたことにより、この要件はなくなったものの、住んでいない区分所有者が管理組合の役員を務めることについて、問題がない訳ではありません。
少なくとも理事長はマンションの事情が伝わりやすい居住者の方が良いとの考え方などが根強くあり、外部区分所有者が理事長になるケースはまれです。
すると、この区分所有者間の負担は、公平なのでしょうか?
様々な事情の違いにより、自ずと区分所有者ごとの役員就任に対する負担は異なります。
そのため、当初から似たような事情の区分所有者が揃っているなどの特別な要素がない限り、完全な公平を実現する難しいのです。
それでも管理会社はおおむね輪番改選を提案します
ただ、分譲マンションの管理会社は、輪番による役員選任を提案するはずです。
通常、まだお互いを知らない新規入居者同士で相談してあって役員を選任することや立候補を募ることは相当ハードル高く、当初はこの輪番制にせざるをえない側面があるからです。
また、役員が一巡するまでは、順番に理事を体験することにより、管理組合のことを知っていただくことができる機会を作ることができることなどに一定のメリットがあります。
次善策として負担の衡平を目指す
しかし、この単純な輪番制では、前述の理由から、見かけの「公平」を保つことはできても、負担の「衡平」を図ることができません。
ここで、次善策として、完全ではないながらも、ある程度お互いの負担感の釣り合いが取れるように、負担の衡平を目指すことになります。
ただ、管理組合ごとに、区分所有者の生活スタイル、マンションの活用方法などが異なることから、役員報酬の支払いや、一定の区分所有者に対する協力金徴収などその解決方法は一様ではありません。
一つの相互理解の機会
目安となるものが全くないというのは困りますが、その反面、その目安にあまり頼りすぎてしまうと、区分所有者間で行われるべき、コミュニケーションの機会を減らしてしまいます。
いきなり喧々諤々とやりあうことが良いとまでは思っていません。
しかし、安易な答え探しのようなことになってしまっているケースが往々にしてあるような気がしています。
そのため、時間をかけたコミュニケーションを取り合うことによって、コミュニティを醸成し、解決すべき課題の一つと考えています。
まとめ
このような課題こそ、専門家が出しゃばるよりも、管理組合が主体的に相互に話し合える環境や機会を作って取り組むべき課題ではないしょうか?